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言い出しっぺの法則

 腕を捕まれたまま、フラックスに引っ張られて廊下を歩く。

 貴族の子弟だから投げ飛ばせないしなぁ。振り払うくらいはいいのかなぁ。

 とりあえず穏便に説得から試みてみる。


「そろそろ離していただけませんか? その、変な噂になって困るのは貴方様でしょう?」

「離したら逃げるだろう」


 それは勿論。

 答えなくても返答が伝わったのか、腕を離してもらえることはなかった。

 以心伝心ってやつか。こんな時には必要ないんだよ。


「それならせめて、何を手伝うのか教えていただけませんか?」


 私じゃ手伝えない事の方が多いぞ。ただのモブだからな。


「女王陛下に取り入るのも、クロッカス殿下に取り入るのも時間がかかる。手っ取り早く証拠が見つかればそれに越したことはない」

「証拠って言ったって、王都の反乱は10年も前でしょう? 出てくるわけありませんよ」

「あくまで一縷の望みをかけてだ。お前が最初に言い出したんだから手伝え」


 言い出しっぺの法則か? 言わなきゃ良かったな。

 それに、もしそれでも証拠が出てくるとしたら、それは物語の主役が発見すると相場が決まっている。私のようなモブじゃ無理だ。アイリスに頼んでほしい。

 もしくは妹みたいに推理ゲームや心理ゲームが得意な人。妹の場合はゲーム知識もあるから、軽々証拠を発見できそうだ。

 やっぱり神様は転生される人選を間違えてないか? 妹の方が絶対に適任だったと思う。


「証拠って具体的にどこを探されるつもりなんですか?」

「本来はクロッカス殿下の執務室を探したいところだが、絶対に入れないだろうな。お前が探ってくれるならいいが……」

「無理です」


 首が飛ぶわ。物理的に。

 フラックスもそれは無謀だとわかっていたのだろう。特に反論は飛んでこなかった。


「後は殿下の別邸だ。あそこは元々、クロッカス殿下が閑職に追いやられた時の屋敷なんだ。まだ何か証拠が残っているかもしれない」

「でもクロッカス殿下は普段使われていないんでしょう? そんなところにあるとは思えませんが」

「殿下や側近達が気づいてない何かがあるかもしれないだろう」


 かなり望み薄だな。

 フラックスだって気付いている。でも自分でやれることはやりたいのだろう。証拠がなければ、それこそ長期的に女王陛下の信頼を勝ち取って地位を固めたり、感情を殺してクロッカス殿下に頭を下げて服従したりして追い落とす策を練らないといけない。

 ある意味、踏ん切りをつけるためだ。

 それはいいけど私を巻き込まないで欲しい。


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