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二国外一  作者: 七星北斗
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1.5 八月十五日

 戦歴二千七十六年、死者の平原では大人帝国と子供帝国の戦争が勃発していた。大人帝国が暁天(ぎょうてん)したばかりの寒空のしたで進軍を開始!子供帝国の領域魔法のサーチにより大人帝国の進軍が露見した。子供帝国の重鎮達は大人帝国の進軍を阻止するために急ぎ、部隊を率いて死者の平原へと向かったわけである。


 戦歴とは初めて戦争が生まれ、現在までの年数である。正確には女神がこの世界を作って二千百五十年経過している。子供は十八才までしか生きられないが、大人は六十四歳まで生きられる。子供帝国は大人帝国の長寿の薬を、大人帝国は子供帝国の若返りの薬を互いに欲している。


 初めは小さないざこざだった。大人が子供に暴力を振い、怒った子供が大人を殺した。その憎しみの燻りはやがて戦争へと導いた。


 前回の戦争から八ヶ月後、今日は八月十五日。焼けるような暑さとともに肝が冷える出来事に直面する。また戦争だ、前回の戦争で多大な犠牲が出たというのに、大人帝国はまた侵攻を開始した。どうしてなのか?戦争に違和感を感じる。


「攻めてきたのなら、また返り討ちにしてやる」


 古島(ふるしま)は勇んで兵を率いた。どうして戦争をするのか皆に聞くと。大人が攻めてくるからっと言う。なら、大人が攻めてこなければ戦争はしないのっと質問を変える。答えは決まっていた。


「大人が攻めてこないなら、僕達が攻めるよ。僕達だって、長寿の薬が欲しいし」


 子供には若返りの薬は効果がないことがわかっている。大人にも長寿の薬は効果がない。ならどうして、子供に長寿の薬が、大人には若返りの薬の効果があるのかわかるのかというと?実際に試したことがあるからだ。記録によると子供は死なず、大人は若返ったそうだ。何故?大人と子供は分かり合えないのか?彼等はどうしてそこまで争うのか?僕は皆が好きだ、死んでほしくない。大人達だって、それは同じハズだ。


 やがて火種は業火となり、星火燎原(せいかりょうげん)となる。つまりは、互いが滅びるまで、争いは止まないであろう。そして、敵国が滅びた後は内乱が起こる。何故なら、明確な敵がいたから彼等は一致団結出来たのだ。


 この世界を作った女神とは、どんな人物なのだろう?全知全能なのだろうか?伝承によれば、とても美しく、太陽すら嫉妬するらしい?女神が降臨した日には、日食という現象が起きる?生きるものは女神を恐れ、そして、讃える。私は女神に違和感を感じている。周りに話すとマトモではないと笑われるだろう。我が同胞諸君、死ぬな。そして、未来を生きてくれ。


 私は最後にこう綴る。私はこの世界の核心に近づいている。


 著者、十聖者(じゅうじかをつぐもの)エルシマ

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