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上位ランカー7

 真っ暗な視界からゆっくりと光が差し込んできた。

 相変わらず死んだ後は最悪の気分だ。

 死ぬ直前の痛みが身体中を駆け巡っている気分になる。


「そういえばメアは───」


「うわあああああん!! トーシロー!!」


「うわっ!?」


 ゆっくりと起きあがった身体に、まるでミサイルのように何かが突っ込んできて、その威力に僕は耐えきれずに再び倒された。


「わあああああああん!!」


「えっ、えっ!? メア!?」


 何だここは天国だったのか!?

 僕の好きな物が今胸の中に…………ってじゃないだろ!


「メア、大丈夫!? 怪我とか…………酷い目に遭わされてない!?」


 泣きじゃくるメアを見るも、一見して目立った外傷は見当たらなかった。


 僕が死ぬ最期にメアが来ていたのが見えた。

 あの上位ランカー達相手に完勝できるなんて到底思っていなかったが、僕の狙いは上手く功を奏したみたいだった。

 不意打ちでなければメアが負けるわけがない。

 だから夕飯の支度が終わってメアが僕を探しに来るまで、時間を稼ぐ必要があった。

 そしてメアが来るまでの時間稼ぎは間に合い、RAVENさん達をメアが退けたんだ。


「私は……ぐすっ……………大丈夫……。でも……私が知らないところで…………トーシローが戦ってたなんて……ぐすっ…………気付かなくてごめんなさい……!」


「僕は何度でも生き返るからさ。それよりもメアに何かなくて良かったよ」


「でもっ…………もし今度は復活しなかったらどうしようって…………いつもより生き返るのも遅かったし……」


 え…………?

 蘇生時間が…………長くなってる?


「ちょ、メア、僕が生き返るまでどれくらい経った?」


「……だいたい1時間ぐらい」


 長くなってる……!

 以前は殺されてからリスポーンまでのクールタイムはそれほど時間がかからなかった。

 一度目は殺された後、メアがお風呂に入るまでだから数分。

 二度目はお風呂から出てメアが待っている間だから数十分ぐらいか。

 そして今回は1時間。

 もしかして蘇生に制限は無くても、蘇生するまでの時間は死ぬごとに長くなっていくのか……?


「まいった。これじゃああんまり死ねないね」


「そもそも死んじゃダメなんだよ!」


 メアに涙目ながらに怒られた。

 そりゃそうだよね。


「でもほら、僕はこうして無事だったし、メアも無事。全ては上手く万事解決さ!」


「…………うん」


 やけに素直だ。

 素直なメア超可愛い。

 というかアレだよねこれ。

 抱きしめていいやつだよねこれ。

 だって向こうから飛び付いてきてるんだもん。

 もう実質的にメア自身から許可が出てるも同義だよね。

 いざ! 据え膳食わぬは男の恥!


「ふぅ…………ごめんね少し取り乱しちゃっ…………何してるの?」


 僕の両腕は突然立ち上がったメアを捉えることができず、空を切った。

 行き場のない両手がフラフラと宙をただよう。


「あー……いや、両手の脱力ストレッチを……」


「ふーん、そういうのあるんだ」


 ま、まぁこの先まだまだいくらでもチャンスはあるんだ。

 嫌がられたというわけではないだけまだマシだ。

 めげるな、僕。


「それにしても……トーシロー以外にもここに来るなんて、最近は来客が多いね」


 そうだ思い出した。

 このゲームはもうすぐサービス終了になる。

 僕がメアの所に来てから何日経ったかは分からないけど、だからこそ普段はチームを組まないはずの上位ランカー勢がまとまってメアの攻略に乗り出したんだ。


 流石にここに来るまで何時間も掛かるはずだし、連続ぶっ続けで攻略には来れないとは思うけど、今後もそう言ったパーティが来ないとも限らない。

 何か対策を講じた方がいいんだろうか?

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