偽物退治
突然だけど、この世界は日本とは全く違うけど、似た世界。
まぁ簡単にいうと日本っぽい西洋っぽい世界なのね。
なので服や普段の生活においては日本に近い暮らしをしているけど、
王族や貴族などの社会があり、この辺りは中世ヨーロッパっぽい感じ。
そしてこの世界には各国の国王や偉ーい人ですら逆らうことのできない4人の選ばれし人間がいる。
それが、ダイアモンド、サファイア、ルビー、エメラルドの4人。
見た目が変わっているとかすごーくお金持ちっていう理由ではなく、
この4人にはある特殊な能力や魔法なんかがチート級の特殊な人たち。
ダイアモンドは風を操り、回復魔法を使うことのできる人。
サファイアは水を操り、人の心をよめる人。
ルビーは、火を操り、戦争や戦いでは負け知らず。
そしてエメラルドは木を操り、鉄壁の防御を持つ人。
あ。この世界では能力や魔法のレベル?が全て宝石として表すことができるの。
最上位は4大宝石の四人
その次はまぁいわゆる宝石っていう人たち。
この人たちの中にも希少価値によってレベルがあるらしいけど、あまり知らない。
そして能力や魔力がない人のことを石と言うけれどこれは差別用語なので基本的に使うことはない。
さぁ、ようやくなんで私がこの世界について話しているかを話すことができる。
うちのおばあちゃんはダイアモンドとして生まれた。
優しくて、とても大好きなおばあちゃん。
先日、その祖母が亡くなった。
宝石者は血や家柄では受け継がれない。
誰かが亡くなったら神様の元にその宝石が帰り、新しい宝石者が生まれたり、
今まで石だと思われていた人が宝石者になったりする。
そして今日は王都での舞踏会があり、私も参加していた。
サファイアとして。
ちなみに、4大宝石者だけは国王陛下以外の人間には
誰が4大宝石者なのかを開示されない。
暗殺や陰謀に巻き込まれたくない4大宝石者と
この国から宝石者を出したくないこの国の初代国王との間に交わされた約束である。
なので私は一貴族として参加している。
ちなみに、亡くなった時にようやくその時の宝石者誰なのかを開示するので、
祖母が亡くなった後にはたくさんの慰問客が訪れ、祖母が愛されていたのだなぁと実感し
涙腺が崩壊した。
そして、今日はダイアモンドがいなくなってからの初めての舞踏会で、
おそらく、次期ダイアモンドが見つかったと言う報告があるだろうと周囲では噂されている。
(まぁ、そんなわけは絶対にないけど。)
なぜ私がそこまで言い切れるのか。これには4大宝石者のルールが関係してくる。
4大宝石者はそれぞれに相性という物がある。
サファイアとダイアモンドは相性が良く、エメラルドとルビーも相性がいい。
別に他の宝石者と仲が悪いわけではなく、一番相性がいいということだ。
なのでそれぞれが結婚したり、家族、兄弟である可能性は高い。
そして、お互いが4大宝石者であることは目を見ればわかる。
そして現在の宝石者が亡くなった場合は他3名から承認されないと
新しい宝石者として認められないのである。
そして今日に至るまで別に新しい宝石者の紹介は国王からなく、
今日の舞踏会でも紹介はないだろうと思っている。
・・・否、思っていた。
「アレクサンドリア王太子のご入場です!!」
衛兵が大声で叫ぶとホールに集まっていた全員が一斉に頭を下げる。
もちろん私も下げる。
(王太子・・?)
王太子が階段を降りてくる音と共に一緒に3名の人が降りてくるのが影の動きで分かった。
「みなさん、楽にしてください!」
そう言われ、全員が頭を上げると、
そこには王太子の他に3名が立っていた。
1人は宰相の息子だったと思ったが、正直人の名前と顔を覚えるのが苦手なので
よくわからん。
もう1人は格好からや体格からして騎士団員もしくはそれに近しい感じだと思う。
そして最後の1人は王太子の腕にべったりと抱きついているふわふわの金髪にキラキラしたブルーの瞳、
まっピンクのふわふわのドレスを着ていた。
(いや、誰ー・・・)
多分おそらく、見たことのない人物だろう。あそこまでプリプリのふりふりであれば見たら絶対に忘れない。
「今日はよく集まってくれた、先日ダイアモンド様が亡くなり、皆、悲しみに暮れていたと思う・・
しかし!今日、今世のダイアモンドがわかったことを報告したい!今世のダイアモンドであるアリーシャ嬢だ」
(いや、バラしたらいかんでしょうよ・・)
この王太子、昔から頭たりねぇなと思っていたが、脳内もお花畑で、帝王学なんて右から左に受け流されたんだろう。
「また、私は4大宝石者を隠さず、私の周りでしっかりと能力を活かしてもらおうと思うので、
今世の残りの3人についても今日発表しようと思う!」
(はぁ・・)
ホール中がざわつく中、先ほどの2名がルビーとエメラルドだと紹介される。
いや、私の知ってるエメラルドとルビーじゃないし。
ちなみに本物のルビーとエメラルドは婚約中で2人でこの茶番劇を見ているが、
目があった瞬間に2人ともニンマリと笑っていた。
(この面白い茶番劇を楽しみたいのね・・)
2人にわかるように肩をすくめる。
「そして!サファイアは僕だ。3大宝石者から認められたからようやく発表できる!!」
鼻の穴を大きく膨らませ、今にもにやけ出しそうな顔を必死に抑える王太子サマ
「この国の発展のため、この4人で共に支え合って生きていこうと思うのでついてきてくれ!」
その言葉に鳴り止まぬ拍手が響く。
まぁ、皆誰が本当の4大宝石者か知らないわけですからね。
王太子様の言葉で胸熱なんですね。わかります。
「そして!今日、このアリーシャ嬢と私の婚約も発表する!」
そういうと、アリーシャ嬢はさらに王子に抱きつく。
「何あの茶番・・w」
ふと気づくと、エメラルドとルビーが真後ろまで近づいていた。
「ね。絶対王様知らないよねw」
他の感動している貴族に聞こえないように2人に呟く。
「まーアホ・・王太子様の決めたことなら貴族として従いましょ?」
ルビーの言葉に頷く。
正直なところ、この国がどうなろうが知ったことではないし、
我々が去っても大きい国だからすぐに衰退はしないだろう。
でも、いずれ衰退する。
4大宝石者はそれほど偉大で尊い者なのだ。
「ま、とりあえず様子見しようぜ」
エメラルドもルビーも自分が本物であると名乗る気はない。
初代国王と初代4大宝石者との約束もあるし、わざわざ自分達に被害があるかもしれないようなことに
巻き込まれたいわけではない。
「でも、ダイアモンドを騙る奴は許せないなぁ・・・」
ふわふわプリプリを遠目に眺めつつ、呟く。
私にとってのダイアモンドは祖母であり、他のものに汚されていい存在ではない。
もちろんどこかには既にダイアモンドが生まれているだろうけど、それはあのピンクではない。
「とりあえず、あれをどうにかするように動くよ」
2人を見つめ、そう伝えると、わかったと同意を得る。
とりあえず、偽4大宝石者たちには痛い目にあってもらおう。
どんな手がいいか考えているだけでニヤニヤが止まらなかった。




