第三十九話 グリフォン
俺たちは、 今十九階にいる。
そして、 今俺たちは、 二十階への道を探しているところだ。
「なあ、 ミスティ暇だし、 質問していいか?」
「何よ?」
「お前は、 なんでこのダンジョンの調査メンバーになんでなったんだ?」
「そんなの決まってるじゃない。 ここにいる天使と契約するためよ。 あんたはどうなのよ?」
「俺か? 俺もお前と同じだよ」
「ふ~ん。 なんであんたは、 天使と契約したいの?」
「俺は、 力が欲しんだよ。 自分の大切な人全員を守り切れるくらいの圧倒的な力が」
「あんた今でも十分強いじゃない。 それでもまだ足りないっていうの?」
「ああ、 全然足りない。 俺は、 もっと力が欲しい」
「それは、 少し傲慢なんじゃない?」
「そうかもな。 だが、 そんな傲慢なくらいでないとこの世界では生きられないと俺は、 思うぞ? それでお前も天使との契約が目的っていったが、 なぜお前は天使と契約したいんだ?」
「なんであんたにそんなこと言わなくちゃいけないわけ?」
「いやいや。 俺だって話したんだからお前だって教えてくれてもいいだろ?」
「絶対に嫌。 それにあんたの場合勝手に自分でしゃべったんじゃない」
「まあ、 そうだけどさ。 さてそんな無駄話は、 一旦終わりにするか」
「そうね」
俺たちは、 話を切り上げ互いに戦闘態勢に入った。
ちなみに、 ミスティの職業は、 魔法剣士と呼ばれるもので武器は主に直剣を使っている。
また、 俺たちが戦闘態勢に入った理由だが、 俺たちは喋っている間に、 運よく二十階への階段、みつけたのだが、 その階段を守っているモンスターがいたからだ。
そのモンスターの名前は、 グリフォンだ。
奴らの特徴は、 主に鋭い爪を用いて攻撃してくるモンスターで、 その爪には、 猛毒が仕込まれている。
この毒は、 ワイバーンの毒よりかなり強力で一発でもくらったら基本は、 助からない。
助かる方法としては、 エリクサーと呼ばれるものが必要でそれは、 ありとあらゆる状態異常を治す効果があるのだが、 その代わりに値段がとてつもなく高く白金貨一枚は、 くだらない。
また、 グリフォンは、巨体の割に動くがとても素早いためS級モンスターの中でも最上位に数えられるモンスターだ。
「それで、 作戦としては、 どうする?」
「そうね。 まず私があいつを魔法で拘束するわ。 その隙にあんたがとどめを刺しなさい」
「了解した」
「じゃあいくわよ! 我ここに願う! ありとあらゆるの生物の動きを止めるほどの吹雪をここに! ブリザード!」
そう言って、 ミスティは、 氷魔法の上級魔法ブリザードを使った。
ブリザードの効果としては、 自分の周囲に吹雪を作りそして対象となった一体を完全に凍らせるものだ。
基本のモンスターなら凍らせられただけで絶命するのだが、 さすがにグリフォンやドラゴンになると数秒止めるのが限界らしい。
「動き止めたわよ! 後は頼んだわよ!」
「任せろ! アクセル!」
俺は、 アクセルを使い凍っているグリフォンに向かって攻撃を仕掛けようとした。
しかし、 俺が攻撃をしようとした瞬間、 グリフォンの拘束は、 とかれ俺の攻撃はよけられた。
「おいおい。 アクセル使った俺の攻撃よけるってこれは、 かなりやばいな」
正直俺は、 グリフォンの実力を少々侮っていた。
「ちょっと何んでとどめさせてないのよ!」
「バカ! 今大きな声をだすな!」
ミスティが大きな声をだしたせいでグリフォンのターゲットは、 どうやら俺から、 ミスティに移ったらしい。
ミスティは、 基本中距離で戦うようなタイプだ。
そのためどれか抜きんでて優れたステータスは、 ない。
なのでこのままだとかなりやばい。
多少ならミスティでも、 グリフォンの攻撃をよけきれると思うが、 いずれ体力がきれよけきれなくなる。
そしてグリフォンの毒のせいでさらに動きが鈍り、 攻撃を受け続けてしまえば確実に死ぬ。
「チッ!」
「ちょっとなんでこいつのターゲットが私に移ってるのよ!」
そうミスティは、 叫びながらグリフォンの攻撃をよけている。
「我ここに願う! 対象の時を止めよ! ストップ!」
俺が今使ったのは、 時魔法の中級魔法ストップだ。
これは、 対象の動きを3秒間完全に停止させるものだ。
そして俺は、 その間にグリフォンの背中に飛び乗り、 リボルトナイフで、 羽を切り落とした。
「ギシャャャャャ!」
どうやらかなり効いたようだ。
今は、 かなり痛がっている。
そして今ので完全に怒ったようでターゲットをミスティから俺に切り替えたようだ。
「もう遅いわよ! 死ぬかと思ったじゃない!」
「うるさい! 少し黙ってろ!」
さてここからは、 俺も命懸けだ。
「さて、 ここで俺も本気を見せるとするかな。 我ここに願う! 太陽の光すら呑み込む深淵なる世界を今ここに現界せよ! ダークワールド!」
俺が、 そう唱えた瞬間あたりは、 昼なのにも関わらずあたりが、 一面の闇に覆われた。
俺が、 今使った魔法は、 闇の上級魔法ダークワールド。
効果としては、 夜目のスキルがない限り物を確認できないほどの闇であたりを覆うことを。
そのためミスティとグリフォンは、 俺の姿を完全に見失っている。
「ちょっと無事なの! 無事なら返事しなさいよ!」
俺は、 自分の声で位置がばれたくなかったので、 一切返事をしなかった。
てかこいつ実力は、 あるくせにかなりポンコツだな。
さて、 そろそろ決着と行くか。
俺は、 創造魔術を使いデスサイスを作りだし、 グリフォンの背後に近づき奴の首を切り落とした。
そして、 俺はダークワールドの効果をきった。
この魔法は、 自分の意志で効果を使う時間を決められるためかなり便利だ。
「ちょっとなんで返事しなかったのよ! 心配したじゃない!」
「ん? 心配してくれたのか?」
「そ、 そうよ! あんたは、 私の下僕なんだから勝手に死ぬことなんて許さないんだからね!」
「そうか。 心配してくれてありがとな」
俺は、 そう言ったあとミスティの頭を撫でてやった。
「ちょっと! いきなり何するの!」
「わ、 悪い。 こういう時いつも妹の頭を撫でてるもんで、 その癖でついな」
「ふん!」
口では、 嫌そうに言いながらも俺の手をどけようとしないあたり俺の事を嫌ってるわけではないようだ。
その点は、 安心した。
「さて、 そろそろ行くか」
「ええ、 そうね」
そうして俺たちが、 階段を上がろうとした瞬間、 俺は猛烈な悪寒を背後から感じ、 俺はミスティを思いきり突き飛ばした。
「ちょ、 ちょっと! あんたいきなり何して……」
俺が、 感じた悪寒の正体は、 グリフォンだった。
どうやら奴は、 首を切り落とされたにも関わらず、 まだ生きておりそして、 俺たちが、 油断する瞬間を待っていたのだ。
まさか、 首が切り落とされても生きてるなんてな。
俺は、 ミスティをかばったせいで背中に攻撃を食らってしまった。
だが奴ももはや限界に近いようだ。
「このくたばりぞこないがぁぁぁぁ!」
俺は、 そう吠えながら創造魔術を使い、 大剣を作りグリフォンの体を完全に真っ二つに切り裂いた。
「はあはあ。 これは、 少しまずったな……」
「あんた、 なんで私なんかをかばったのよ! あんた私のこと嫌いなんじゃないの!」
「バカか。 嫌いなわけないだろ? それとお前は、 俺の大事な仲間なんだから庇うのは当然だ……」
「ちょ、 ちょっとしかっりしなさいよ! 今治療するから! 死ぬんじゃないわよ! 絶対助けてやるんだから!」
「ああ、後は頼んだ……」
これは、 まずい。
少々眠いな。
それと先ほどからミスティが、 何か叫んでるが、 よく聞こえない。
ともかく今は、 眠ろう。
それと攻撃くらったせいでもしかしたら俺が契約者だとばれたかな?
バレてたらまずいな。
そして、 俺はそんな考えを最後に気を失った。




