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入団試験

 アイリスの恋のお相手が誰かはわからなかったけど、とりあえず帝国ルートが平和に終わるならいいか。

 そう結論づけて、フォーサイシアにそろそろお暇の挨拶をしようと顔を上げた時、救護室の扉がノックされた。

 返事も待たずに救護室の扉を開けたのは、近衛騎士団の少年達だった。

 左右二人が真ん中の一人に肩を貸す形で部屋に入ってきた。

 左右の二人には見覚えがある。確か前にロータスを城に不法侵入させる手伝いをして、グレイ隊長に見つかった後も噛みついていた二人だ。


「どうしました?」


 フォーサイシアが立ち上がって、対応に出る。

 私はカーテンの隙間から様子を伺う事が出来るが、あちらからは余程注意深くないと私が見ているのに気が付かないだろう。


「怪我人を運んできた。後は頼む」


 右側の少年が簡素にそう言うと、左右の二人は真ん中で力無くグッタリしている人物を放り出した。

 遠慮なく救護室の床に投げられたのはロータスだった。

 見た所打ち身だけのようだが、ところどころ服まで破れている。


 何があったらこうなるんだ。


 フォーサイシアも疑問に思ったようで、ロータスを連れてきた二人組に問いかけた。


「一体何があったのですか?」

「近衛騎士団の実技試験で怪我をしただけだ」


 そう言った騎士団の男の目には、ロータスへの侮蔑とも嘲りとも取れる感情が伺えた。

 そういえばクロッカス殿下がロータスを近衛騎士団に戻す条件として、もう一度入団試験を受けてもらうとか言ってたな。


 試験でこんなになる事ある?


 フォーサイシアも同じような疑問を頭に浮かべたようだが、それを口にする前に男達はロータスを残してさっさと帰ってしまった。

 前はロータスが城へ不法侵入する手助けしてたのに、随分な手の平返しである。

 一方、フォーサイシアは床に投げ出されたロータスをベッドまで移動させようとしているが、細身のフォーサイシアだと筋肉質なロータスを移動させるのも大変そうである。

 そもそもフォーサイシアは魔法攻撃メインで、武器攻撃は全然出来なかったからな。『身体強化』しても筋肉がないのは頷ける。

 見かねて私は奥から顔を出した。


「手伝うよ」

「いえ、サクラに手伝ってもらうのは悪いので......」


 遠慮するフォーサイシアの横で、私は『身体強化』してロータスをヒョイっと担ぎ上げる。


「ベッドでいいんだよね?」

「............はい」


 フォーサイシアが自分の腕を恨めしそうな顔で睨みながら頷いた。


「気にしないで。適材適所って言うでしょ。フォーは治療お願いね」


 言いながら、私はさっさとロータスを運んでベッドに寝かせる。


「そうなんですけど、男としてのプライドというか......」


 難しい顔でブツブツ言いながら、フォーサイシアはロータスに光魔法を使う。

 私の時のように、まず全身状態を確認してからテキパキ治癒魔法を使っていく。

 治癒魔法って光属性の魔法の中でも難しいって聞くのに、こんなに使いこなしているなんて、やっぱりフォーサイシアは凄いんだな。


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