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予想外の再会

「殿下は今、忙しくしてるからすぐにとはいかないけど、必ず会わせるからな。約束する」


 力強く言ってくれたグレイ隊長に再度頭を下げる。


「ありがとうございます。この前、殿下に色々言ったから聞いてもらえないかと思いました」


 グレイ隊長は曖昧に笑った。


「俺も親の事情で振り回されたから、嬢ちゃんの気持ちが少しはわかるぜ。気持ち的には嬢ちゃんの味方だ。フォーサイシアとネイビーも父親に振り回されてるのを見て助けたくなっちまったくらいだしな。あの二人は父親の件で責められないように殿下に頼んで手を回してもらったんだ」

「フォーサイシアとネイビーに言ったことをちゃんと守ってくれてるんですね」

「当たり前だろ。約束したからな」


 グレイ隊長が大聖堂に来た時に、私たち三人が衛兵に取り囲まれてたから咄嗟に言ったのかと思ってたけど、ちゃんと約束としてあの双子を守ってくれてるんだ。

 やっぱりグレイ隊長は良い人だな。

 頼って良かった。

 グレイ隊長は私を安心させるように肩を叩く。


「この件は嬢ちゃんの気持ちが優先だ。殿下もそこのところは理解してくれてる。気遣って無理しなくていいからな」

「はい。ありがとうございます」


 頼りになる大人ってこういう人を言うんだろうな。

 尊敬の眼差しを向けると、グレイ隊長は照れたように明後日の方向を向いた。

 しかし次に瞬間、グレイ隊長の目線が鋭くなる。

 目にも止まらぬほどの抜刀からの突然の投擲。

 グレイ隊長の剣は訓練場を通り越して、城内の廊下に着弾した。


 何事!?


 突然の暴挙に呆然としてしまったが、グレイ隊長は剣を投げた方向に走っていく。

 私は思わず後を追いかけた。


 あのグレイ隊長がこんな事するって余程じゃない?


 気になる。

 野次馬根性で私がグレイ隊長の背を追いかけていくと、剣が着弾した廊下には三人の少年がいた。

 二人は近衛騎士団の団員だろうか。白い軍服を見に纏って腰には剣を佩いている。二人とも突然剣が飛んできたのに腰を抜かしたようで、廊下に尻もちをついていた。

 もう一人も同じ近衛騎士団の白い軍服を見に纏っているが、フードで顔を隠している。

 グレイ隊長の剣は、器用にそのフードの少年の服を縫い留めるように壁に刺さっていた。


「お前、なんでここにいるんだ」


 グレイ隊長が鋭くフードの少年に問う。

 確かにフードを被ってて怪しいけど、他の団員もいるしこんな事をするほどかな。

 疑問に思う私を余所に、フードの少年は何も答えない。

 逆に腰を抜かしていた近衛騎士団二人が騒ぎ始めた。


「こ、こんなことをして許されると思っているのか!?」

「近衛騎士団としても、この国を支える貴族としても、厳重に抗議させてもらうぞ!」


 へっぴり腰の二人が叫ぶが、グレイ隊長の一睨みで肩を震わせて黙り込む。


「抗議するのは俺の方だ。―――こいつを城内に連れ込んでどうする気だ」


 グレイ隊長がフードを乱暴にまくって少年の顔を顕にする。

 燃えるような赤い髪、朱色の瞳の少年だ。悔しそうな歯噛みした顔でグレイ隊長を睨んでいる。


 ロータス・コーディアルレッド。


 私がチュートリアルを台無しにした『恋革』の攻略対象の一人だ。


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