第3話 罪
どうも、シラスよいちです。
まず最初に、すいませんでした。
投稿期間がすごく開きました。
申し訳ないです。もう少し書く速度上げる努力をしますが、しょうがないと割り切って読んで頂ければ幸いです。
それでは、楽しんで読んで下さい。
――あぁ、紙の匂いだ。
図書館に入ってすぐ解った。俺は自分が落ち着いていくのを感じる。
居心地の悪いあの家では、気分が悪すぎて吐きそうになる。
特に過去に俺を虐待してきたあの父親がリビングでふんぞり返っている土日は家にいたくない。
アイツの顔を見る度に過去の記憶が甦ってくる。
離れたところで俺を助けようともしない母親、何に怒っているのかも解らずに俺を殴り続ける父親…。
テレビゲームをする事も漫画を読む事さえ許されず、お小遣いなどもらえるはずもなかった。
そんな俺にとって、数少ない逃げ場の一つが図書館だった。
親を恐れて図書館へと逃げ込み、現実から小説の世界へトリップする。
思えばそれは、幼少の頃の唯一の楽しみだったのだと思う。だってあんなにも制限されたゴミみたいな家庭だったから。
嫌なことを思い出したと顔を上げてみると、前の人と身体をぶつけていた。
俺と同じ高校の制服を着た少女だ。こちらは制服ではなく、面識もないのでセーフ。
とりあえず謝っておく。
「あぁ、すいません」
すると、少女の方も謝ってきた。俺ごときに謝らなくてもいいのに。
「こちらこそすいません」
声を聞いた瞬間、俺は既視感を覚える。
どこかで聞いた声だ。
そこでふと思い出したのは、仮面から俺を助けたあの芸者の仮面を被った少女だ。
人違いだろう。
そのまま通りすぎると、彼女が突然声を上げたので驚いて振り返る。俺の方を見ていた。
「あ!」
まさか俺を助けた少女で合っているのだろうか?彼女の次の言葉を待つ。
「君、同じクラスのジン君?」
驚いた。
クラスに俺の名前を知る奴がいて、しかも校外で会うとは…。
とはいえ、無視するのは不自然なので、一応答える。
「あぁ、俺のこと知ってるんだ。でも俺に関わるとろくなことないからこれ以上俺に関わるのは止めた方が良い。」
こう言っておけば、彼女が俺と関わり傷つくこともないだろう。
誰も俺のような悪人に関わることはない。
「何でろくなことないの?」
遠回しに関わるなと言ったのに、まだ話しかけてくる。このタイプは、強めに言った方がいいと判断する。
「俺が悪人だからだよ。俺は性格が悪いから俺と関わると、俺がいつお前を傷つけるか解らない。しかも、陰キャで何の趣味もない俺と関わっても意味がない。 つまり、俺と関わるとメリットがない上にデメリットがついてくる。そんな奴と関わりたいか?」
多少嘘を混ぜているが、これくらい強めに言わなければ引いてくれそうもない。
これだけ言えば大丈夫だろうと、彼女を見る。怒っているようだ。そのままキレて離れてくれ!
懇願しながら出方を見る。
けれど、俺の願いに反して少女は言った。
「あなたが自分をどう思っているかなんて知らないけど、私はいつ見ても詩を書いているあなたが悪人とは思えないよ。人を馬鹿にしないで!ちゃんと話をしてよ。」
何度も言うが驚いた。
ここまで俺を知っている人がいると思わなかった。
もしかすると、こんなに正しい彼女なら俺の希望を叶えてくれるかもしれない。完敗だ。
俺はどうにか声を絞り出す。
「完敗だ。話を聞こう。その代わり一つ、頼みが聞いてくれないか?いつか君が、俺の罪を裁いてくれ。」
お読み頂き、ありがとうございました。
引き続き、シラスよいちを温かい目で見守って下されば、幸いです。
では、次回は1ヵ月後に出す予定ですのでよろしくお願いします。




