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愛に生きるイシュタル家  作者: 小豆
1/1

傍迷惑なご先祖様

勢いとノリだけで書いてます。

クスッと笑ってもらえたら嬉しいです。



昔々、とある国の東端を預かる貴族に獣人の娘が嫁入りしました。



不思議なことが起こっても、

妖精が飛び膝蹴り入れてきたとて寛容に受け入れられるこの国でも初めてのことでした。




そこそこ優秀で、そこそこ顔の良い貴族の青年は、

迎え入れたお嫁さんのあまりの美しさと心の綺麗さに惚れ込み、

彼女をこの国一番の幸せなお嫁さんにしなくてはと一念発起しました。




一方お嫁さんは、人族と明らかに違う冷たい鱗肌を恥、表に出てくることはほとんどなく、

出てきたとしても神秘的なベールを常に身に纏っておられました。




悲しそうに縮こまる奥様を見た領民は怒り狂いました。



領民達は、奥様を女神と讃え、領主よりも尊んでいたからです。



なんたって奥様は、何ヶ月も雨が降らずに困っていた時に雨乞いをして助けてくれた命の恩人だからです。

もしあのまま作物が育たなければ、全員生きて冬を超えられなかったことでしょう。




領主様の不甲斐なさに怒りが上限突破した民たちは、城に詰め寄り声を上げました。



テメーの嫁さん尊敬すべき人なのに、なんでコソコソしてなきゃならんのだ。

なんであんなに悲しそうなんだ??お前虐めてんのか?幸せにするんじゃなかったのか?ぁあん???反乱起こすぞ???




それを見た領主様は、はぁ???絶大に愛してますがなにか?どういうこと???僕の奥さん世界で一番美しくて、心優しくて女神なんですけど???虐めてなんかいないんだけど、どういうこと!!??



と疑問符を並べながら奥様のところにダッシュで駆け寄り、

飼い主に見捨てられた犬のごとく情けない顔をしながら問いかけました。




君の美しさを有象無象に見せたくなくてベールについて何も触れなかったけど、

なにか意味があったのかい?僕が至らないから君に嫌な思いをさせたのかい?




キューン、キューンと鳴き声が聞こえてきそうな

滝のような涙を流す夫に奥様は驚きつつも優しくハンカチで涙を拭いてあげました。

ドン引かなないなんてマジ天使!




奥様はどうしたものかと迷いましたが、嫁いですぐに参加した一族のお茶会で意地悪されたのだと打ち明けました。




私は皆様のようにすべすべの肌もなく温かな体温もありません。

それに獣化したときは恐ろしい龍の姿になります。

旦那様の横に相応しくない言われて、それから自分の姿が恥ずかしく、自信を持てなくなってしまったのです。




話を聞いた旦那様は表情をストンと何処かに落として、奥様に言いました。




ちょっとまっててね。害虫駆除をしてくるから。




人の体では到底出せないスピードで、旦那様は領地を駆け巡り、奥様を虐めた奴らを物理的に精神的に吊し上げてやりました。



領主様は奥様を思うがあまり、この世になかった身体強化魔法を作り出し自在に操ってしまったのです。




領地の害虫駆除は苛烈を極め、三日三晩どこかしこで悲鳴が上がったとかなかったとか。




奥様は、旦那様が自分の為に世の理を逸脱して新しい魔術を作っちゃった事に感動して、この人を一生愛すと固く誓いました。




そんな2人の姿を美しいと思った暇人な全能の神は、

龍人属にその生で一人、運命の相手しか愛せない枷を与える代わりに絶大な力を与えました。


また、領主の血族には愛の為ならどんな困難にも立ち向かえる力を与えました。

その反動で常識がどこかに吹き飛んでいったり、思考回路に異常を起こしたりしたけど、まぁご愛嬌ということで。




そして可哀想なことに、神様からとんでもない迷惑な神託を受けた王様は頭を抱えた。


おいおい神様よ、何してくれてるの?私の国民に何してくれてるの?



しかも辺境伯、君なに?人間やめたの?そういうことするなら親友である私に一言声かけてからにしてよ!!?と、王様は大混乱に陥った。




どこにでもいそうな純朴な青年だったはずの親友は、いつの間にか同担歓迎アンチは焼き尽くすマン。奥様が最推しなラスボスと化していた。マジで何なんだ?



これ以上被害を拡大するわけにもいかないのでとりあえず王命を出しておかなければ。



"東の端にある辺境伯家の愛するものに手を出すな。

出して滅ぼされても私は知らん。"と。



触らぬ神になんとやら。虎の尾を踏むな。私の仕事を増やしてくれるな!!!




あぁ、早く息子に重たい荷物を押し付けて退位したい!!まだ5歳だから当分無理だけどっ!!!


そのうち政務に追われて、辺境伯の尻拭いに奔走した王様は、"やってられるか!"とキレた。


その勢いで、元凶である"全能の神"を崇める新たな宗教を作り出して、なんかあったら全ての責任を取らせようと画策した。

王様は少し壊れたようだ。



王様の胃はもう限界スレスレ・・・多分アウト。





こうして、愛に暴走して、愛のためだけに生きるとんでもない家が爆誕した。



初代とんでも辺境伯のとんでもなく重たい"家族愛"は、以降血族を気持ち悪いほどに守護することになったりする。



呪いは弾くし、人間関係もトラブルなし。そこらへんの神様の加護より正直優秀だったりする。





〜これは、イシュタル家のぶっ飛んだ家族が織りなす愛と迷惑の物語です〜








登場人物


【領主様】

東の端っこを預かる辺境伯。

20代半

良くも悪くもない平凡な領主だったが、

隣国からお嫁さんを迎え入れたらなんか覚醒した。

収入は年々右肩上がり。奥さんへの愛は爆速で右肩上がり。

とうとう人間の限界を超えて魔法を作り出しちゃった異常人。

全ての元凶はこの人。


【領主夫人】

隣国から嫁いできたお嬢さん。

10代後半。

儚げな美人さん。

最強の龍の獣人だが、鱗肌がコンプレックス。

雨乞いなど水系統の魔法が使える。

旦那さんが大好き。


【領民】

領主夫人が大好きな気のいい奴ら。

領主と共に婦人が住みやすい領土作りに奔走している。


【王様】

結構な大国の王様。

20代半。

友人のせいで胃に穴が開きそう。

そのうち色々吹っ切れて、友人を上手く使い国を治め始める。

賢王。


【王子】

5歳。

お父様が大変そうだから王様したくないと密かに思っている。

後に父親と王位の押し付け合いをして、王妃(母)にしこたま怒られる。


【全能の神】

暇人。

一時の楽しさで何も考えずにとんでもないことをしては、他の神様に怒られる。今回は滅茶苦茶怒られた。


また、本人知らぬ間に国教の主神にされちゃったもんでお仕事量爆増したり、

辺境伯が自分より優れた守護を一族にかけちゃったもんだから、流石に今回は泣いた。



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