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悪役ムーブ

 私達の背後に現れたのはグレイ隊長だ。モブ君や他の兵士も一緒である。


 流石ジェード! もう知らせてくれたんだね! 仕事が早い!


 グレイ隊長も、モブ君の証言とジェードの言葉ですぐ動いてくれたのだろう。

 柔軟な人で助かった。

 しかし教皇も面の皮が厚い。全く動揺した素振りなく、グレイ隊長へ話しかける。


「これはこれは。隊の皆さまで礼拝ですかな。こちらは込み入った事情がございまして、衛兵を集めておりました。皆さまはどうぞ礼拝堂へ」

「そんな事言わないでください。俺らも知らせがあって来ただけですから。ーーーあんたが良からぬ事を企んでるってな」

「それは我が愚息が騙されただけであって、私の身は虹の女神に誓って潔白です」


 教皇の言葉に、グレイ隊長は凶悪な笑みを浮かべた。


「偽り? だから? あんた、クロッカス殿下を追い落とそうとしてるだろ。邪魔なんだよ。この際、偽りでもなんでも、あんたを捕まえる口実が出来て助かるぜ。そのまま教皇の座から叩き落としてやるから覚悟しな」


 あ、悪党ー! 事実なんて関係なしに有罪にする気だー!


 教皇も同じように真実の証拠を『偽り』だと言って衛兵達を騙してたから、どっちもどっちだけど。

 それにしてもグレイ隊長のは胴に入った悪役ぶりである。普段とのギャップで更にカッコよく、魅力的に見える。

 流石ラスボスの側近。


「これだから殿下の手下は......。これは横暴ですぞ。厳重に抗議させていただく。そちらから仕掛けてきたのだ。反撃は正当防衛ですからな」


 教皇の言葉に衛兵達がグレイ隊長にも剣を向ける。が、グレイ隊長は余裕の笑みだ。


「いいのか? 俺はクロッカス殿下の剣だ。戦えば殿下に歯向かった事になるぜ。お前も家族も、この国に居られなくなるぞ。殿下に逆らった奴らがどうなったか、知ってるだろ?」


 逆らったら一族郎党皆殺しにした噂のある殿下の部下に、これを言われたら怖いわ。

 実際にクロッカス殿下も『国の為なら死んでもらう』とか言ってたから、あながちこれは嘘じゃないのかもしれない。

 実際、衛兵達に動揺が広がっている。


「教会と王族が争えば、国が再び荒れるぞ! 信仰を蔑ろにしたお前達に誰がついていくと......」

「お? やるか? 10年前に腐敗してた教会を綺麗に掃除したから、その時の記憶が残ってる奴が多いと思うけどな。信仰を盾にしても殺されるのを見てるんだ。今回の事が表沙汰にされても、あんたを差し出して収集をつけようとするだろ。......教皇の位なんて、欲しい奴は山程いるしな」


 買収まで視野に入れてるのヤバい。


 やはり権力は全てを解決する。


 動揺する衛兵を尻目に、グレイ隊長はフォーサイシアに目を向けた。


「お前はどうするんだ? どっちにつくか、態度で示せ。こっちに味方するなら、兄貴共々俺が身柄を保証する」


 今まで呆然と流れを見ているだけだったフォーサイシアは、グレイ隊長の言葉ではっとした顔をした。

 フォーサイシアは迷いなく身長ほどもある光の杖を顕現させると、教皇の方へ向ける。

 それと同時に、ネイビーが私の手を優しく振り解いて体を覆う闇属性の魔力を放出した。

 黒い魔力がネイビーの手足に集まり、鉤爪のようになる。

 それはいいんだけど、ネイビーの頭部に魔力で2本のツノのようなーーーいや、犬の耳みたいな物がピョコっと飛び出ているのが気になる。

 全身を覆う魔力も黒いから、ぱっと見、狼男に見える。多分、ゲームでそういうデザインだったのだろう。


 こんな状況なのに、可愛いと思ってしまった。


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