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人質

「そっちはどうだったの?」

「上々です。どうやら子どもたちを使って大規模な魔術を使用しようとしていたようです。ですが、どうしてそのような事をしようとしていたのか、それはわかりませんでした」

「子どもを使って……? それって禁術?」

「恐らく」


 フォーサイシアが難しい顔で頷く。

 そりゃ父親がそんな事していたら傷つくだろう。

 しかも理由もわからない。こうなると教皇本人に聞くしかない。

 フォーサイシアは本を何冊かと資料を手にしている。

 恐らくそれらが証拠品なのだろう。

 本棚には対象の本があったし、私が見つけた金庫みたいに部屋の中に隠されていた物もあったかもしれないのに、爆速で見つけてきたのだろう。


 この双子、揃うと最強なのでは?


 とりあえずフォーサイシアが告発すれば握り潰されたりしないだろう。

 なんせ攻略対象だ。ゲーム補正があるなら運も周りも味方してくれる。

 それが無理で教皇の権力で握り潰されそうになったら、私からクロッカス殿下に頼んでみよう。証拠さえあれば、あの人はちゃんと聞いてくれるはずだ。


 頼るべきはラスボス。


「証拠品が見つかったのなら、もうここに用はないよね。さっさと出よう」


 私の言葉にフォーサイシアが頷く。


「そうですね。父にバレないうちに行きましょう」


 話しながら三人で寝室から出る。

 しかし双子が探索していた私室から出る前に、外から足音が聞こえてくるのに気づいた。

 しかも一人ではなく複数だ。バタバタと音を立ててこちらに向かってくる。

 ネイビーが警戒するように唸り出す。


「来る……!」

「ネイビー、落ち着いて。最初から警戒心むき出しで行くと怪しまれるから」


 私はネイビーの背中を擦ると、彼は頷いてフードを目深くかぶる。

 表情を見られないようにするためだろう。

 理解が早い。フォーサイシアと双子なだけはある。

 フォーサイシアが前に出て、扉を睨む。


「私が何とかします。二人は私の後ろに」


 確かにフォーサイシアの話ならまだ聞いてくれそうだ。

 フォーサイシアの言葉に頷いて三人で構えていると、扉が開いた。

 入ってきたのは下で見張っていた衛兵たちだ。

 部屋に飛び込んできた彼らは、フォーサイシアではなく後ろにいる私たちに槍を向ける。


「フォーサイシア様、その者たちから離れてください!」

「騒がしいですよ。何事ですか?」


 フォーサイシアが衛兵たちを睨みつける。


「その者たちは教皇様の部下ではありません。フォーサイシア様を騙す不届き者です!」

「そんなはずありません。彼らは父の部下ですよ」

「その教皇様からフォーサイシア様の近くに不審者がいると伺ったのです! 間違いありません!」


 げ。教皇にネイビーが逃げ出したのバレたか?


 そこでフォーサイシアが見知らぬ人物を連れていたら、双子の兄だと疑うだろう。

 フォーサイシアもこれには口ごもってしまう。

 衛兵たちは今にも私たちに突撃して来ようと間合いを図っている。

 ここで捕まるわけにはいかない。

 こうなったら―――


「動くな! こいつがどうなってもいいのか!?」


 私はフォーサイシアを人質に取った。

 私に合わせてネイビーがフォーサイシアの首に手を回す。

 それに動揺して衛兵たちの動きが止まった。


 フォーサイシアが慕われてて助かった。


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