第五十七話 謁見
最近小説の修正作業ばかりしていて最新話の投稿をできずにいて誠に申し訳ありませんでした!
「さて城の前についたわけだが……」
あれから優たちは森を抜け、 城の前にいるのだが城への通じる経路は一本の橋しかなく、 その橋はというと上げられており入りたくても入れない状況に陥っていた。
「これどうやって入ればいいんだ?」
「そう慌てるんじゃないわよ」
ミスティがそう呟くと同時に橋はゆっくりと下ろされ数秒で城への道が出来上がった。
「これはまた凄い仕組みをしていますね」
「ふふ~ん! そんなの当たり前よ! 何せこの城はエルフの知識をフル動員して作られた物だもの!」
ミスティは自分の事でもないのにも関わらずやたら誇らしげであった。
「そんなことより早く行こうぜ」
だがそんな誇らしげのミスティを優はたいして触れることなく、 先に進むよう急かした。
「ちょ、 ちょっと! あんたも少しぐらい興味示しなさいよ!」
「はいはい」
優とてエルフの城がどのような技術を用いて作られたのか興味がないわけではない。
だが今はその事よりもエルフの女王がどのような人物なのかの方が興味をそそられており、 余計な事を考える余裕はないのだ。
「あ、 ユウさん待ってくださいよ!」
「置いていかないで欲しいんだぜ!」
「ユウの癖に生意気よ!」
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四人は城につくと大勢のメイドや執事から手厚いもてなしを受け、 今は女王のいる部屋の前で待機をしていた。
「ここで少々お待ちください」
執事長と思われる初老のエルフの男性は丁寧な口調でそう言うと優たちの元を離れ奥へと消えていった。
「あのおっさん。 何処かいっちまったな」
「きっと私達が来たことを女王陛下に伝えているんですよ」
「にしてもこの時間暇よね」
「まあそう言うなよ。 それに俺には少しやりたいことがあるしな」
優はそう言うと創造魔術を使い狐のお面を作り、 そのまま顔に装着した。
「よし。 これで準備完了と……」
「あんたなんで急に仮面なんてつけてるのよ」
「それには少し事情があってな」
「ふ~ん。 事情があるにしてもあんたのその仮面何とかならなかったの?」
「ん? 何かおかしかったか?」
「いや可笑しくはないけどかなり不気味で正直知り合いじゃなきゃ近寄りたくないようなデザインをしているものだから……」
「そうか?」
「そうよ。 あんた達もそう思うわよね?」
話を振られた二人も不気味に思っていたようであり、 首を縦に振った。
「そうか……」
ー何気に自身作だったのに……
実は内心優は、 今回自分の作ったお面にかなりの手ごたえを感じていたのだが、 周りの人間からの不評にショックを禁じえなかった。
ただそんな事を思っていると先程の男性が戻ってきたため、 優は結局そのお面をつけたまま謁見に望む事にした。
「皆様お待たせしました。 それでは中にお入りください。 ただしくれぐれも態度にはお気を付けてください」
「わかりました」
優の表情からは緊張というものが感じられず平常心と言っても差し支えなかった。
だがそんな優とは三人とは対照的に三人は酷く緊張しており、 特にマチルダの緊張は酷かった。
「マチルダ大丈夫か?」
「だ、 大丈夫だぜ。 これは緊張と言うより心配なんだぜ」
「心配?」
「だってユウはあの時僕に……」
その時優の脳内でダンジョンの中でマチルダを救うために自分がした行いを思い出した。
「お前まさか俺の事を心配してたのか?」
「だって元々ユウに契約を破らせたのは……」
「いや。 あれは俺の自己責任だ。 だから気にするな」
「だ、 だけど……」
「ちょっと二人ともいつまで話してるのよ!」
ミスティは顔を真っ赤にしながらそう怒鳴った。
「悪い。 ほら行くぞ」
「わ、 分かったんだぜ」
その瞬間扉が開かれた。
このことから城の扉の作りの橋と同じものであることが容易に想像できた。
「ほらあんたがリーダーなんだから一番最初に入りなさいよ」
ミスティはそう言いながら優の背中を押し、 先に進むよう促した。
優とて一番初めに進むことに問題はないのだがそんな事よりもいつの間にか自分がこのパーティーのリーダーにされていることの方が気になった。
「俺っていつの間にリーダーになったんだ?」
「ユウさん。 今はそんなこと言ってる時間の余裕はありません」
ただその疑問は、 エレンの声によってあっさりとかき消されてしまった。
「わかったよ」
優は渋々と言った表情でゆっくりと部屋の中に向けて歩き出した。
「ここが……」
部屋の中で一番目を引いたのは、 大勢の兵が女王はいると思われる場所に目掛けて跪いていたことだ。
ただし女王の姿は、カーテンによって隠されており、 素顔はもちろんシルエットですら正確には確認することは不可能であった。
「女王陛下。 こちらの者たちは……」
優たちが女王の前で跪くその瞬間この国の騎士団長と思われる男性が立ち上がった。
そして女王に優たちの詳細の説明をしようとしたタイミングで女王が手を挙げ、 男性に待ったをかけた。
「それ以上言わなくてよいぞ」
「ははっ!」
男性は再び跪き、 何も言わなくなった。
「さてひとまずはダンジョン探索の任務ご苦労であった」
「「「「ははっ! ありがたき幸せ!」」」」」
-このセリフ端から見たら完全に狂信者だよな……
優は内心ではそう思いはしたのだが流石にその場で言うほど空気の読めない人間ではなかった。
「それでなんじゃが……ひとまずはお主たちが集めた宝を渡してもらうとするかのう」
「ハッ!」
ミスティはカバンの中にあったダンジョン内であった宝を全て取り出し、 女王によく見える位置に丁寧に置いていった。
「これで以上になります」
「その言葉誠か?」
「はい? それは一体どういう……」
-ついに来たか……
ミスティは優が約束を破ったことを知らない為、 少々間抜けな顔をしていた。
だがそんなミスティとは対照的にマチルダの顔からは、 凄まじい量の汗が流れていた。
「女王陛下一つ私は謝らなければならないことがあります」
優が急に立ち上がり謝罪の言葉を述べ始めたことに、 ミスティとエレンは驚きのあまり目を見開いた。
「ほう。 申してみよ」
女王の声からは怒りの感情は、 感じられずむしろ優の話に深い興味を示している声音であった。
「実はダンジョン探索のおり、 ファフニールと呼ばれるモンスターが現れました。 そしてその時私は奴の攻撃をくらい死にかけました」
あの場にいた者ならばわかるその堂々とした嘘に三人は反論しようと立ち上がろうとした。
だがそれを優は許さず、 およそ視認が困難なほど細い糸を使い自身の邪魔をされないように三人を拘束した。
「続きを申してみよ」
「私はその時自らの命が助かりたいという身勝手な理由で、 ダンジョン内で入手したエリクサーを自身に使用しました」
優はこの時女王から酷く罵倒される覚悟はしていたのだがその言葉は一向にとんでくる気配はなく、 むしろ先ほどの男性から罵倒の言葉がとばされた。
「女王陛下! この者は我らとの約束を破りました! 即刻打ち首に処すべきです!」
男性は優の事をまるで虫を見るような目で見てきたのだがこれはむしろ優にとっては好都合であった。
何せここでの優の狙いは非難の対象を全て自分に向けさせることであったからだ。
それがなされるというなら優は自身の首などいくらでもくれてやる所存であったのだがここで少々イレギュラーが発生した。
「ルドルフ。 貴様は少し黙っておれ」
「で、 ですが!」
「貴様わらわの命令が聞けぬというのか?」
「で、 出過ぎた真似をし、 申し訳ありませんでした……」
なぜか女王は優の事を庇いだしたのだ。
このあまりの予想外の事態に優は、 仮面の下で珍しく間抜けな表情をしていた。
「ゴホン……さてお主の処分じゃがこの謁見を終えてから個人的に言うとするとしようかのう。 と言ってももう聞きたいことは聞いたからのう。 これで謁見は終わりじゃ。 ほれ。 そこのお面の男以外皆下がってよいぞ」
「女王陛下! まさかこの男と二人きりにでもなるというのですか!」
「そうじゃ」
「それはいけません! 何せこの男は……」
「黙れ! 女王であるわらわの意見の反論するとは何事じゃ!」
女王の怒声は凄まじく、 並大抵の物ならその迫力だけで気絶してしまうほどの力を秘めていた。
「も、 申し訳ありません」
「わかったらさっさと出て行かぬか!」
「……わかりました」
ルドルフが項垂れながら他の騎士を連れて後にしたのだがその際ルドルフは優に対して深い憎悪そして嫉妬ともとれる眼差しを向けていた。
「ほれおぬしたちも早く出て行かぬか」
「「「ははっ!」」」
優は三人の返事を聞くと糸の拘束を解いた。
流石に感情に素直な三人とは言えど女王の前で怒鳴り声をあげるようなへまをすることはなくそそくさとッ部屋を後にした。
その三人の様子を見ていた優は、 ルーとミカにも三人の護衛をする為に部屋から出るよう伝えることにした。
(ルー、 ミカ。 お前たちも部屋から出て行ってくれ)
(嫌よ)
(私も嫌)
(朝お願いしただろう? 三人を守ってくれって)
(でも……)
(俺は大丈夫だよ。 何せ俺は人間最強なんだからな)
(優がそこまで言うなら仕方がない)
優のその言葉にミカが予想外にも早く折れ、 それとは対照的にルーは中々折れてくれなかった。
(私は絶対嫌よ! 優のそばにいる!)
(なあルー。 いい妻とは夫のことを信じて待つものなんだぞ?)
(優の言う通り。 それとも貴方はそんなこともわからないほどの馬鹿なの?)
(うう……わかったわよ……)
ミカの最後の言葉のおかげでルーも折れた。
(ありがとな。 それともし俺が今日中に帰らなかったらその時はアリシアには用事があるとかなんとか言って誤魔化しといてくれ)
(縁起でもないこと言わないでよ……)
(あはは。 それもそうだな)
優のその言葉を最後に二人との会話をきり、 優は女王のいる正面を向いた。
「やっと二人きりに慣れたのう」
「そうですね。 それで私への罰ですが……」
「なんじゃその喋り方は? わらわの事を馬鹿にしておるのか?」
「いえ、 そういうわけでは……」
「ならさっさとその口調を止めよ! 虫唾が走るわ!」
ここでも優の演技するときの口調は不評であり、 優は内心かなりショックを受けていた。
だがここで女王の機嫌を損ねるのは得策ではない為ひとまずここは言うことを聞く他選択肢はなかった。
「これでいいのか?」
「それでよいのじゃ。 さてわらわもそちらに行くとするかのう」
女王は暢気な口調でそう言いながらカーテンから出てきたのだがその瞬間優は驚きの声を漏らした。
「な!?」
何せそこにはプラチナブロンドの髪に瞳は赤と青のオットアイズと一見不完全に見えるようで、 それがかえって完成された美を引き立てているまさに女神と言うにふさわしい女性が立っていたからだ。
小説の書き方を変えてみたのですがいかがだったでしょうか? 修正した部分についても今回の部分と同じ書き方をしていますので見てみていただけると幸いです。




