表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/372

色違い

「サクラ?」

「何かありましたか?」


 私が肖像画を眺めていると、向かいの部屋の探索が終わったのか双子が話しかけてきた。


「これなんですけど......何か知ってる?」


 二人が見えやすいように私は肖像画の前から退く。

 それに反応したのはフォーサイシアだ。


「この方はクロッカス殿下の奥方ですよね。雪の妖精の加護を持っていたと有名な方ですから、存じております。この容姿もあって、当時妖精の加護持ちと信用されたと聞いた事があります」


 という事は、書いてある通り殿下の奥さんで間違いないみたいだ。


「その肖像画がなんでここにあるか知ってる?」

「さぁ......。私もあまり父の寝室に入った事がありませんし、気づきませんでした」


 私の質問にフォーサイシアも困惑気味だ。

 むしろドン引きしている気もする。

 それはそう。父親が母親でも宗教画でもない絵を寝室に飾っていたら引く。

 グラビアとかアイドルがいない、この世界では異質だ。

 しかも人妻。

 息子として、どう反応したらいいかわからないのだろう。

 しかし、ネイビーの反応は違った。


「似てる!」

「似てる? 誰に?」

「サクラ!」


 にっこり笑って私を指差すネイビー。

 言われたこちらは困惑しかない。


「どこら辺が似てるの?」


 こんな聖女みたいな美人に似てないよ。

 しかもこの絵は院長によく似ている。

 あんな人外じみたフェアリーフェイスとモブの私では天と地の差がある。

 しかしネイビーは折れなかった。

 

「目、髪、色! 違う、だけ!」

「確かに目と髪の色は違いますけど、それ以外はサクラに良く似ていますね。目元の雰囲気を変えれば私達双子のように似てると思いますよ」


 フォーサイシアまで同意してくる。

 私は再度肖像画を見返した。

 全く似てると思えない。


「目元の雰囲気が違えば、印象なんて大分違うんじゃないかな.......」


 肖像画の女性は瞳が大きくて二重で優し気な印象を受ける目だ。

 しかし私の目は切れ長で、第一印象で睨んでいるようなイメージを与えるタイプである。


 クロッカス殿下と似たような目つきなんだよね。第一印象が悪くなるタイプだ。


 目が与える印象って大事だから、やっぱり似てないと思うんだよね。この人とは。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ