第5話
お久しぶりです。
前書き書く気をなくしたシラスよいちです。
もう夏ですね、お元気ですか?
熱中症対策して、どうぞ!
それでは、仮面の夜第5話お楽しみ下さい。
「ジン君の異能力を教えてもらおうか?」
そんな一言から始まって、彼女の口から俺の知っていることや知らないことが次々とカミングアウトされていく。彼女、(上の名前は忘れたけど)コヨリは何者なのだろうか。
もう俺の頭の中は|混沌≪カオス≫ になっている。一旦情報を整理したい。
「ねぇ、コヨリさん。一回話を確認させてもらって良いか?」
「ん、そうだね。一気に喋りすぎちゃった」
そう言って彼女は小悪魔めいた笑みを浮かべる。
「えっと、コヨリさんは何故か俺が仮面を持っていることを知っていてその仮面と異能力が関係があるってことだよな」
我ながら良くここまでたどり着けたものだと思う。
普段から二次元を嗜んでいるのが功を奏したみたいだ。そして、どうやらその解釈で合っていたらしく肯定される。
「うん、そうだよ」
何となく状況は飲み込めた。だが、いくつか聞かなければいけないことがある。
「いくつか質問良いか?」
「うん、良いよ。当然だよね」
「あぁ、まず一個目。いつどこで俺が仮面を持っていることを知ったの?」
責めるような口調にならないよう、ゆっくりと出来るだけ優しく問う。
「んー、二週間前に君を助けてあげた時に」
「あ?はい、ふぇ?え、俺を助けてくれたあの芸者の仮面の女性とは?」
「うん、私のことだね。覚えてなかったみたいだけど」
「………マジか、びっくりした。まさか知り合いだったとはな」
「私は薄々ジン君かなぁって思ってたよ」
「そもそも何故俺の存在を知ってるんだ?」
「え、だってジン君クラス内で目立つし」
彼女は言葉を選んでくれたようだが、やはり孤高のボッチは目立つらしい。
まぁヒーローはいつも孤高だと言うし、彼女に罪はない。気にしないことにしよう。
そして会話は次の段階に進む。
「じゃあ、君にとって仮面とは?」
「んー、良い質問だね。仮面とは何か…じゃあさ、ジン君は何のために仮面を被るの?」
俺の質問は、かなり確信に迫っていたようだ。
俺はしばらく考えたあと、アイスコーヒーを一口すすって答える。
「本来の自分の罪を逃れるため…かな」
さっき図書館では、彼女に罪を裁いてくれと頼んだ。さっきは感情のままに言い放ってしまったが、よくよく考えてみると今のセリフもさっきのセリフもアバウトすぎて伝わっていない。
言葉に込めた過去を、彼女はどんな意味で取ったのだろうか?
「うん、大体欲しかった答えかな。仮面を被るっていうのはね、自分とは別の人間になろうとするもしくは演じるってことなんだよ。仮面は、一種変身願望を叶えてくれる願望器。
でも、本当になりたい自分になれる訳ではない…」
そこで一度言葉を切って、彼女はカフェオレを飲む。カフェオレを飲む彼女の唇が妙にエロく、背徳感を覚える。
ちょっとした後ろめたさをかき消そうと、俺は今までの話を頭の中で整理する。
確かに今現在、彼女の話に矛盾点はない。最後の部分以外は…
そこでカフェオレを飲み終わった彼女の目を見返して問う。
「仮面の意味は解った。して、本当になりたい自分にはなれないってことはそれに近いことは可能ってことか?」
「さすがに学年50位以内は違うね」
「だから何で知ってんだよ?お前俺のファンか何かか…」
「案外そうかもねぇ。で、さっきの答え合わせね。仮面はね、仮面に込められた意味を人格に表す物。
例えば、君を襲ったオペラに出てきそうな仮面ベネツィアンマスクは元々ペストが流行した頃に伝染を防ぐために被っていたもの。まぁ魔除けの意味も含まれてたみたいだけど。
さて、ここで問題です。ここまでの話がどうやって異能につながるでしょうか?」
彼女は俺の思考力を相当高く買っているらしい。話の断片しか話してくれない。相当時間はかかるがそこから何とか想像出来なくはない。
ここまでの話から、何とか思考を回転させる。
仮面という概念と意味、仮面ごとに込められた意味とその例を出した彼女の意図、ここで異能という単語を出したタイミング、そして俺がベネツィアンマスクとやらに襲われた意味…
もし、仮面ごとの意味と異能に意味があるのなら導き出せる結論は恐らく一つ。
俺の目の前には、ワクワク顔でこちらを見つめる彼女がいる。5分経っただろうか。
ようやく口を開く。
「解った。人の記憶に残る過去を持つ仮面の記憶、それが仮面を被ることによって所有者に流れ込んでくる。その記憶にまつわる力が異能」
ここで一度、残り少ないアイスコーヒーを舐める。ちらと正面を見ると彼女は黙っているから掴みは問題ないらしい。俺は続ける。
「恐らく仮面が、所有者の精神に干渉して過去を再現しようとしているのだろう。そのための力が異能で、それを上手くコントロール出来る人間が異能力者って訳か。
そして、仮面の過去の理解と自分の感情のコントロールが異能を使うキーだ」
「うん、お見事!96%正解だね。補足でジン君を襲った敵は、仮面を全て集めて何か企んでるベネツィアの組織だよ。ジン君は、今日から私と一緒にアイツらの実体を掴んで戦ってもらうよ!」
そうくると思った。良いだろう。これも、彼女に俺を裁いてもらうためだ。
「あぁ、戦ってやるよ!切り裂きジャックの名にかけてな」
何故か、近頃見た夢を思い出して宣言する。
「さすが、そう言うと思った。じゃあ、そのさん付けやめて。コヨリって呼んでみて?ジン」
「解ったよ、コヨリ」
苦笑しながら呼ぶ。不思議と俺は、この状況に何の疑問や不安を持たなかった。
どうだったでしょうか?
いつもより少し長かったですよね!自分やる気出しました。誉めて下さい。
今回は、仮面と異能の関係性が明かされるカフェでの一幕でした。
異能バトル物っていう割りにはバトルねぇじゃんっていう読者さん達、ごもっとも!
次辺りからバトルシーン入ります。次は8月中に投稿する予定です。
楽しみに待っていて下さいね!では、また会いましょう。7月、夏アニメを見つつ…