表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰か、三国の正しい歴史を教えてくれ!!  作者: となりのラノベ
第一章 これが桃園の誓い!?
2/68

第二話 十六歳の足踏み魔

 ああーー!!


「おい貴様、何を叫んでる!?」

「いててっ」


 突如現れた声と、誰かに蹴られたような痛みで、俺は再び現実に戻った。


「あっ」


 間抜けな声を出しながら、俺は目を開けた。

 目の前には小柄な女の子がいた。


 誰だ?


 と疑問を抱きながらも、俺はまず生きていることに胸元を撫で下ろした。

 変だ。さっき感じていた胸の痛みはもうなくなっている。


「あんなに驚くこともないだろう。告示を見ただけで癲癇(てんかん)でも起こしたのか?」

 俺が痛そうな目線を向けると、彼女は後ろめたい表情になり、後頭部を掻いて近寄ってきた。

「立てるか?」


 ぽいっと手が伸びてきた。


「あっ、ああ、まあ」


 今だに体に違和感はあるが、立てないほどではない。


「うん。大丈夫みたいだな」


 と女の子はそう言いながら、下から上まで俺の体を眺めた。


「背はちっちゃいけど、なかなか鍛えてそうな体してるな?」


 君みたいな小娘にだけは言われたくない。

 そう思い、俺は女の子を見返した。少なくとも、彼女は俺より頭二つ分以上に背が低い。肩まで伸びたつやつやの黒髪。生き生きしたまん丸の緑の瞳。服は……ローブ? ローブなのか? 今こんな懐古的な服装が流行っているのか?


 ちょっと待った……。

 ていうかここどこ?


 辺りを見回す。

 視界を覆いつくす低い平屋。行き交う顔の知らない人々。


 はっきり言おう、ここは断じて屋根の付いてる馴染みの我が家ではない。


「あっ、ちょっ、お嬢ちゃん? 足、足っ!」


 足の指先が思いっきり踏まれている。


「子ども扱いするな! あたしはもう十六歳だ! 十、六、歳!」

「ひぃー、痛いぃ!」


 だから足痛いって!


「ああ、信じてない顔してる」


 目を細めて一歩引いたおかげで、俺の足指が救われた。


「ご、誤解だ」

 俺はなるべく平静で信頼できる大人の顔をしながら嘘を吐く。そして話を逸らす。

「それより、ここがどこなのか、ちょっと教えてくれないか」


「……はあ?」

 俺の質問が終わる前に、彼女は爪先立ちで俺の額に手を乗せた。ちっちゃい顔を近づけてくる。

「なんか悪いもんでも食べた?ここは涿県(たくけん)だろ?」


「だから! たくけんってどこなんだよ?」

 彼女の手をどかすと、ふっと自分の手に握っているあるものに気が付いた。

「羽毛の……団扇!? あいててててっ!」


「なんですぐ奇声あげたがるのよ!」


 お前のせいだろうが!

 言うだけ無駄なので、痛みを我慢して強引に自分の足を彼女の魔の()から引っこ抜いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ