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カンニング

「私は孤児院の子が行方不明になってるから探してたの。それで色々調査してたら、この下に飛ばされちゃって」

「また危ないことに首を突っ込んでたの? ダメだよ。そういうことは素人がしなくていいんだから。やっぱり僕も孤児院について行けばよかった……」


 ジェードがジト目で睨みつけてくる。


「ごめんって。でもこの下に子どもが沢山囚われてるから、早めに見つけられて良かったよ」

「え!?」


 ジェードが驚いて私の飛び出してきた階段に近づく。

 ジェードが近づくにつれ、獣のような警戒心満点の唸り声が下から響いてきた。思わずジェードが警戒したようにナイフを取り出す。


「あ、大丈夫だから! ネイビーも出てきていいよ」

「うん!」


 私が声をかけるとネイビーが駆け足で階段を上がってきた。

 ただ、ジェードもネイビーもお互いにお互いを警戒している。


「サクラ。このフォーサイシアにそっくりな奴、誰?」

「血、臭い、する。こいつ、いや」


 お互いに睨み合い、一触即発な雰囲気に慌てて割って入る。

 隠しキャラ同士だから、本来なら会わないはずの二人だ。

 すぐに仲良くなるフラグなんて存在しないだろう。


「この子とは下で偶然知り合ったの! ネイビー、この子は私の弟だから喧嘩しちゃだめだよ!」

「偶然……?」

「弟? わかった!」


 訝し気なジェードと素直に頷くネイビー。

 対照的な二人だ。

 そんな二人を連れて、人目につかなそうな所に移動する。

 祭服を着ているジェードは兎も角、ボロボロの服でフォーサイシアにそっくりなネイビーがいるのを知らない人に見られると怪しまれる。

 そこで改めて、ジェードに今までの経緯を説明した。

 話すにつれて、ジェードの目がどんどん冷たくなっていく。


 正直、すまないと思っている。


 しかし大聖堂は有名な場所だけど、こんな裏庭があるのを知らなかった。

 礼拝に来る人は大体大聖堂の中に入るので、わざわざここまで来ないのだろう。全く人気が無い。


 ひょっとしてネイビールートでしか来れない場所なのかな。


 私が出てきたのは三つ並んだ像の内、雪の妖精の像の下からだった。

 よく見れば雪の妖精の像の左手が不自然に下を向いている。像をよく見ると左手の部分が動くようになっており、元々左手は上を向いていたのだろう。

 本来なら謎解きしてこの三つの像の内、どの像のどこを動かすか調べてこないといけなかったはずだ。

 しかし私が下でボタンを押したことで、石が動く時に一緒に左手も正解の位置に移動してしまったのだろう。


 ゲームを逆走してカンニングしてしまった。


 少し罪悪感を覚えると共に、改めて雪の妖精の像を見やる。

 見れば見るほど院長にそっくりだ。偶然だろうけど。


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