始まりの旅
えっと~第二作目になります。
前作は少し不甲斐ない内容になりましたが、今回はそうならないようにがんばります。
基本主人公が無双する話なので主人公が強い作品が好きな人は好きな作品だと思います。
ここは我々人間のいる世界とは異なる歴史を辿った世界、いわゆるパラレルワールドの一つと思ってもらって間違いはない。
大陸は一つの巨大な『パンゲア』しか存在しない。
この世界には人は居ない。生物の進化がそこまで行き着かなかった。だが代わりに『妖精』という人によく似た生物が誕生した。
耳が長く、虫のような羽があり、魔法を扱えること以外は人と遜色ない。
彼らには多種多様な種族があり、代表的な例を挙げると、
火の妖精『サラマンダー』
水の妖精『ニンフ』
風の妖精『シルフ』
大地の妖精『ノーム』
獣の妖精『ガリア』
これら五種族より数は少ないが強大な魔力を持つ闇の妖精『クロノス』
他にも大小様々な種族がいるが、彼らは基本的に争いは好まず、互いに協力したって日々を過ごしていた。
だがそんなある日、突如としてこの世界に戦乱が訪れた。
突如この世界に魔王が誕生し、自ら作り出した魔物の軍勢を使い、この世界を滅ぼそうとした。
当然妖精達は抗った。だが闇の妖精達は魔王軍の側についた。
これにより妖精達は苦戦を強いられることになった。
敗走に次ぐ敗走、たちまち妖精達は追い詰められて行った。
だが彼らに希望が舞い降りた。魔王がいるならその対極、俗にいう神が妖精達に味方をした。
神は妖精達に自らが創造した七種の二個一対の武器『双具』を与えた。
『双剣』『双斧』『双銃』『双槍』『双棍』『双盾』『双輪』、
これらの武器を手にした妖精達は劣勢を覆し、遂に魔王軍を滅ぼすことに成功した。
闇の妖精達は戦乱後、元々少なかった数を更に減らし、魔王軍に与したとして他種族から迫害され、種族全体に裏切り者の烙印を押され、種族全体は水の妖精『ニンフ』の管理下におかれることになった。
そして五千年の時が流れた。物語はここから動き出す。
(ニンフ領北方トーレス山脈麓、闇の妖精の集落。)
「本当に行ってしまうのですか兄上?」
妹に呼び止められて僕は振りかえる。彼女はきれいな黒い瞳に涙を浮かべていた。
「仕方ないさカヤ、この双具に選ばれたなら王宮で働かないと処罰されるからね。」
そう返すとカヤは一層悲しそうな顔をする。
「でも僕は外に出ることは楽しみなんだ、僕らの村以外の街を見てみたい。そして…僕らの一族の汚名を少しでもすすげればなぁと思っているんだ。」
そう言って僕は微笑み返す。
「そんなことはどうでもよいのです!私はただ…。」
最後のほうは聞き取れなかったが、僕は何が言いたいのかは解っていた。
「大丈夫さ、何時になるか解らないけど…ちゃんと生きて帰って来るよ、だから安心して。そして僕が居ない間父さんをよろしく頼むよ。」
「約束ですよ!破ったらいくら兄上でも許しませんからね!」
そして二人は別れのハグをかわす。
「じゃあ行って来るよ。元気でねカヤ。」
こうして僕イヴァン・E・ルイスの戦いが始まった。
そして六十年後、ニンフの国ポセイドンの首都オモルフォス。
この街は一つの大きな湖の上にあるこの世界最大の水上都市で、街の中には無数の水路が巡っており、街の中心には美しい王宮が建っている。
そんな街中に一人道端に座っている黒妖精がいた。
「う~ん…やっぱり自分で焼くのは限界があるなぁ…。」
自前のふっくらしたパンをかじりながらイヴァンは呟く。
「何がいけないのかなぁ…水は最高だし、小麦粉も質の良い物を
使ってるし…やっぱり僕の腕の問題かなぁ。」
他人から見れば美味しそうなパンも、焼いた本人からすれば不満らしい。
そんな彼のもとに一羽のハトが飛んできた。
「伝書バト?しかもこの紋章は王宮のだな。一体何の用だろう?」
ハトから受け取った手紙には『王宮に出頭せよ。』としか書かれていなかった。
「まぁここで考えていても始まらないか。」
僕は王宮へと足を向けた。そんな時に一つのボールが足元に転がってきた。ボールの転がってきた方を見ると、ニンフの子供達がこちらを見ていた。
「ねぇこのボールは君達のかい?」
僕は確認するように問いかけたが、彼らから返ってきた言葉は。
「闇妖精に話かけられた!汚れる!」
「逃げろー!」
そう叫ぶと彼らは一目散に逃げて行く。
「…まぁいつものことだ…今更気にしても仕方ないよね…。それより早く王宮に行こう。飛んで行った方が速いな。」
僕は背中の漆黒の羽を広げて王宮に向かって飛びたった。
王宮の門の前に降りて門番に身分証明書を提示する。彼らとは知り合いなので特に嫌な顔はされずに門を通してくれた。本当にありがたいと思う。この街に来た時には考えられなかったことだ。
門をくぐると一人の人物が僕を待ち受けていた。
「お待ちしておりました師匠!さぁ私に着いてきてください。父…王がお待ちです。」
「お久しぶりですレントール王子。お元気そうで何よりです。」
彼の名はレントール・アマダ・ウンディーネ第一王子。僕とはたった二十歳しか差がないのに、ある時から彼の剣術を指南した時から妙に慕われて、終いには《師匠》とさえ呼ばれるようになった。
社交的な挨拶をして僕はレントール王子の後をついていく。
「それにしても師匠、何故この数ヶ月間王宮に出入りしておられなかったのですか?私は剣の稽古をしてほしくて堪りませんでした。」
不意に王子にこの数ヶ月の間王宮へ登城しなかったことについて問い詰められた。
「お言葉ですが王子、私は闇妖精です。あまり頻繁に私が城に登城しては貴族の方々のひんしゅくを買います。そうなれば王子にも貴族の方々の好奇の目が向く可能性があります。」
「未だにそんなことを思う貴族達がいるのですか!?
いくら貴族と言えども師匠を悪く言う奴らは許せません!」
「こんな私のために怒ってくださってありがとうございます。
王子のそのお気持ちだけで私は充分でございます。」
実際ありがたいと思う。闇妖精の僕を一国の王子が慕ってくれるのだから。
「あっ、着きましたよ師匠。謁見の間は解っておられるでしょうけど武器の持ち込みが禁止です。何か武器はお持ちですか?」
「いいえ、武器は今は持っておりません。」
両手を挙げて体を揺らして武器を持っていないことを示す。
「そうですか。では中に入りましょう。
レントール・アマダ・ウンディーネ、たった今イヴァン・E・ルイス様をお連れしました!」
「…よし入れ。」
王子の呼び掛けの後、少し間を開けて低くてよく通る声が返ってきた。
そして同時に175センチの僕の約7倍はある謁見の間の荘厳な扉が開かれる。
扉が開いて、一礼してから中に入る。
謁見の間には扉から玉座まで深い青色の絨毯が敷いてあり、壁にはポセイドンの国境と現国王陛下の肖像画がかけられている。
「王国騎士イヴァン・E・ルイス只今参上いたしました。」
僕は玉座の近くまで歩き、ひざまづいて一礼した。
「うむ、急な召集であったがよく来てくれた。騎士イヴァンよ、面をあげよ。」
国王陛下に促されて顔をあげる。国王陛下は御年357歳、妖精族の中でも老人の域に入る。
長く艶のある王子と同じ水色の髪に、しわのよった顔は老いてますます壮健と言わんばかりに猛々しく、鋭い眼光を放つ。
「それにしてもイヴァンよ、確かお主は今年で奉公を始めて六十年の節目だが…何か欲しい物はあるのか?」
「滅相もございません。一介の騎士である私に陛下自ら物を賜るなど恐れ多いことです。それに私は闇妖精です。」
いきなり予想外の質問をされたがなんとか冷静に返した。
すると陛下は「またか」と言いたそうに顔をしかめる。
「イヴァンよ、謙遜も過ぎれば嫌味にしか聞こえんぞ。それにお主が闇妖精だからといって無下にするような奴は頭の固い保守派の貴族達くらいのものだ。私はお前の人柄を知っているし信頼もしている。そうでなければお前に息子の剣術指南役を任せはせぬ。」
「勿体無きお言葉です。」
「まぁ良い、この件は置いておくとしてだ、本題に入るとしよう。」
陛下の表情が少し固くなった。恐らくいつもの雑用じみた仕事とは比べようのない話なのだろう。
「お主はこの時期にセイランの街で催される感謝祭のことは知っておるな?」
「はい、存じ上げております。」
セイランはここオモルフォスから南にある港湾都市で、他国との貿易によって発展した王国第二の都市だ。
そしてこの街では今の時期に『感謝祭』と呼ばれる祭を催す。
「では感謝祭に毎回王族の代表として誰かが来賓として参加していることも知っておるな?」
「勿論でございます。確か去年はレントール王子が御出席されましたね。」
「うむ、なら話が早い。王族が外出するのだ、護衛の兵士をつけるのは当然だろう?」
「まさか私に護衛を!?」
僕は驚愕を禁じ得なかった。
こんな大役はおろか要人を護衛した経験が数えるしかないのだ。
「お言葉ですが陛下、護衛は毎年ウィルムベルト卿かデルソル卿が務めるはずですが何故私なのでしょうか?」
「答えは簡単だ、今二人は長期の休暇中だ。」
…成る程、二人の性格をよく知る僕は二人が何故休暇を取っているのかすぐに理解した。
恐らく二人共めんどくさいから護衛の任務を避けたのだろう。
「そう気負うなイヴァン、お主もあの二人と同じ『王国の三騎士』の一人だろうが。」
「このような場合にのみ都合よくその称号を持ち出さないで欲しいですね。」
「しかも近接戦闘に関してはあの二人の上をいっておるからな、護衛として実力は申し分ない。で、どうだ、護衛を引き受けてくれるよな?」
「…解りました。慎んで引き受けます。」
僕はできるだけ笑顔で引き受けた。内心はあの二人に毒を吐いていたが。
「ところで今年はどなたが感謝祭に御出席なさるのでしょうか?
陛下、それともレントール王子かナタリー王女でしょうか?」
「それだがな、今年は公務が詰まっていてな、私は参加できそうにない。レントールは勉学、ナタリーは花嫁修行中だからな、出席はまず無理だろう。」
「?」それでは僕が護衛をする意味が無いぞ。一体どういうことだろうと考えていると次の瞬間陛下は僕が知らない名前を言った。
「カメリア、入ってきなさい。」
陛下が促すと、見たことの無い少女が入室してきた。
名前は解らないが服装や装飾品、そして何より腰まである美しい青髪、透き通るような碧眼、あどけなさが残るが充分に美人と言えるだろう。
「陛下、失礼ですがそちらのご婦人は一体…?」
「うむ、カメリアよ、あいさつをしなさい。」
すると少女はモジモジしながら大きい声であいさつをしてきた。
「は、はじめまして、私はカメリア・アマダ・ウンディーネと申します!こ、この度は私の護衛を務めてくださってありがとうございます。」
自己紹介をして何と彼女は僕に頭をさげる。
「そんな勿体無きお言葉!どうかお顔をおあげください。」
「……ひぅ…ご、ごめんなさい。」
「い、いえ謝ることでは…。どうか楽になさってください。
それよりも陛下!ナタリー王女以外にまだ王女がいるなんて聞いてませんよ!?」
「うむ、言ってないから当然だな。勿論お前以外にも言っていないぞ。」
「な、何で公表を…特別な事情でもおありなのですか?」
「イヴァンよ、それ以上は控えよ。」
「!」
どうやら彼女には何か秘密があるらしい。そしてそれは非常に機密性の高いことらしい。とりあえず僕はこれ以上追及することを止めた。
「まぁ強いて言えばこの子は生まれてから一度も後宮を出たことがないのだ。それに今年で二十歳、そろそろ世間を見てみることが必要だと思ってな。」
「えっ!二十歳!?それまで一度も!?」
「は、はい!今回が初めてで、よ、よろしくお願いします!」
「まぁそういうことだ、よろしく頼むぞイヴァン。」
「はっ、微力を尽くします!」
口でははっきりと返したが、内心は前途多難だなぁと思った。
「さてカメリア、先に戻って準備をしていなさい。私とイヴァンは細かい打ち合わせをしておくから。」
「は、はい、では失礼いたします。」
カメリア王女が退室して再び僕は陛下と話をすることになった。だが陛下は先程とは違い、元から険しかった表情を更に険しくして口を開いた。
「イヴァン、これから私が話すことは他言無用だ。今ここにいる私とお前とレントール以外に話してはならない。」
(なんだ?陛下の声色がいつもとは格段に違う。)
僕は無言で陛下を見つめる。そして陛下が告げたことは僕を驚愕させるのには充分だった。
「実は最近ある噂が流れている。」
「噂…ですか?一体どのような?」
「それがな、何者かが王族に命を狙っておるらしい。」
「そんなっ!?一体何処からそんな噂が!?」
「出所は不明だ。これが只の噂なら良いのだが…。」
「噂では…ないのですか?」
「まだ確証はない。だが用心するにこしたことはない。そこでだイヴァン、今回は護送ルートを変えようと思う。」
「はい。」
その後陛下の口から話されたルートはこうだ。
まずカメリア王女の影武者を乗せた馬車を王国騎士百名程で護衛し、街道を進ませる。これを囮とし、本物の王女は僕と共に街道から外れた森林内を進んで多少遠回りだが、確実に安全と思われるルートを進んでセイランに行くらしい。
「すまんなイヴァン、急な話だがお前しか適任の奴がおらんのだ、頼まれてくれ。」
「…了解しました。例え何があろうと王女をお守りいたします!我が命に換えましても!」
「そうか、頼まれてくれるか。ではお前も準備に入れ。」
そう言った陛下は先程より少し表情をやわらげていた。
「あの陛下、出発は一体何時なのですか?」
「うん?今日の四時だが?」
「きょ、今日ぅぅーー!!」
その後僕は急いで自宅に戻って準備を整えて再び王宮に向かった。
なんとか時間前に待ち合わせ場所である後宮の裏門に到着して王女を待っていると、時間通りに裏門が開くと中から二人の女性が現れた。一人は王女、もう一人も少し面識のある人だった。
「お久しぶりですルイス様、今回姫様の身の回りのお世話をさせていただく侍従長のマリーネ・フラクトです。」
マリーネ・フラクト、ニンフ特有の青い髪を頭の後ろで一つに纏めていて、身長も僕と同じくらいある。目付きは鋭いが間違いなく美人である。
彼女とは何度か王宮内で顔を会わせているので親しくはないが赤の他人というわけでもない。
「お待たせいたしましたルイス殿、改めまして今回私の護衛を引き受けてくださいましてありがとうございます。」
「滅相もございません。このような大役を私にお任せくださってありがとうございます。殿下は私が命を賭けてお守りいたします。」
「えっと…ありがとうございます。それと…ルイス殿の格好、渋くて素敵ですね…。」
「……」
僕の服装は森の中で目立たない黒いコートに同色のブーツ、中には動きやすいように防具は革の胸当てくらいしか身に付けていない。お世辞にもセンスが良いとは思えないが王女なりの配慮なのだろう。だから僕も社交辞令を述べておく。
「王女殿下もその服装、とてもお似合いですよ。」
「ええっ!そ、そうですか!?あ、ありがとうございます…。」
王女のお召し物は深緑色の丈の短いドレスに山歩き用のブーツ、森の中を進むのに問題無い格好だ。
「あらルイス様、私には何も無いのですか?」
「えっと~マリーネさん、本当にその格好で行くつもりですか?さすがに厳しいと思いますが。」
「何を申しますか!これは王国の侍従長としての義務であり誇りなのです!脱ぐわけにはまいりません。」
「はぁ、好きにしてください。」
マリーネさんはあろうことか普段通りのメイド服で、しかも王国のメイド服はフリルが多く、動きやすさよりも可愛さを重視した外見になっている。とてもじゃないが森の中を歩くのには敵さない。
「まぁとりあえず出発しましょう。まずはオモルフォスの西門で馬車を受け取ります。多少歩きますがよろしいでしょうか殿下?」
「は、はい!構いませんよ。私歩くのは好きなんです!」
「そうですか、では参りましょう。」
ひとまずは西門に馬車を受け取りに行く。だが一つ心配な点があった。西門に向かうには必ず市場を通らなければならない。
しかもこの都市の市場は国最大の市場なので、人通りも多い。
後宮から初めて外に出る王女には堪えるかもしれない。
だがいざ市場に着けばその心配は杞憂に終わった。
「うわ~!これが市場なのですね!凄い人の数です!あっ、マリーネ!あの品物は何ですか!それとあれも、あとあれも!」
「姫様、少しはしたないですよ、王女としての自覚をもう少しお持ちください。」
「うぅ、すみませんマリーネ。少し興奮してしまいました。」
どうやら初めて見る市場の品物や人込みに興味津々のようだ。
確かに僕も初めてこの街の市場を見た時はあまりの人込みに面喰らった覚えがある。
「くんくん、あのぅルイス殿、あちらのお店で焼いているのは何ですか?とても良い匂いがします。」
王女が指さした先には鉄板の上で鶏肉を焼く店員の姿が見えた。
「あれはハットといって甘辛く焼いた鶏肉を葉物野菜と薄いパンで包んだ料理です。店によってソースの味は異なりますがどこも美味しいですよ。」
「そうですか、ハットというのですね!凄く美味しそうです!」
「いけませんよ姫様、あのような店で売っている食べ物は何を材料に使っているのかわかりません。そんなことよりも早く行きますよ、さぁルイス様、先を急ぎましょう。」
「えっと~構いませんが…よろしいですか殿下?」
「ええっ!もう行くのですか?今回は私の社会勉強も兼ねているのですよ、もう少しだけ見て回れませんか?」
まるで小動物のようなつぶらな目で僕達をを見上げて来るが、さすがはマリーネさん、カメリア王女の姉のナタリー王女の世話役を務めるお方、王女の扱いは手慣れていた。
「駄目です!その代わりセイランの感謝祭の式典が終われば自由な時間を必ず確保いたしますので、今日は我慢をしてください。」
「……はい、解りました。我慢いたします。」
しゅんとして落ち込んだ王女とそれを諌めたナタリーさんはまるでネコに睨まれたネズミを見ているようだった。
「えっと~では行きましょう。」
そのあとは特に何事もなく西門の馬車の管理場についた。
必要な馬車の型と水と食料品を積んでもらってすぐに街を出ることになった。
「では出発いたしますよ、準備はよろしいですね?」
「は、はい!き、緊張します。私はとうとうこの街の外に出るのですね!」
「いつでも構いませんよ。出発してください。」
「それではっ、行きますよ!」
馬の手綱を操って馬車を走らせる。少しの不安な僕と怯えながらもワクワクしているカメリア王女、そして冷静なナタリーさんを乗せてセイランの街に行く。
だけど僕は知らなかった、この旅は後に世界を巻き込む戦いの始まりになることを。
ーーーーーーーー続くーーーーーーーー
これからも趣味の傍ら、不定期に投稿して行きます。(多分1ヶ月に一回は更新できると思います。)よろしくお願いいたします。