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モテる男は違う

 ようやくキリのいい所まで仕事が片付いたので、一息ついて改めてアンバーを見る。

 顔がいい。

 隣に腰掛けているお陰で距離が近い。なんかいい匂いもする。

 イケメンと二人っきりでこの距離感。普段は意地悪な彼が(仕事だからだけど)親切にしてくれるシチュエーション。普通の15歳の女の子だったら恋に落ちても不思議じゃないぞ。

 私は院長の宗教画のごときエンジェルフェイスを見慣れているから感覚が麻痺してるのかもしれない。院長に比べればアンバーはまだ地に足ついたイケメンだと思う。

 私の視線に気づいたのか、アンバーがこちらを見やる。

 

「どうしました?」

「いや、顔がいいなぁと」


 疲れもあってかうっかり思っていたことをそのまま口に出してしまった。

 アンバーは楽し気な笑みを口元に浮かべると、人差し指で私の顎をすくって顔を近づけてきた。

 

「貴方も大変可愛らしいですよ」


 嫌味か? 

 そんなお綺麗な顔した男に言われても。自分のモブ顔加減はわかってるのよ。


「……ありがとうございます……?」


 大変微妙な顔で返事をしてしまったことは許してほしい。あまりにも対応が手練れすぎて若干引いてしまったせいもある。

 私の反応を見て、アンバーは目を数度瞬かせた後に、私から手を引いてクスクス笑い始めた。

 どこにそんな笑う要素が?

 アンバーはしばらく笑っていたが、一息ついて眼鏡を直すといつものすまし顔に戻った。


「失礼しました。もう少し遊びたいところですが、後が怖いので止めておきます」

「人で遊ばないで下さい」


 真顔で言い返したがニッコリ笑顔で受け流された。

 その顔なら大変おモテになるでしょうね。遊ぶだけ遊んで捨てるイメージしかもてないけど。

 しかも政治の実権を握っているクロッカス殿下の側近。殿下の仕事の補佐から身の回りの世話までこなして、更に王宮内にも目を配れる有能執事だ。クロッカス殿下に話をつけるならまずアンバーを通さないと不可能とまで言われている実質的な殿下の右腕でもある。

 モテる要素しかない。

 性格終わってるけど。

 とりあえず仕事も片が付いたのでそんな性格終わってる人からは離れるに限る。

 立ち上がりかけた私にアンバーが声をかけてくる。


「ところでサクラさんに尋ねたいことがあったのですが」

「なんですか?」

「どちらでこんな勉強なさったんですか?」


 変な事聞くなぁ。


「孤児院で習いましたけど」

「孤児院で?」

「はい」


 訝し気に見つめられた後にニッコリと笑顔を向けられた。


「やはり貴方は興味深いですね」


 何が貴方の興味を引いたんですか?


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