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やりすぎたと思うがこのプレッシャーのおかげでこの場は何とか誤魔化せそうだ。
「レジィーちゃん、今のは・・・・いやいいきっと気のせいだろう。魔法だったね、水の魔法を見せてもらっていいかな」
ハンガーさんはさっきのプイレッシャーが気のせいだと思うことにしたようだ
助かった
「うむ 了解じゃ」
そう言うとレジィーは体内にある魔力を掌に集めだした。
何でそんなことがわかるかって、スキル魔力感知のおかげだ。
魔素を感知することができるこのスキルはLvが上がるにつれ精度が上がり今では体内で集められた魔力を感じられるようにもなっていた。
あと魔力の性質についてだが、魔力は体内にあるうちや魔法として放つなどは比較的扱いやすい。だが魔力をいったん外に出すと拡散してしまう性質がある、拡散させないように維持するのは難しい、さらに属性を後付けで加えることはさらに難易度は増す、なので今レジィーがやっていることはかなり高度なことであり今の俺がやろうとしてもまず成功しないだ。
てか、ここまでする必要がないだろうレジィー
「おい レジィー何しようとしてるんだ?」
「お主はだまっとれ まあ見ていればわかる」
落ち着いた雰囲気の言葉だったので、見守ることにした。
そうしているうちに丸い形をしていた魔力が少しづつ形が変わっていき小さな竜の形になりだした。
竜の形になるにつれさらに水気を帯びてきた。
レジィーが“ニヤ”と笑いそれは完成した。
完成したそれはレジィー似の氷像ならぬ水像で鱗まで再現されていて無駄に再現度は高い、そして綺麗だ。
「うわゃ~~~ きれいでしゅ レジーしゃまとしょっくりでし」
俺は慌ててジアの口をふさいだがほとんど言い終わった後であまり意味がなかったようだったが周りを見るとレジィーの発動した魔法があまりにもすごかったのでジアの言葉は気づかれていなかった。
ハンガーさんやドード、ビルツはあまりの出来事に言葉をなくしていた。しばらくして気を持ち直したハンガーさんは俺の方を向き、震える指で竜の水像をさし
「なんだい、その魔法は?」
いや、俺に聞かれても困る、レジィーに聞けよ。そりゃさっきのプレッシャーが後を引いてるかかもしれないが…魔法を発動した本人に聞いてくれと言いたい。だがまあ本人に聞きけないか(まあ怖いしな)しょうがないか。
俺はレジィーのスキル万物傾聴が働くことを信じて念じてみる
“なあ これ水魔法なのか?”
俺がそんなことを念じたせいかレジィーが頷き
「一応そうじゃぞ ほれ見てみろ(本当は始原魔法なのじゃがな)」
というと、おもむろにレジィーは地面に落ちている小石を拾い上げ空に向かって投げると水竜(レジィー似の水像なのでこれを水竜と言うことにしよう)は今までレジィーの方を向いていた顔を空の方に向け小さな口を開きブレスを吐くかの如く細い水の閃光が走った。それは小石にあたり真っ二つにし、空から落ちてきた。二つに割れた小石を拾い上げ断面を見るとまるで鏡のようになっていた。
それを見たジアは「わ~~~!!!」といいながらパチパチと拍手をしている。
それの拍手を聞いたレジィーは“ドヤ”といった風にない胸を張っていた。ない胸と思った瞬間レジィーがすごい勢いでこちらを睨んできた。“怖!!!”と思ったが謝るとあとで何かされそうなので気づかないふりをすることにした。
まあこれは置いといて、3人のことを忘れていたので慌てて
「これがレジィーの水魔法です。どうです すごいでしょ!レジィーの魔法は!!」
水竜がブレスを吐くのを見て3人は“ポカーン”とした顔になっていた。そんな状態なので俺の答えなど耳には入っていないようだった。
しばらく呆然としていた3人は、今なにが起こったのか理解できた?のかハンガーさん以外の2人は腰を抜かし立っていられない状態なり、ハンガーさんはというと顎髭をなでながらさらに冷汗をかいていた。
そこで俺はもう一度
「どうですかすごいでしょ!レジィーの魔法は」
そう声をかけると“ハッ”っとなったハンガーさんが反応を返してくれ
「そうだね!確かにすごいと思うだが・・・・・」
ハンガーさんの答えはどうも歯切れが悪い、あんな魔法見た所だもんな。そんなことを考えていると
少しまを開けてさらにハンガーさんは
「いやね、こんな形の水魔法見たことも聞いたこともないからね。どうしたもんかと思ってね」
そういったハンガーさんは一区切りつけてからさらに
「レジィーちゃんの魔法が俺達でも対処できる魔法ならよかった、そうしたら村に入ってもらってもよかったのだけどどう考えても俺達じゃ対処できないんだよね。だから迷っている。君たちを村に入れるかどうかを・・・・すまない。」
たしかにな、ハンガーさんからしたらあんなもの見せられて「はい!そうですか、ようこそ」なんて言えないよね。あんなトンデモ魔法じゃなくて水の球を出すとか飲み水を出すとかなら安心できたのかもしれないけどね。
さてさてどうしたものかと思っていると急に“クツクツ”とハンガーさんは微笑んだ
「すまない!笑うつもりはなかったんだ、今のを聞いても君たちは嫌な顔一つしないのでね。いいよ、君たちを信用しようじゃないか ようこそトランへ」
とまた某RPGのような村に入る挨拶をして頭を下げてきたハンガーさんにつられてドードのほうも頭を下げた。
こちらもそれにこたえて頭を軽く下げて村に入ることにした
そしてハンガーさんが
「村の案内は頼んでいいかな、ビルツ君」
「はい わかりました」
ドードから
「後で酒でも飲も!!うビルツ」
と声をかけらながら、俺達はようやく村に入ることができたのである
~~~~~side ハンガー~~~~~~
俺はあの子たちが馬車を回収して村に入って行く後ろ姿をみて“ホット”胸をなでおろした。
なぜなら、さっき一瞬感じたプレッシャーはレジィーって子が放ったものに違いない。
あのようなプレッシャーは俺が冒険者時代に一度、最上級の冒険者を目にした時に感じたものに近いプレッシャーだった。てことはだ、あの子はそれだけのLvないしステータスがあるってことだ。そんなのに手を出していたら俺や村など一瞬で滅んでいただろう。そんなことを考えていたら横にいる息子ドードから
「なぁ~、オヤジ 今の子らあんな簡単に村に入れてよかったのか?」
俺は何も考えてないような発言をした息子に対して肩を落としたくなるような気持ちで
「そうだな!本当はあんな魔法をはなつ子たちを村には入れたくないんだが、残念ながらあまりにも力が違いすぎる。もしあの時、あの子たちの機嫌を損なったとして俺達では一瞬で殺されてたはずだ。そうなったら村も滅んでしまうかもしれない、そうならないように俺はあの子たちが気持ちよくこの村に入れるようにしたわけだ。わかったかドード」
そう聞いたドードはなるほどと“ウンウン”と首を動かして頷いていた。
俺はその姿を見て、これからのドードの教育方針を考えなくてはいけないと思うのだった
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