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霊感

 グレイ隊長に続いて隠し扉の中に入る。

 もちろんグレイ隊長の隊の人達も一緒だ。

 私達を囲んでいた衛兵達は最初、入るか迷っていたようだが、結局一緒に来る事にしたようだ。

 後ろについてくる衛兵に警戒していると、隊の人達と一緒にいたモブ君が話しかけてきた。


「サクラちゃん、心配したよ。無事で良かった」

「ごめん、私もまさかあんな事になるとは思わなくて」


 モブ君からしたら、急に目の前で倒れそうになった挙句に紙に頭突っ込んで消えたんだよな。

 本当に申し訳ない。


「でもサクラちゃんのおかげで証拠は持ち帰れたし、グレイ隊長に話してる時にジェード君が来てくれたからサクラちゃんがどこにいるかわかったし、タイミングはバッチリだったよ」

「それなら良かった。無事、子ども達も助けられるしね」


 視界の先では牢屋に囚われた子どもを隊の皆んなだけてはなく、衛兵も一緒に助けている。

 教会の衛兵だから、本来は良い人達なのだろう。


 助けられて良かった。


「ジェードくんも一緒に来たそうだったんだけど、報告があるからって別行動になっちゃったんだ。でもサクラちゃんの事、凄く心配してたから後で安心させてあげてね」


 モブ君が苦笑しながら説明してくれる。

 報告って言うのは院長に、だろう。

 もともと院長からの依頼だったからね。

 ジェードにも悪い事をした。

 また院長に無茶振りされない事を祈ろう。


「じゃあ俺は皆の手伝いしてくるから、またね!」


 モブ君は元気良く手を振って去っていく。

 救出活動を尻目に、グレイ隊長はどんどん先に進んでいく。

 廊下は一本道なのに教皇の姿も双子の姿も見えないので、おそらく全員この先にいるんだろう。

 私も救出活動を手伝おうと思ったが、グレイ隊長に手招きされた。


「嬢ちゃんはこっち。正直、嬢ちゃんについてきてもらった方が助かる」


 眉間に皺を寄せたグレイ隊長が呟く。


「そう言ってくれると嬉しいですけど、足手纏いにしかならないと思うんです」


 はっきり言えばグレイ隊長の仕事の邪魔でしかないと思う。

 申し訳なさでいっぱいになっていたら、グレイ隊長は私をちらっと見て納得したように再び前を向いた。


「そうか、嬢ちゃんは見えないんだな。見えないならその方が良い」

「え? なにが?」

「嬢ちゃんは後ろにいろよ。この先だ」

「気になるんですけど!? グレイ隊長には何が見えてるんですか!?」


 先に行こうとするグレイ隊長の腕を掴んで引き止める。

 グレイ隊長は困った顔を私に向けた。


「何って言われると説明が難しいんだが、死んだ奴の怨念って言うか、良くないモノって言うか......。見える奴の方が少ないんだけどな」


 グレイ隊長、霊感持ちだったのか。

 異世界なので正確には違うかもしれないが、私が知る近い単語がそれしかないので、そう判断するしかない。

 つまり何も感じないし見えない私は零感というわけだ。


 モブだからしょうがない。


 怖い話は好きだけど、グロいのは苦手なので見えなくて良かった。

 そこまで考えてある事に気づく。


「え? それで『見えなくて良かった』って事は、何かいるんですか?」

「ああ。奥から漂ってきてるな。数が多いな」


 本当に見えなくて良かった。


 グレイ隊長が見る先には再び下に降りる階段がある。階段の先は暗くて見えない。

 この先に教皇も双子もいるのだろう。

 私はグレイ隊長に言われた通り、彼の後ろについて階段を降りる事にした。


 今までの傾向からしてイベント戦かな。でも、こんな所で戦う相手いたっけ......?


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