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帝国の皇子様

 落ちてきたのが『誰か』確認する前に、私は反射的に両手でキャッチしてしまった。

 結果的にお姫様抱っこで受け止める事になったが許して欲しい。

 むしろ咄嗟にキャッチ出来た事を褒めて欲しいぐらいだ。

 普通、上から人間が落ちてきたら双方怪我するぞ。

 落ちてきたのは褐色肌の青年だった。長い銀髪が細かい編み込みと黄色の宝石で彩られており、これだけでも人目を引くだろう。

 聡明そうな顔をしているが、現在は落ちたショックからか呆然と目と口を開いている。

 褐色肌はウィスタリア王国では珍しいし、黄色を基調とした衣服や宝石を身につけている事から、おそらく帝国の人間だろう。


「あの、大丈夫ですか?」


 私は今だに呆然と黄色の瞳で瞬きを繰り返す青年に声をかける。

 私の呼びかけでようやく我を取り戻したのか、青年はようやく自分がお姫様抱っこをされているのに気づいたようだ。

 慌てて私の手から逃げ出そうとする。


「あ、ああ。大丈夫だ。すまない!」


 細身の鍛えてなさそうな男性がいくらジタバタしても、私の身体はびくともしないんだけどね。


「お怪我でもされていたら大変だと思って抱えていたのですが、大丈夫そうですね」


 先ほどの茫然自失は落ちたショックの一時的なもののようだ。

 恥ずかしそうだし、彼の意思に添ってすぐに地面に両足を降ろした。

 青年はしっかりと地面に足をつく。そのまま自分の身体の動きを確かめている青年に、控え目に声をかける。


「どこか痛むところはありませんか? すぐ医師をお呼びーーー」

「ジョン・ブリアン・サルファー皇子!?」


 隣から叫び声が上がった。

 正確にはようやく上半身を起こしたロータスからだ。

 青年は眉を顰めてロータスを見下ろす。


「あまり大声を出さないでくれ」


 否定もしないという事は本人なのだろう。そういえばゲームで見覚えがある気がする。

 皇子様をお姫様抱っこしてしまったのは置いておいて、なんで空から皇子様が落ちてくるんだ。

 上にあるのは城の壁と窓ばかりで、バルコニーもないのに。

 凄く、凄く嫌な予感がするので今すぐこの場を離れたい気持ちで一杯になったが、次の皇子様の台詞で逃げるのは無理だと悟った。


「ああ、来てしまったようだな」


 その台詞と同時に四方から現れる黒衣の四人集。

 どう見ても暗殺者です。


 シナリオを勝手に始めるんじゃない!!


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