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主人公ではないので放置も選択肢に入ります

 スーツを着て身だしなみが整っていれば、詐欺師でも信用されやすいって前世でも見た事あるからね。

 院長の場合は見た目と有り余る能力差で相手を黙らせている。

 私は見た目もモブで変えられないからな。やはり力。いざと言う時に相手を黙らせるくらい強くならなければ。

 決意を新たにしていると、周りを威圧するのに飽きた院長が私に輝くような笑顔を向ける。


「そんな事より帰ろう、サクラ。来るのが遅くなってごめんね。怪我してない?」

「大丈夫ですよ、院長。ピンピンしてます」

「良かった、心配してたんだよ。そうだ、お土産にここの水晶を持って帰ろうか。綺麗だし、封印された土の大妖精の力の影響で、持ってるだけで効果のある代物になってるみたいだし」


 言いながらも院長は勝手にそこら中に散らばった水晶を見繕っている。私がモグラに辿り着くために足場にした水晶の残骸だ。良い感じの大きさに砕けているから、そこら辺に生えているデカい水晶より持って帰りやすい。

 ただ、危ない事をしたのが院長にバレたら叱られる。どうかバレませんように。

 一方、私の手の中のモグラは相変わらずジタバタしている。


「我の事を放置して土産を見繕うな! せめて封印を解いてから持って帰れ!」

「封印くらい自分で何とかしなよ。大妖精サマなんでしょ?」


 院長の対応は相変わらず冷たい。

 確かにモグラを放置して帰っても、困るのはモグラに恨まれている『サルファー』の末裔と帝国だ。

 力が封印されている以上、地震は起きない。

 私も主人公じゃないから、わざわざ解決に動かなくても困らない。さっきまでは帰る方法がないから封印をどうするか頭を悩ませていただけで、院長が帰してくれるなら放置も選択肢だ。

 しかしモグラは諦めない。


「封印をこのままにするのなら、ウィスタリアにも我の力を見せつけてやる。いくら弱まっているとはいえ、国中に地盤沈下と土砂崩れを起こしてやるわ!」

「そんな事をしたら貴方が魔力切れで消滅するでしょ。わかりやすい嘘やめなよ」


 魔力切れを考慮しなければ出来るのか。

 大妖精怖い。

 二人の言い合いを聞いている内にふと疑問を覚えた。


「そもそも本体が封印されてたのに、力まで地震を抑えるのに使われて大丈夫なんですか?」


 人間は魔力を回復するのに睡眠や食事を取る必要がある。

 妖精だってそれは変わらないんじゃないか?

 バグみたいに強い院長だってそうなんだから、いくら大妖精とはいえ変わらないと思っての疑問だった。

 モグラはピタリと暴れるのを止めると、私を見上げる。


「大丈夫ではないから解除して欲しいと言っておるのだ! このままでは我が限界を迎えて消滅する! そうなれば結局は大地震が起こるのだぞ!」


 ちょっと話が変わってきたな......。


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