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爆弾解体

 クロッカス殿下が戻ってくるまで、もう一度元いたソファに腰掛ける。

 モグラも私の後についてきて隣に座ったので、改めて会議の内容を聞いてみる事にした。


「封印を調べる為に、もう一度あのダンジョンに行く事になったの?」

「ああ。だがいくら封印を調べたところで、地震をこの世界に影響が出ないように限定するのは並大抵の事ではないぞ。解除するだけならともかく、神の子が作った術式に干渉出来るのか? 妖精といえど、神には勝てぬ」


 確かに。人間や妖精よりも上位の存在だから神だと言われてるんだ。

 実際に凄い力を持ちながら、神の子に封印された土の妖精が言うと説得力がある。


「でも私は貴方の封印を解除出来たし、院長も封印を解けるんだから、干渉も出来るんじゃない?」

「そう簡単な事ではないわ。我でさえ長いと思える月日を重ね、封印が綻びていたからこそ解除出来たのだ。下手に封印に干渉しようとすれば、すぐに封印が崩壊して大地震が起こるぞ」


 院長も封印を解除する以外にないと思ったから、あの時さっさと解除しようとしたのだろう。

 ある意味、時限爆弾の解体に似ている。

 封印を解くだけなら、周りも何も気にせず爆弾に刺激を与えて爆発させるようなものだ。私や院長が封印に触れば良いだけなので簡単だが、大陸中に被害が及ぶ。

 だから導線を間違えずに切らないと爆発する。今回はそれに加えて、導線を繋ぎ変えて安全に爆発させようとしているようなものだ。

 難易度が高いというものではない。

 確かにモグラが言う通り、調査したところでどうこうなるか不安なところだ。


 ゲームでこんな展開あったのだろうか。さっぱり思い出せない。


 うろ覚えの記憶の中からヒントがないか眉間に皺が寄せて唸っていると、執務室の扉が開いた。

 見ればクロッカス殿下とグレイ隊長の姿があった。

 慌てて立ち上がって出迎えると、殿下が少し困惑したような顔をした。


「ずっと待っていてくれたのか。すまない。長引きそうだから、あいつにはサクラと一緒に帰って良いと伝えた筈なんだが......」

「なにも聞いてませんよ......」


 むしろ待つ間に仲良くティータイムしてたんだが。

 院長って、私と殿下の仲を取り持とうと平気でこういう事をする。せめて一言言ってほしいものだ。

 私の意思と殿下の気遣いを蔑ろにされたように感じるので、後で殴っておこう。

 決意を固めたところで、ふと気になった事を殿下に尋ねてみた。


「アンバーは一緒じゃないんですね」


 会議に行く時には一緒に行ってたはずなのに、なにか用事だろうか。

 なんとなく、三人セットが基本のラスボス陣営だから、少し変な感じがする。

 しかしクロッカス殿下は訝しん気に首を捻った。


「サクラと一緒にいただろう?」


 どういうこと?


 お互いに首を傾げていると、部屋の扉が再び開いた。

 入ってきたのはアンバーだ。殿下とグレイ隊長に気がつくと、いつもの笑みを浮かべる。


「お戻りでしたか、殿下。少し休憩なさいますか? それとも会議の内容をーーー」


 流れるように喋るアンバーを見る。

 今まで引っかかるところはあった。それが何かわからなかったけど、今回はっきりわかった気がする。

 だからアンバーに近づいて真っ直ぐ見つめて尋ねてみた。


「院長......?」


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