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喧嘩するほど仲が良い

 グレイ隊長は腕を組んで眉間にしわを寄せる。


「アンバーは能力のわりに精神が伴ってない。絶対に碌な事にならないから、国の為には始末した方がいいって殿下には進言してるんだけどな」

「えっ」


 確かに単体で国を亡ぼせる能力がある人が精神不安定なのは怖いかもしれないけど、これまで帝国からウィスタリアを守ったり、『王の影』として経営に問題はあるけど王家を守ってきたのに。

 何よりグレイ隊長が同僚として一番院長の事を知ってそうなのに、そんな事を言うのか。

 ちょっと悲しくなっていたら、院長は気にすることもなく、事も無げに頷いた。


「グレイの言う事は最もだよ。ボクもそう思う。でもボクは最強だし、呪いも毒も効かないし、暗殺とか企てられても『王の影』から情報が来るからまず無理だよ。そもそも殺したいなら最低限、ボクより強くなってもらわないとね。グレイなんてボクより強くなる~とか言ってるくせにまだ超えられないし~?」


 院長はクスクス笑って小馬鹿にしたようにグレイ隊長を指さす。グレイ隊長は悔しそうに歯を食いしばって院長を睨む。


「お前、本当に覚えてろよ……。絶対にお前より強くなって、お前が何かやらかす前に止めてやるからな」

「―――そこで『殺す』じゃなくて『止める』って言ってくれるから、グレイは優しいよね。やっぱりボクの事友達だと思ってくれてるんだよね!」

「は!? 思ってねーよ!!」


 キャンキャン言い合う二人を見て肩の力を抜く。

 グレイ隊長は国に関わるものとしては冷たい見方が出来るし進言も出来るけど、結局は院長を見捨てたり出来ないんだろう。院長より強くなりたいのも、悔しいのもあるだろうが今言ったみたいに『友人がとち狂って馬鹿な事をやらかす前に止める』のもあるに違いない。

 そんな二人を微笑まし気に見ているクロッカス殿下と目が合った。


「な? 二人は仲が良いだろう?」

「はい」

「嬢ちゃんまで!? 仲良くねーよ、こんな奴!」


 グレイ隊長がいくら否定しても仲良いと思う。

 院長が友達だと思ってるのも納得だ。

 殿下に話を遮られたことで、院長がようやく思い出したように手を叩く。


「あ、そうだ。グレイのせいで忘れてたけど、土の大妖精の所に調査に行くんですよね。誰を行かせるんですか? 勿論ボク―――」

「ああ、それなら私が行こうと思う」


 当たり前のように頷いたのはクロッカス殿下である。


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