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スニーキングミッション

 フォーサイシアの先導で大聖堂に入る。

 私は宗教とか教会とかに全く興味がないので何とも思わないが、ウィスタリアの国民なら一度は訪れてみたい場所らしい。

 確かに一般公開されてる礼拝堂も、天井の宗教画や繊細なステンドグラスが美に入り細に入り人の目を惹く。まるで美術館みたいだ。

 私たちはそんな礼拝堂を通り過ぎて、関係者しか入れない区画へ向かう。

 ただフォーサイシアが通り過ぎるだけでも、礼拝堂やその近辺にいた女の子達から熱い視線を向けられている。


 顔が良いし、性格も良いっぽいからね。わからないでもない。


 ただフォーサイシア本人は涼しい顔だ。恐らくそういった視線に慣れているのだろう。

 私としてはフォーサイシアに視線が集まってくれれば、ネイビーと私が注目されることがなくなるのでとても助かる。

 怪しまれるのが一番まずい。

 女の子たちの目線を躱わして辿り着いた関係者用の大聖堂への出入り口には、当然のことながら衛兵が立っていた。

 フォーサイシアは慣れた様子で衛兵に声をかける。


「いつもご苦労様です」

「ありがとうございます。そちらの方々は?」

「父の部下です。今日は私の付き添いとして一緒にいます」

「わかりました。どうぞ」


 特に疑われることも調べられることもなく、衛兵が道を開ける。

 難なく大聖堂の中に入り込んだ後も、フォーサイシアに声をかけられることはあっても私たちが疑われることはなかった。

 恐らくフォーサイシアが今まで真面目に活動してきたから、皆に慕われて信用されているからなのだろう。

 そうでなければフォーサイシアもネイビーを一緒に連れて行こうと思わなかったと思う。


 実際はその信用を利用して私を手引きしているんだけどね。


 フォーサイシアもいろんな人に話しかけられても、焦ったりせず涼しい顔で対応している。私たちの事に関して一切ボロを出さない。

 腹芸も出来るタイプなんだな。


 むしろ私が要らないのではないだろうか。フォーサイシアとネイビーだけで事足りるのでは?


 だけどジェードは親子の情で二人が証拠品を処分するのでは、と疑っていたのでついて行きたがっていた。

 でもジェードはついていけなかったので、私が代わりに二人をしっかり見張っていようと思う。

 フォーサイシアと話した感じではそんな事しない人だとは思うけど、念には念を入れておいた方がいい。


 ここで寝返られて、ネイビーの魔法陣やら子どもたちの事を口封じするために捕らえられたり殺されたりしたらたまったものじゃない。


 そうしてダンジョンのように入り組んだ大聖堂内を進み、ようやく教皇の私室へ辿り着いた。

 フォーサイシアが部屋の扉をノックする。

 返事は返ってこない。


「この時間、父はいません。今は誰もいないようですし、チャンスですね」


 そう言って持っていた鍵を使って部屋の扉を開ける。

 息子として鍵を預けられるくらいに信頼されてるんだろうな。

 裏切ってるけど。


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