〈光鬼の組〉の試験2
「これより第十四回〈光鬼の組〉適正審査試験を始める。ここでの試験は実戦形式で行う」
育成所校長の『実戦』と言う言葉を聞き、会場中の 生徒たちも様々な反応を見せ、ざわめく
「静かに!」
校長の言葉に合わせ会場が静まる。
「さて今回の実戦というのは仲間同士ではなく、現役の滅殺士との戦闘をしてもらう。制限時間は六時間、範囲は、民間エリアと鬼住エリアの間の訓練エリアで行ってもらう。もちろん仲間と協力するのもありだ。六時間後、戦闘終了時残った中から五人まで選出し、その者に〈光鬼の組〉に入隊してもらう。以上だ」
「ありがとうございました。次に〈光鬼の組〉隊長、平井伶慈様よりご挨拶もらいます」
「あっ、次、お兄様の挨拶か大丈夫かなぁ~」
「えっ洸希の兄さん見られるの!たのしみだな~」
洸希の不安そうな反応とは裏腹に、太一が興味ありそうな声で洸希に聞き返す。
「あの、でも、もしかしたら・・・」
「ん?」
ここで一本のアナウンスが入ってくる、内容は・・・
「失礼しました。伶慈様は、今日はめんどくさい、ということで副隊長の沖田一様よりごあいさつもらいます」
「えっ」
「やっぱり」
「何、何、どうしたの?」
太一と裕也は、どういうこと?といわんばかりの顔をしている。それに対して洸希が答える
「お兄様は、結構あっさり者で、こういう正式な場に来ないことが多いんだよね~。前にも朝、家を出たはずのお兄様が会場に来てなくて何度も、家に電話がかかってきたこともあったけなぁ~」
「それ、結構、致命的じゃない?」
「でも、実戦ではすごく活躍していて、世界でも数人しかないといわれてるすごい人なんだよ」
「へぇ~、それで・・・あっ」
ここで太一は話すのをやめた。〈光鬼の組〉副隊長、沖田一の挨拶が始まったので
ある。
「えー、今回のこの試験は今までのような仲間同士での試合ではない。すべての相手がプロであり君たちよりも何倍も強い相手だ。その相手が、自分たちを殺す気で攻撃してくる。私たちは、その中で君たちがどのような行動をし、切り抜けていくかを見ていくつもりだ。しかし今、隣にいるのは仲間でありライバルだ。五人の中に入るには、蹴落とすことも必要になるだろう。険しい道にはなるだろうが、この中から少しでも、私の隣にたって戦うものが出るように祈っている。頑張ってくれ。以上をもって挨拶を終了する」
「ありがとうございました。生徒の皆さんは、戦闘の準備をしてください。なお、試験は五十分後の十二時より行います」
「はぁ~、やっと終わったー。長かった~」
「そう?育成所の入学式の時の方が長かった気がするなぁ~」
「確かに。でもあの時は校長が階段を上ろうとしたとき足を滑らして骨折してしまったんだよねー」
「そうそう」
「それ本当?」
「そういえば太一って、途中入学だったっけ?」
「うん」
そう、太一が前にいた育成所はレベルが低く、太一の腕を見込んだ前の校長が今の育成所に来ることを勧められ転校してきたのである。
「まぁいいや。それよりもう少し洸希の兄さんについて教えてよ」
「ああ。俺も気になってたよ。結局お前のお兄さんはどういう人なの?」
太一と裕也は目を輝かせて言ってくるが、それに対し洸希は笑いながら答えようとするが、すぐにその表情は真剣なものになった。
「今は、教えられないよ」
「何で!」
「だって二人は〈光鬼の組〉入隊を目指しているんだよね!」
「だから?」
「二人が入隊を目指しているなら、三人で入隊してお兄様から直接、自己紹介を聞こうよ」
洸希が、ぜったいだよ!という顔で言ってくる。二人はその顔だけで洸希の思いが伝わったのか、それ以上聞こうとは思わなかった。
「そっ、そうだな!」
「うん。絶対この三人で勝ち残って、また〈光鬼の組〉で会おう」
その後、太一が右手を出してきた。ほかの二人も察したのかその上に裕也、洸希と右手を乗せる。
そして太一が叫ぶ
「絶対、三人全員試験、合格するぞーーー」
「オーーー」
やがて三人は離れていきそれぞれ指定された場所へ移動していく。
三人が椅子に腰をかけると、前にモニターが現れ転送開始の文字が現れる。
洸希、裕也そして太一の
三人はそのモニターをタッチするとその言葉を発した。三人の言葉に合わせるようにして他の生徒たちもいっせいにその言葉を叫ぶ。
「転送開始」
その言葉を発した瞬間、洸希、裕也、太一の姿、そして生徒たちの姿がまるで光のように消えていった。
どうも~、第二話いかがだったでしょうか?今回は太一や裕也たちの開会式の様子を書かせていただきました。にしても、実力者である洸希の兄、伶慈は開会式に来ませんでしたねー、まったく何をやっているのかw次回はいよいよ戦闘を書いていきたいと思います!これからどうぞよろしくお願いします。