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⑶『壁が来る』

⑶『壁が来る』



いつかは必ず、消失するものであろうとも、それが世界の原理だと言おうとも、壁は来る。壁がやって来る。自同律の問題、我々に残された時間は少なくないのに、くるくると、それは高速回転で以て、壁はじわじわと、やって来る。

疲弊した我々の頭脳は、その根拠をも見いだせず、ひたすら、世界の平和事情などに向かって、一役買いたい訳であるが、それが何なのかも分からない状態反応で、壁は来る。世界の片隅に、そっと忘却された怨念が、壁に変容したのだろうか。



しかし、少なくとも、壁は来る。異質に見えて、その実、本質であるという、異次元のメタファを抱えながら、のうのうと壁は来る。否定の次の肯定、肯定の次の否定、否定の次の肯定、肯定の次の否定、しかし、壁は来る。肯定しても否定しても、壁は来る。

くるくる回って、跡形もなく、世界を蹂躙する様な形式で、それは確かに、輪廻転生の様でもあった。夢の続きを思い出して、ふっと、現実を忘れ去る様な形式で、脳裏を掠める隕石群の様に、壁は来る。視覚を遮り出したら、それは壁だ。



幾重にも重なって、物事の行く末を実体化したような、訳の分からない俺の群像をも超越した、いわゆる、世界倫理の果てにまで到達しそうな、その壁、壁は確かに、壁以上でも、壁以下でもなかった。当たり前のことだと、壁が囁いている様に聞こえる。

勿論、来るのは、壁であるから、我々は、諸行無常をも追放して、新しい観念を蓄えねばならないのだが、それもそのはず、俺にとって、その壁と言う壁が、悉く壁として、俺を異質にするんだ、何だってそれは、と聞かれたら、壁だと答える、そう壁が来る。

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