聖女はミタ!追放劇の裏事情!前編
「おまえ追放されたんだろ?俺たちとパーティ組まないか?」
これの聖女視点バージョン。
「おまえ略ないか?」を先に読んでないとネタバレで楽しめないのでそちらを先にお願いします。
コメディで明るくするつもりが結構シリアスだったりする。
後編投稿しました。いったんこのお話はこれでおしまいです。
たくさんのご感想、応援ありがとうございました!
とりあえず筆をおきますが、気が向いたらまた投稿したいと思います。
「パーティから抜けてくれ」
勇者が告げた。
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ついに始まった。
これは俺君を生き残らせるための茶番。
最後まで演じ切らなければならない。
たとえ、どんなに俺君に嫌われようとも。
ある意味魔王よりもつらい戦い。
だけど必ず演じ切って見せる。
だって。みんな俺君が好きだから……。
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時は少し遡る。
私たちは打倒魔王の勇者パーティだ。
メンバーは全部で4人。
異世界からの召喚勇者で俺君の親友の聖剣使い。
支援・補助魔法のエキスパート。すべての雑用を一手にこなすことができ、兵站や作戦の指示も出し、トラブルも迅速に対処し、非常時にはタンクとして後衛を守る。誰よりも信頼できる俺君。
俺君の幼馴染にして婚約者、攻撃魔法のスペシャリストの幼馴染ちゃん。(壁役使い魔込み)
そして、教会から派遣された神聖魔法のスペシャリストの聖女の私。
この4名で勇者パーティは構成される。
4人揃えばどんな強敵だって負ける気がしなかったし、すべて最後には打ち勝ってきた。
何度も死にそうな目にあったけど、そのたびにみんなで乗り越えてきた。
壁を乗り越えるたびにみんなとの絆は深まっていった。
だが、まだまだ、魔王を相手にするには時間も実力も圧倒的に足りなかった。
そんなとき、勇者の聖剣が「サクリファイス」というスキルを発現することができるようになった……。
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(はい。シリアスさん。ここで出番終了です)
(そして俺君、みんなからハブられます。俺君お疲れー)
(これ以降 会話始めに発言者を略した名称付けます)
勇「お~い。聖女~~~。チョーヤベェスキル、聖剣から発現したからちょっと幼馴染ちゃん呼んできて相談に乗ってくんない?」
聖「女の子だけ呼ぶとか、貴方変態?」
幼「私は俺君だけのもの。手を出そうとしたら……タマを潰す!」
勇「誰がお前らに手を出すかっ!手を出すならもっと性格や発育のいい女……ちょっと待て!!ウェイト!ウェイトッ!!!ハイライト消えた目でゾンビみたいに近づいて来るな!」
2人から距離をとって勇者が話し出す。
勇「俺氏を呼んでないのはこのスキルの内容を知られたくないからだ」
キリっとした顔で話し出す勇者。
正直まったく似合わない。
似合わなすぎて寒気がする。
これならアヘ顔さらしたほうがよほど(勇)「おい!聞こえてるぞ!」
聖「あらそう?私、聖女だから嘘とかつけないのよ。生まれてから嘘なんてついたことないわ」
幼「あ、それ私も~♪」
勇「てめーら!二人とも嘘つきに決まってんだろ!!!」
息を荒げて叫ぶ勇者。
聖「静かにしなさい!俺君に気が付かれるでしょ!!!」
幼「そーだ!黙れ!永遠に」
その言葉に青筋を立てかけた勇者だったが、深呼吸して落ち着く。
勇「ほんっっっと!てめーらは俺氏の前じゃ猫かぶってんな!」
聖「何言ってるのよ。俺君の前じゃ私、自然体よ?」
幼「私も余分な力を抜いて、スキがあればいつでも襲い掛かって服をパージする準備に抜かりはない!!!」
その言葉にドン引きする勇者と私。
だがこれは幼馴染ちゃんの平常運転である。
俺君にとってはむしろ敵がいるほうが安心できる環境に同情する。
安全なところだと俺君の俺君の危険が危ない。
俺君の俺君はトランスフォームすると俺様になるんだろうか?
- 聖女のむっつりレベルが上がりました -
勇「遊んでないでさっさと話すすめるぞ。聖剣スキル「サクリファイス」ってのが発現したんだが。
これ自爆スキルっぽくてなぁ。すごく強い代わりに使うと使用者と周りのやつの命を犠牲にするらしいんだ」
聖「そうか。じゃあ魔王はおまえに任せた!私たちは逃げる。お前の尊い犠牲は次の日まで忘れない予定だ」
幼「勇者がいなくなった分、俺君と仲良くする。冥福を祈る!」
まったく勇者の野郎……ヤムチャしやがって。でも香典はいらないよね?
勇「もう。ほんっとてめーらは……。俺一人分じゃ倒すのに足りないじゃないか。俺氏にこのこと話すぞ?」
聖「私たちは今まで一緒に戦ってきた仲間じゃないか!」
幼「最後まで諦めない!だって私達みんな・・・仲間だもんげ! だから俺君には内密」
絶対に許さないとか言わないで、もう許してやれよ……。
勇「……まぁいい。俺氏に話さない方がいいとは俺も思ってるからな。あの自己犠牲の塊に話すものなら「最後まで一緒に戦わせてくれよ?親友」「ここは俺に任せて逃げろ!」「別に倒してしまってもかまわんのだろ?」とか絶対に言いそうだしな」
幼「流石俺君、そこに痺れる憧れるー。」
聖「俺君に話さないってことは。やっぱり俺君抜きで魔王と戦うってこと?」
勇「その通りだ」
聖「無理でしょ。だって私たちの中心は俺君だもの」
勇「……いつまでも俺氏におんぶにだっこじゃ魔王なんて倒せない」
聖「でも勇者も幼馴染ちゃんも俺君いなくても大丈夫なの?」
勇「俺氏は俺の親友だ。だからこそもう頼らないし、守りたいんだ」
幼「……ねぇ……。私はいつまでこの身体もつかわからない。心残りないように俺君の娘も産んだ。俺君が生きてさえくれるならなんでもいい。でも俺君を生き残らせるならなんでもやる」
聖「みんなそんなにも俺君のことを……。仕方ない……か。俺君なしで頑張るか……」
それに……。
聖「……私が呪いを解ければよかったのに……。世界中調べても解呪は無理みたい。それこそ伝説のアイテムクラスのエリクシールとかじゃないとね。聖女なんて名ばかりで悔しいわ……」
幼「それはもういい。1年近く探して見つからなかった。聖女が落ち込むことはない、自分でも諦めがついてる。俺君のことだけは諦めつかない。そう、まだまだ子供を作らないと!」
勇「幼馴染ちゃんには悪いけど、流石にもうそっちは仕方ないぜ。もしかして魔王の城とかで案外見つかるかもしれないしな。話を進めるぜ。俺は聖剣使うんで確定だな。俺氏を外すってのは死なせたくないってのもあるが保険でもある。俺氏は自覚ないようだけど今のままでも支援・補助バフかなり強力だし、後はなんらか攻撃手段を鍛え上げ成長すればたぶん将来、魔王にもありゃあ勝てるぜ?」
幼「流石私の旦那様だ。考えただけで濡れる」
幼馴染ちゃんはくねくねと変なダンスを踊り始めた。
勇「時間さえあれば俺氏とともに鍛え上げて魔王に挑むんだが、流石にもう余裕はないしな」
遠い目をする勇者。とてもウザイ。視界に入らないで欲しい。
聖「私は生き残りたいから逃げ」言い終わる前に、がしっと勇者と幼馴染ちゃんから拘束される。
勇「俺たち仲間だよな!」幼「死ぬときは一緒!絶対に逃がさない!」
聖「……ふぅ、わかったわよ」
逃げるときは勇者たちは最後その力を振り絞って力尽きたんです。とでも言えばいいでしょう。
勇「それに……だ。魔王と戦う前に教会や国にもし聖女だけ生き残ったならそれは俺たちを見捨てて逃げたって内容の手紙を送っておくぜ」
ッチ、こいつ先に手を打ってきやがった!なんてやつだ!
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第2回 俺君にこの先生きのこらせるための会議、始っまるよー♪
司会は私聖女、進行役は勇者、マスコット役に幼馴染ちゃんで開催します。
そして俺君は安定の放置プレイ。
幼「秘密の放置プレイってなんか響きがエロい」
!? いったい俺君と幼馴染ちゃんはなにをしてるんだ!あんな夢こんな夢いっぱいあるけど!?
顔全体が赤くなるのを感じ私の夢はひろがりんぐ。
- 聖女のむっつりレベルが上がりました -
勇「妄想を始めた聖女は置いておいて話始めるぞ」
幼「イエッサー!」
勇「さて離れる手段だが、手紙を置いて置き去りにするって手があるが」
幼「無理。俺君が私たちの足跡や痕跡から追跡してくる。知ってるか?俺君からは逃げられない」
どや顔して幼馴染ちゃんが言う。
勇「俺氏スペック高すぎだろ。幼馴染ちゃんからは逃げてるようだがな」
幼「あれは照れてるだけ。俺君のことは私が一番ワカッテル。だからゼッタイノガサナイ」
不穏な空気を感じて妄想から帰ってきた。
聖「だいじょうぶだ‥‥ おれは しょうきに もどった!」
勇「聖女も戻ったようだな。続きをするぞ」
最近勇者のスルースキルがかなり上がっている気がする。
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勇「じゃあ、次の手段として、今なろうで流行ってる追放する手を使うか」
聖「堂々とメタ発言するんじゃねえよ!」
幼「メメタァ!って擬音考えた先生はすごい」
勇「ただ俺氏には絶対嫌われるんだよなー」
もはや勇者は聞いていない。
幼「俺君に嫌われるとかもう無理! 絶対無理! 無理無理無理無理かたつむり!」
こいつ無理とか言いながら結構余裕あるな。
勇「俺だって無理だ!あいつに嫌われるとか俺、一生ボッチ決定じゃないか!」
勇「というわけで」幼「聖女様」
「「よろしくおなしゃーっす」」
こいつら……完璧なDOGEZAスタイルをやりやがった!
だがその程度のことで動じる私ではない。
「ん~?聞こえんなぁ~?」
勇者と幼馴染ちゃんはお互い苦々しく顔を見合わせてまた言った。
「「美人でスタイル抜群、お嫁にしたい人ナンバーワンの聖女様。どうかよろしくお願いします!」」
いいぞ、もっとだ、もっとホメてくれ!(ふるふる
聖「本来できるはずなのだ……!本当にすまないという気持ちで………胸がいっぱいなら……!
どこであれ土下座ができる……!たとえそれが……肉 焦がし……骨 焼く………鉄板の上でもっ……………!」
顎と鼻を尖らせた顔でざわざわしながら私は言った。
勇「調子にのってんじゃねーよ!ぺっ」幼「あんたバカぁ?」
カチン。いや、流石に私も今のは悪乗りだったな。
聖「冗談はさておき、私だけ言っても俺君は諦めてくれないだろう。むしろ親友の勇者と婚約者の幼馴染ちゃんが言う方が効果が高い」
その言葉を聞いて絶望して青い顔をした二人がいる。
聖「俺君を生き残らせたいんだろ?なら、やるしかないんだ!」
二人はハッとした顔をする。
勇「そうだな。嫌われる勇気を持たないでなにが勇者だ」
幼「デキルまでヤル!ヤリ続ければ絶対いつかデキル!私は身をもって経験したじゃないか!」
なんか幼馴染ちゃんの言ってることのニュアンスが怪しい気がするんだが。
- 聖女のむっつりレベルが上がりました -
聖「じゃあ、台本考えて練習するよ」
勇「最初は強く当たって、あとは流れで……」
聖「あんたそんな器用じゃないでしょ。対処できるように私が俺君の見えないところからブロックサイン送るからちゃんと覚えて従いなさいよ」
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そして運命のときがやってくる。
(聖女の主観なんで細かいところは違っているかもしれません)
「パーティから抜けてくれ」
勇者が俺君に真剣な顔で告げる。
相変わらず似合わない。
私はこっそりと俺君の死角へポジショニングする。
「そんな急にパーティを抜けろって言われたって。俺たちずっ友だろ!?」
おい!そこの勇者!嬉しさに顔を緩めるな!あと幼馴染ちゃんは俯いて下向いてろ!
「もうおまえは足手まといなんだよ。これからの戦いは、おまえを守りながら戦うなんてできない」
勇者が私のカンペを見ながら言う。
正直この理由だと俺君以外誰も通ると思ってないけど。だって俺君自力で守れるじゃん。
でも自己評価の低い俺君に付け込んでその理由で通すことにした。
無理を通せ!道理を引っ込めろ!
他に理由とかつけられないし!俺君いなきゃPT崩壊するぐらいだし!
「確かに足手まといだったかもしれないけど……。でも俺だってやれることを頑張ってやってきたんだ!」
ヤバイ!もう勇者は罪悪感でノックアウトされそうだ!
こうなったら予定より早いが幼馴染ゴー!!!
「……もういい加減にして。貴方とはここでお別れ」
ブー!てめえ緊張しすぎなんだよ!いつもお前は俺君のことをあんたって呼ぶじゃねえか!
昨日までお別れ前にヤリ残しがないようにって俺君襲ってるし、不自然すぎるだろ!
いや、決別するって意味じゃ、それもアリ?なのか。
「なんでそんなこと言うんだよ!俺達結婚するはずだろ!」
俺君強い!!!ヤバイ!もう幼馴染は限界だ!決め台詞を言って顔を見られずに逃げろ!
「……もう貴方とは結婚できない。……さよなら」
すぐ後ろを向いて下がれ!自分で言ったセリフにもう泣きそうじゃないか!泣くのは後にしろ!
涙を見せて違和感を出させるな!勇者!俺君を止めろ!勇者ブロックだ!
「邪魔だ!そこをどけ!」
間に合った!
「おまえとはここでお別れだ。帰りの路銀は渡してやる」
勇者はスキル「ぜになげ」で俺君を吹き飛ばした。
よし!これで時間と距離を稼いだ!
「もうついて来るな。もしついてくるなら……斬る!」
そう言って聖剣を喉元に突き付けた。
よし!やるじゃないか勇者!通常の俺君だったら通用しなかったが動揺した今ならいける!
って俺君がこっちを見てる。そんな目で見ないで!見ないで!
セリフがあったがボロを出すわけにはいかない!
黙って私は首を横に振った。
しばらく俺君は茫然としていた。
そして口を開いた。
「こんな所にいられるか!俺は街に戻るぞ!」
!!!
すごく!すごく胸が苦しい!!!
だけど言わせた!俺君を諦めさせたんだ!
「……もうおまえは自由だ。さっさと行け。絶対ついて来るなよ」
勇者の声が震えてる。気持ちはわかる。だが最後までよく言った。
俺君が街へとぼとぼと帰っていく。
まだだ!まだ泣いちゃいけない!気づかれちゃいけない!
もう頭の中はぐちゃぐちゃだ。私よりも仲の良かった二人は大丈夫だろうか。
こうして、俺君を生き残らせるために私たちは心を鬼にして茶番を終えたのだった。
その日見た空は、いいようもなく曇っていて、私たちの心のようだった。
後編へ続く。
会話文ばかりで話自体がまったく進んでいない。
補足的なお話。
一応「おま略いか?」とリンクしてるので場面の差異を比較すると面白いかもしれません。
小ネタ元参照
聖女はミタ(家政婦は見た)
危険が危ない(ドラえもん)
ヤムチャしやがって(AAの無茶しやがって)
だって私達みんな・・・仲間だもんげ! からの絶対許さないまでがコンボ(アイドルマスター)
「ここは俺に任せて逃げろ!」死亡フラグ
「別に倒してしまってもかまわんのだろ?」(フェイトスティナイト)
そこに痺れる憧れるー(ジョジョの奇妙な冒険)
この先生きのこらせる(先生と間違えてよぶギコ読み)
あんな夢こんな夢いっぱいあるけど(ドラえもん)
俺君からは逃げられない(ダイの大冒険)
おれは しょうきに もどった!(FF4)
メメタァ!(ジョジョの奇妙な冒険)
無理無理無理無理かたつむり(ダメな兄 伊集院808)
聞こえんなぁ~?(北斗の拳)
もっとホメてくれ!(ふるふる(スラムダンク)
どこであれ土下座ができる……!たとえそれが……肉 焦がし……骨 焼く………鉄板の上でもっ(賭博黙示録カイジ)
最初は強く当たって、あとは流れで……(大相撲八百長問題でのメール内容)
ずっ友(ギャル語)
「ぜになげ」(FF5)
「こんな所にいられるか!俺は街に戻るぞ!」死亡フラグ
うん。詰め込みすぎた。