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終焉世界の永遠語《レコーズブレイブ》  作者: 蜻蛉切
第1章 〈光鬼の組〉の試験
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〈光鬼の組〉の試験4

どうも、蜻蛉切です。今回は戦闘を終え、いよいよ<光鬼の組>の試験結果発表です!果たして三人は無事、合格することができるのか!?

「おそいなぁ~」

 先ほど三人に倒された滅殺士は心配そうにつぶやいた。すると横から声をかけられる。

「にしても本当かい?〈光鬼の組〉を最年少でAランク試験をクリアした、近藤寛太が、試験戦闘で敗北したというのは」

先ほど三人に敗れた滅殺士、近藤寛太に声をかけたのは〈光鬼の組〉第三番隊隊長、荒井翔太であった。

「ええ。そうですよ、今回は完敗でした」

「今回は?」

 荒井は不思議な顔で寛太を見る。

「彼らなら合格しますよ」

「さて、どうでしょうかな?」

 荒井はその言葉を残し寛太から去って行った。

「さて、俺も任務に戻るかな」

 近藤はそういうと荒井の後を追うように去っていった。



「〈光鬼の組〉受験番号三十四番、平井洸希、戻りました」

「同じく三十五番、菊池裕也」

「同じく三十六番、中山太一、戻りました」

 三人は息を切らせながら言う。

「はい。確かに三人確認しました」

 受付人がそう言うと三人は安心した顔でその場にうなだれる。そう、彼ら三人は検査である実戦の戦闘をクリアしたにも限らず報告が遅れるところであったのである。

「とりあえず間にあったなぁ~」

「結局、何人残ってたんだ?」

「さあ、わからない。確認しようとしたけど試験時間過ぎてて見られなかったから」

「とりあえず、控室行こうぜ。そしたら何人ぐらい残ってるか、わかると思うし」

「そうだな」

 太一の言葉に裕也が答えると三人は立ち上がり控室を目指す。

 ガラガラ

 三人が控室に入るとすぐさま太一が数を数えだす。

「一、二、三」

「おい、何やってんだお前!」

 裕也が慌てて太一を止める。それもそのはずである。そこには太一が数え、目線が合うたび、睨めつけてくる、受験生の姿があったのだった。

「誰だ?」

「さぁ~。知らない」

「別に、どうでもいいじゃん」

 受験生達は特に気にしない様子で話す。

「裕也。この人数って・・・」

 太一は受験生の数を見て思わず口を開く。それもそのはずである。

「ああ。今、僕らを含めて十一人。少なくとも六人は落ちるな」

「うん。でもまぁ、僕らだったらいけるさ!」

 洸希は少し不安そうな太一と裕也を安心にでもさせるように言う。

「お前ら、さっきからぐちぐちうるせぇよ」

 三人に声をかけたのは名門―五河家―の五河郷士であった。三人は初めて会ったのに郷士を知っていた。なぜなら五河家というのは日本の十ある名門の一つであり、試験を受ける前に三人が警戒していた人物の一人だったからである。

「洸希、あいつってお前が試験前に言っていた・・・」

「ああ、五河郷士。名門五河家の一人だ」

 洸希が答える。そして、それに答えたのは郷士本人だった。

「お前、伶慈様の弟の洸希だったか?」

「はい」

「まぁ、それなら後ろの二人もそこそこ強いのかなぁ?」

「えっと・・・」

「もちろん!」

 太一と裕也は郷士の問いに対して少し硬直した・・・が、その問いに答えたのは太一でもなく裕也でもなく、洸希だったのだ。

「へっ、まぁせいぜい俺以外の四人に入れるようがんばりな」

 郷士はそう言うと三人の前から立ち去る。それに対応するかのように周囲の受験生がまたも睨めつけてくる。

「あっ、えっと・・・」

 ガラガラ

 太一が困っていると、閉まっていたドアが開いた。

「受験生の皆様、お疲れさまでした。以上を持って、待機時間を終了します。皆様はすぐに集まってください」

 受験生はその声に合わして部屋を出た。

 バシッ

「よしっ、行くか!」

 太一は自分の手で顔を叩くと、気合を入れ、他の受験生を追う様に部屋をでた。



「では、結果を発表する」

〈光鬼の組〉指導責任者―荒井翔太の声に合わせ、生徒たちは緊張した顔で荒井のほうに顔を向ける。

「えー、まず一人目は受験番号一番、五河郷士」

「はい!」

 郷士は荒井の声に反応するように答える。

「次、受験番号十二番、神崎優」

「はい」

 神崎が返事をすると太一、裕也、洸希の三人の顔が真剣な顔になる。そう、もし三人が合格するためには次にあげられる名前が三人の内の誰かではなければいけないのである。

(次は俺か、それとも裕也か、洸希か・・・)

 しかし、荒井の口からはそんな太一の考えとはまったく違う言葉を発した。

「受験番号二十四番、花澤寧々」

「はい」

「えっ」

 太一の口からおもわず声が出てしまう。

 荒井が発表したのは三人の中ではなく、花澤寧々という女子生徒だったのである。

 その瞬間、三人の顔は更に険しくなった。

(三人の中の)

(誰かが)

(落ちる!)

「受験番号三十四番、平井洸希!」

「はい!」

 洸希はその言葉を聞いた瞬間、安堵の表情を浮かべた。

 それと同時にこのようなことを思った。

(最後の一人は太一か、裕也か)

 洸希がそう思うと、さらなる言葉が荒井から発せられた。

「続いて、受験番号・・・」

荒井の言葉に合わせ太一、裕也の顔に力が入る。

「三十五番、菊池裕也!」

 その言葉を聞いた途端、太一は自分の体が消えていくような感覚を感じた。

(なぜ自分は選ばれなかったのだろう?どうして自分も二人と一緒に戦ったのに駄目なのだろう?洸希のように、偉い兄がいないからか?裕也のように冷静に判断し、行動していないからか・・・いや違う!そんなのはただの言い訳だ)

 太一は心の中の世界でそうつぶやいた。そんなことは関係ない、だから自分はまた来年がんばろうと、そう思った。

 だが、そう思ったからこそ次に荒井によって発せられた言葉は太一を心の世界から引きずり出した。

「受験番号三十六番、中山太一!」

「・・・」

「中山太一!!!」

「はっ、はぁぁぁい」

「以上!」

なんと六人目として太一が呼ばれたのである。しかし当然、それはおかしいことである。

〈光鬼の組〉は本来、一つの受験場所で五人選出されると聞いていたからだ。

周囲にも不思議そうな顔をしているやつは何人もいる。・・・がそんな声を遮るように新たな声が聞こえてくる。

「次に〈光鬼の組〉隊長、平井伶慈様よりご挨拶をいただき・・・しっ、失礼しました

〈光鬼の組〉副隊長、沖田一よりご挨拶いただきます」

 どうやら、洸希の兄、平井伶慈はまた挨拶に来ていないようだった。

「え~、今ここにいる十一人は過酷な試験に耐えることができた、強い者たちだ!今回選出されなかった五人も十分な力を持っている、それは私が保証しよう。だからこそ五人にはまた来年、この場所にもう一度来てくれることを期待している。そして選ばれた六人はこれからは〈光鬼の組〉の隊員として『シード』と戦うことになるだろう。それはこの試験より遥かに厳しいものになるだろう。これからは滅殺士として、そして今回の試験で何人もの中から選ばれたという自覚を持って過ごしてくれ!最後に選ばれた六人、本当によく頑張った。以上をもって挨拶を終了する」

 沖田は挨拶を終えるとステージから降りる。そして、それに合わせるようにしてアナウンスが流れる。

「沖田一様、ありがとうございます。以上をもって第十四回〈光鬼の組〉適正審査試験を終了いたします。生徒の皆様お疲れさまでした」

 その言葉に合わせ滅殺士達が部屋から出ていく。

生徒たちは胸を張る者、泣く者などもいた・・・が、太一、裕也、洸希の三人は胸を張るでも、泣くでもなく、ある人物に会うために真っ先に走り出し部屋から出て行った。


第4話いかがだったでしょうか?今回は太一の回想シーンなどもありましたね!ヒヤッとしていただいた方々がいれば、うれしいなと思いますw、次は三人が『あの人』に会いに行きます!いったい誰なんでしょうかねぇ~w、それでは今回はこの辺で、次回をお楽しみに!

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