少女が目覚める前のプロローグ
二人の少女がいた。
「あら、いらっしゃい」
「冗談言えるくらいの余裕はありますね」
「赤は倒せたよ」
「じゃあすぐに加勢してください」
二人は背中合わせの状態で地面に腰をおろした体勢だったが、重そうな体を上げ、敵の方へ向いた。
敵はゆっくりこちらに迫ってくる。
二人はおもむろに、自分たちの刀を地面に刺した。そして前髪のピンを外し、髪を整え始める。決して敵から目を離さず、スキを見せず、ゆっくりと。
「どう倒そうか」
「知りません」
二人の少女は敵を倒した。
一人の少女がもう一人の少女を肩に担ぎ、必死にその場から逃げようとしている。担がれた方の少女に意識はない。二人はともに全身にいたたましい傷に覆われていた。至る所から血が滲み、手足も自由に動かせられない状態だ。そんな状況の中、担がれていた少女が目を覚ます。
二人は最後の言葉を交わした。長いようで短い時間をともに過ごし、敵と戦い、地獄のような状況を抜け出した二人。
そして一人は花になった。
美しく、妖艶で、不気味な巨大な花は彼女を苗床に空に向かい瞬く間に成長した。
残された少女は刀を手にとり、ゆっくりと花の方へ向き、そして足を踏み出した。
一度物語はここで途切れる。再び動き出すのは、4ヶ月後……。
一人の少女が目をさます……
次回 第1話「目覚まし時計がなってから」