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第三十二話 デート

結局俺は、 昨日ルーとの約束を守ったため一睡もしていない。

そのため二日連続の徹夜で、 あまり頭が働いていない。

しかし、 俺は今ある窮地に立たされている。

そのためいくら頭が働かないといってもこの状況を何とかしなければならない。


「優。 さっきから何考えてるの?」


俺が、 あまりにも深刻そうな顔をしていたせいか、 ルーに心配をかけてしまったようだ。


「ああ、 実はな、 今日四人とデートの約束をしてたんだが、 そこに俺とアリシアの結婚式の方にもでなくちゃいけないんだ。 いわゆるダブルブッキングってやつだ」

「ふ~ん。 それで、 優はどうするつもりなの?」

「そんなの決まってるだろう。 両方ともこなす」

「どうやって? 優は、 一人しかいないのよ?」


ルーの言う通りだ。

俺は、 分身なんてできない。

だが一つだけ打開策はある。

それは……


「ルーお願いだ! 力を貸してくれ! お前が、 俺がほかの女と仲良くすることが嫌いなのは理解している。 だが、 ここで四人にの約束を破った場合確実に俺の正体がばれてしまう。 俺が自分にとって都合のいいことを言っているのは、 理解している! だが頼む力を貸してくれ!」

「いいわよ」

「本当か!」

「うん。 優が私のことを大切に思ってくれているのは、 昨日改めて確認できたし、 それに私も昨日優にひどいことしちゃったじゃない? だからそのお詫びの意味合いを兼ねて優のお願いを聞いてあげる」

「ありがとう! やっぱりお前は、 最高の嫁だ!」


そう言って俺は、 感動のあまりルーに抱き着いた。


「ちょ、 ちょっと優。 恥ずかしいじゃない」

「ははは、 お前の協力が得られてあまりにも嬉しくてな。 腕の一、 二本へし折られる覚悟は、 してたんだけどな」

「全く。 優は、 私のことを一体どういう目で見てるんだか。 それで私は、 どうすればいいの」

「それはな。 とりあえずルーには、 ファントムの姿になって町のパレードに参加してもらう。 パレード中は、 笑顔で手を振ってるだけでいいからな。 それで教会に着いたら、 俺に連絡しろ。 そこで入れ替わる」

「わかったわ。 でもなんで教会に入る前に入れ替わるの?」

「それは、 結婚指輪の交換があるからだよ。 王族の結婚指輪は特別でな、 一度つけると互いに離婚に同意するまで外れない仕組みになってるらしい」

「ふ~ん。 そう言えば私まだ優から結婚指輪もらってなかったわね。 結婚式をあげれないのは、 仕方ないにしても指輪くらい欲しいわ!」

「そうだな。 まあ、 お前との結婚指輪については、 もう少し待っててくれ。 きっと素敵な物を用意するから」

「期待してもいいのね?」

「そんなに期待はしないで欲しいな」


そう言って俺とルーは、 互いに準備に取り掛かった。


「さて、 そっちは頼んだぞ?」

「任せて!」


そう言った後ルーは、 ワープを使い城へと向かった。


「さて、 俺も行かないとな」


俺は、 そう言った後宿を出て時計塔へと向かった。

時計塔には、 すでに四人が待っていた。


「四人とも待たせたな」

「ううん。 私たちもさっき来たところだよ」

「優ちゃん! 今日は、 エスコートよろしくね!」

「おはようお兄ちゃん!」

「おはようございます。 優さん。 それと私の格好おかしくないでしょうか?」


そう言うシアの格好は、 いつもと違い、 市民の間で流行っている服を着ていた。

他の三人も同様で、 雪は、 白を基調としたデザイン。

姉さんは、 黒を基調としたデザイン。

胡桃は、 緑を基調としたデザイン。

シアは、 青を基調としたデザインの服を着ていた。


「ああ、 四人ともとても似合っているよ。 でもいつの間にそんな服買ったんだ?」

「実はね。 優君を驚かそうと思って、 こっそり買ってたんだ」

「私もそのつもりだったんだけど、 どうやら全員考えることは、 同じだったようね」

「そうか。 俺もなんか服買おうかな」

「なら、 優さんの服は私が選んであげます! なので早く行きましょう!」


そう言ってシアは、 俺の手を握ってきた。


「な! 優ちゃんの服は私が選ぶの! だから赤髪女は、 どっかに消えなさい!」


そう言って、 姉さんはシアとは反対の手を握ってきた。


「ふ、 二人とも喧嘩するな。 とにかくまずは、 服屋に行くか」


こうして俺たちは、 流行りの服を売っている店へと歩き出した。

服屋は、 中に女性しかいなかったため男の俺が、 入るには少々ためらわれた。


「ほ、 本当にここに入るのか?」

「うん。 だってここが一番服の種類が多いんだもん」

「そうなのか」

「とりあえず今から勝負をしませんか?」

「「「勝負?」」」

「はい。 まず私たちが、 優さんに似合うと思う服を選びます。 その中で優さんにどれが気に入ったのか順位を決めてもらいます。 そして、 見事一位になった人は、 夕方の時間二人きりでデートをできるという景品を与えようと思います」

「「「やる!」」」

「おい。 俺は、 そんなこと許可してないぞ?」

「では、 今からスタートです。 制限時間は、 一時間でお願いします」


シアがそう言うと四人とも服選びを始めた。

てか、 二人きりでデートできるというが、 当の本人である俺の意見を無視するのは、 さすがにひどいと思う。

そして、 一時間がたち四人が戻ってきた。


「では、 今から優さんには、 順番に私たちが選んだ服に着替えてもらおうと思います。 順番については、 まず初めに私。 次に雪様。 次に胡桃様。 最後に詩織様の順でお願いします」


シアが、そう言った後俺は、 更衣室へと連れていかれた。

そしてまず初めにシアが選んだ服を着て、 四人の前に立った。


「着替えたが?」

「優さん。 よくお似合いです!」


シアが選んだのは、 和服だった。

正直動きづらいし、 着るのがめんどくさいからあまり好きではないのだが、 四人ともなぜか和服姿の俺の姿に目を輝かせている。


「次は、 私だね」


俺は、 次に雪の選んだ服に着替えさせられた。


「着替えたぞ」


雪が、 選んだのは、 黒色を基調としたもので、 雪の着ている服の対となるようなデザインのものだ。

少し恥ずかしいが、 これはこれで動きやすいのでさっきよりは全然いい。

しかし雪以外の三人からは、 不評のようだ。


「次は、 胡桃の番だね」


胡桃が選んだ服は、 執事服だった。


「なぜ執事服がこんなとこにあるんだよ」

「お兄ちゃんよく似合ってるよ!」


胡桃がそう言うと他三人も首を縦にブンブン振っている。

姉さんなんて、 少し鼻血がでている。


「さて最後は私ね!」


正直俺は、 姉さんがどんな服を選んだのかかなり不安だ。

何せ日ごろから俺にセクハラまがいな行為してくるし一体どんな服を着させられることやら。

だが、 ここで予想外なことがおきた。

なんと姉さんが選んだ服が普通だったのである。

しかもデザインは、 かなり俺好みだった。


「姉さん一体どうしたんだ?」

「どうしたって何が?」

「てっきり姉さんのことだからもっと変なの着せられると思ってたんだが?」

「そんなことしないわよ」

「そうか。 正直少し姉さんのこと見直したよ」

「それで優さんは、 どの服が一番気にいったんですか?」


シアが、 そう言った後四人は、 緊張した顔でこちらを見てきた。


「そうだな。 姉さんの服が一番気にいったかな」

「やったぁぁぁぁぁぁ!」

「「「そんなぁぁぁぁぁ!」」」


姉さんは、喜びのあまり店内であるにも関わらず跳ね回っている。

逆にほかの三人は、 地面に崩れ落ちた。


「ね、 姉さん落ち着け! ここ店の中だから!」


姉さんは、その後約十分ほど跳ね回り続けた。

そして、 店を出た後、 俺たちは、 食事をした。

今日の食事は、 アリシアと俺の結婚式の影響で屋台などがたくさん出ていたので、 その屋台をたくさん巡った。

その巡ってる途中、 ルーが変装した俺とアリシアを見たが、 ルーは俺の言われた通りにしていて安心した。

また、 その時シアには、 俺のコートをかぶせアリシアには、 バレないように隠した。

昼食を取り終えた後は、 小物などを見て回り、 あっという間に夕方になった。

そして、 今は姉さんと二人きりの状況なのだが、 そんなときにルーから連絡が来た。



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