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誰か、三国の正しい歴史を教えてくれ!!  作者: となりのラノベ
第一章 これが桃園の誓い!?
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第七話 名前忘れたんだけど

「張飛殿、言っても分からないかもしれないけど、ここで一番ありがちなパターンは『俺は劉備劉玄徳』という自己紹介だ。しかし、言わせてもらおう、俺はちゃんと自分の名前がある」


 で? で? と言わんばかりに、彼女は催促の眼差しを送ってくる。


「俺の名はっ」


 ……。


 えっ? ちょっとタンマ、俺の名前は何だっけ?


「だから、劉備だろ?」


 その間のせいで、彼女はまたあの短絡的な思考回路で勝手に結論を出しやがった。彼女は両腕を胸元に組み、満足げに頷く。


「うん。『劉備』。いい名前だな」

「いやっ! 俺の名は……」


 どういうことだ!?


 焦れば焦るほど自分の名前が思い出せなくなった。名前以外の情報なら何でも覚えているのに、そこだけが誰かに切り取られたように全然記憶にない。


 俺は劉備じゃないのに!? 大人しく劉備を演じろってのか!?


「劉備? 劉玄徳? どっちがいい??」


 もう、いくら考えても、名前を思い出すことはできなかった。


「……もう、すきのように呼んでくれ」


 俺はふてくされたように、あっさり自分の身分に関してのあがきを諦めた。少なくとも、何の手がかりもない今じゃこうするしかないんだ。


「うーん、じゃあ、玄徳だね。あたしのことも翼徳でいい」


 張飛は八重歯を見せながら俺をどこかに引っ張ろうとする。


「行こう! 酒の飲めるところで、これからのドでかい事業のためにゆっくり話そう!」


 あんな事業、俺には無理。


 そう思うものの、彼女を止めなかった。


 翼徳は嬉しそうに俺の袖を引っ張りながら酒場に入った。


 今更気づいたが、彼女の後ろ髪は一部が束ねられている。歩く度に上下跳ねて、生物みたいに、ちょっと可愛らしかった。


 ふと思った。


 張飛の性別の問題はほっといて、もし俺が劉備になったら、この時代のもとの劉備はどうなる?

 考えても無駄だから、すぐに諦めた。

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