爺ちゃん婆ちゃんち。
森が三日月の夜
あくびをしてから眠る
爺ちゃんちのボンボン時計鳴る午前零時回る
壁の鹿の剥製がこっち見てる
怖くて眠れない
箱入りのフランス人形は婆ちゃんのお気に入り
見ないでほしい
大きなワンワンのぬいぐるみも
僕のためにって、白い身体を横たえる
黒いお仏壇が何も言わないで
お墓みたいな誰かの名前を静かに言う
高曾祖父ちゃんの名前だって
夕方に厄神さんにお詣りに行ったの思い出す
ケタケタ笑って、いとこのお姉ちゃんと
日の沈むお墓通って手をつなぐ
小さな赤い鳥居
何をお願いしたのか
四等賞のチキンラーメン当たった三角クジ
ずぅっと、田んぼ越えりゃ
山の中に湖があるんだ
養鶏場越えて
夕方よりも夜の近い
コケコッコも言わない
もっとその奥の神社の境内
爺ちゃんと肝試ししたっけ
真っ暗なのに
秋祭りに使う御輿に隠れて
バァ……!!
爺ちゃん、あの世にいっちゃた
土俵は神さまへの贈りものだってね
僕は相撲弱かったけど
婆ちゃんは、心臓悪くても山に登って、毎朝お祈り
婆ちゃんは、病院で死んだ
ずっとずっと顔隠してる
何も言わない神さまが
鳥居の奥でも
仏壇の奥でも
黒い黒い影に隠れてる
僕は何も言わないけど
ただお盆に爺ちゃんの唱えるお経が好きだった
南無阿弥陀だんぶぅ
だんぶぅ
だんぶぅ
どんぶらこみたいで
なにかにはこばれるみたい
だんぶぅだんぶぅ
南無阿弥だんぶぅ
なむあみは
だんぶぅ
ももいろのゆめにはこばれる
燈籠が橙々色にともる
夜中に降る雪
僕の後ろの足跡
曾婆ちゃんの漬けた梅酒
コンバインとトラクターの納屋の上
僕はバリバリに糊の効いた婆ちゃんの敷いた布団で
膝を丸めてひとり眠る
冬の妹の生まれた日




