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魂の対話

 ひとまず『雪の妖精』の事は解決したが、問題はウィスタリアである。

 今またウィスタリアを目覚めさせても、ウィスタリアが話も聴かずに暴れ回ったら大変だ。

 過去の映像では、息子のエンディミオンの事すらわかっていなかったほどである。

 私は改めて院長に問いかけた。


「ウィスタリアをどうやって救いましょうか。フラックス様が何か手がかりを掴んでくれていると良いんですけど……」


 水鏡の映像を見て、フラックスは何かに気づいて王城へ向かった。

 それがフラグである事を祈る他ない。

 ……と、思ったのだが院長は首を横に振った。


「いいや、手がかりは他にもあるよ」

「え?」


 思わず首を傾げる私に、院長は続けた。


「ウィスタリアはクロッカス殿下に呼びかけられた際、ちゃんと話が通じているように見えた。ボクにはウィスタリアの言葉が理解出来なかったけど……殿下には伝わっていたんだ。昔みたいに話が通じないわけじゃなさそうだ」


 院長に見せられた映像ではそうだった。

 ウィスタリアの話を聞いて、クロッカス殿下はウィスタリアを守ろうとしたのだ。

 会話が成立している時点で、エンディミオンの時より進歩してると言えるだらう。


「長い年月の間に、ウィスタリアが正気を取り戻しつつある……という事でしょうか」


 私が仮説を立ててみるが、院長は頷かない。


「わからない……。でも、ウィスタリアを一番近くで見ていた奴がいるんだ。そいつに聞くのが手っ取り早いよ」


 そう言って、院長は己の左手を見た。

 『雪の妖精』が潰された場所から何かを回収したきり握られている左手を、私も一緒に見つめた。


「それは……?」

「『雪の妖精』の魂だよ。ほら」


 院長はそっと手の包みを解いて私に見せてくれるが、やっぱり何も見えない。

 見えるのは院長の手のひらだけである。


「……その、魂? をどうするんですか?」


 困惑を悟られないように、院長の顔を見つめる。

 院長は真剣な顔で左手を見つめたままだ。


「ウィスタリアを封じて、近くで見てきたのは『雪の妖精』だ。ウィスタリアに変化があれば、いの一番に気づくよ。だから、この魂を使って何があったか知りたいんだ」

「なるほど。ちょうど私がフラックス様から水鏡を預かっているから、過去の情報が見られるって事ですね」


 院長は私の言葉に頷いた。

 私には見えないけど、院長には魂とやらが見えてるみたいだし、院長に任せておけば安心だろう。

 魂だけで映像が見れるかわからないけど。

 物は試し。

 私はさっそく水鏡を取り出して、院長の左手に翳してみた。

 院長が私に合わせて、左の手のひらを押し付けるように水鏡に触れる。


 ………………。


「何も見えんな」


 モグラも私の肩から身を乗り出して水鏡を見つめるが、水鏡はうんともすんとも言わない。


 魂だけじゃダメって事?


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