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話の途中だがワイバーンだ!

「モグラは『よくも封印したな』みたいな事を言っていました。神の子に叱られたんじゃなくて、封印されたんだと思います」


 私の言葉に皇子は少し考えて付け足す。


「悪さをして神の子に封じられ、神の子の子孫に試練を課して妖精の加護を与える役割をしていたんだろう。月日が経つにつれて、伝承が曖昧になるのはよくある事だ」


 伝承には真実が含まれているって言うけど、都合の悪い事はどんどん改変されちゃうんだろうな。

 私も自分が宝石を割ったのを伝えてないし、昔の人の気持ちが良くわかる。

 一方ロータスは悔やんだような顔をする。


「俺が宝石を跳ね除けなければ、こんな事にはならなかったのか......」

「いや、宝石がそんな簡単に割れると思わないよ。経年劣化だよ、きっと」


 本当にロータスのせいじゃないので、慌ててフォローする。


「そうだな。悔やむよりここから出る方法を考えなければ」


 宝石を渡そうとした皇子様は微塵も悪びれなく仰った。

 ロータスを責めるような真似されるよりマシだけど、半分くらい勧誘のために大事な宝石を渡そうとした貴方にも責任があると思う。

 他国の王族にそんな事を言えないけど。

 私がそんな事を考えていると知らずに、皇子は言葉を続ける。


「伝承によれば、最奥で土の大妖精が待っていると聞く。出るためには大妖精のところまで行かなければならない。二人とも不測の事態だが協力してくれ」


 堂々と自信に満ち溢れた態度で皇子はこちらに手を差し伸べる。

 断れる状況じゃないし協力するのは良いんだけど、どうにも頷き難い。

 態度は紳士だが、ギラギラとした目が『土の大妖精を手懐けて、皇帝になる足掛かりにしよう』と思っているのが丸わかりだ。

 しかし伝承からして地震を起こして悪さをしてた大妖精を怒らせたらどうなるか。ただでさえ封印された事を怒ってるのに。

 

 院長だって単独で国を滅ぼせるんだぞ?

 純粋な妖精なんて、それ以上じゃないか?


 私の心配を余所に、ロータスが進み出る。


「こうなったのは俺......私の責任でもあります。喜んで協力させて―――」

「待って」


 私は皇子の手を取ろうとしたロータスの腕を掴んで止める。

 ロータスは怪訝そうに、皇子は不快そうに私を見るが、それどころではない。


「話はコイツらを対処してからにして!」


 私の叫びと共に羽音を立てて現れたのはワイバーンの群れだ。

 このダンジョン的には雑魚敵だが、それはラスボスやルートボス手前までレベルが上がっているから雑魚なのである。

 言わずもがな、皇子様もロータスも初期レベルだろう。


 初期レベルにアイテムなしのダンジョン攻略させるな!!


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