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吸血鬼の花嫁へ  作者: かまぼっこ
はじまり
8/21

アルフレッドの話

『僕から話すよ。えっと君が間に入って、伝えてくれくれないかい?』


アルフだってエリナさんはわかるのか?


『僕の母上だからね、きっとわかるよ』


じゃあアルフが言った言葉をそのままエリナさんにつたえるからな。


『了解だよ』


「信じられないかもしれませんが、

僕の中にアルフがいますので、話を聞いてくれませんか?」


「わかったわ」


あっさりと了承してくれた。


『それじゃあ話すね。まずはこうなった経緯からはなそうか』


「その感じ確かにアルフですね?」


「え、わかるんですか?」


「お母さんですからね!それくらいわかりますよ」


素直に感心した。

母親ってすげー!


『それじゃあ続けるよ。話は僕が5歳だった頃に遡るよ。………』







アルフが5歳の誕生日を迎えた日、誕生パーティーが盛大に行われた。アルフにはばれないように準備を進めた、サプライズパーティーだった。エリーがやりたいと言い出したらしい。

その時アルフはとても喜び、サプライズパーティーは見事に成功した。この時から、エリー好きのアルフができたらしいのだが、その話は流しておこう。





そんなパーティが終わりに近くなった時、アルフは不意にエリナにこんな話をした。


「母上、母上は何か叶えてほしいお願いってありますか?パーティーのお礼をしたいのです!何かありませんか?」


「そうね、叶えて欲しいお願いならたくさんあるわ。アルフに無事に成長してほしとかね」


「母上、それならすぐ叶ってしまいます。もう少し無理な願いの方がやる気がわくのですが」


「そうね……うーん……じゃあ、世界平和で行きましょう!」


「世界平和ですか………がんばってみます!」


「うん、さすが私の息子だわ。がんばってね!」


「はい!!」


始まりはただ母親の願いを叶えたいただの少年だった。


それからアルフはそんな途方もない願いをかなえようと必死になった。

世界平和とは、戦争など何処にもなく、種族の間に溝はなく、誰もが等しく笑い合える世界だとアルフは思った。


そのためには、知識が必要だと思った。

一生懸命勉強して、色々なことを知った。

そして分かった、自分では直接その願いは叶えられないのだと……



しかし、学んだ知識の一つにあるおとぎ話があった。

あり得ないと自分でも思ってしまうような、夢のような話。






世界には13の神がいる。

その神は地上を作り、海を作り、森を作って、空を作った。

そして最後に、生き物を作った。

こうして作られた生き物は、さまざまな種族へと進化して行った。

それが人間となり獣人となり魔人なった。

しかしその生き物たちは、争い始めた。

種族の間で、国同士で、部族同士で、はたまた隣人同士で争った。

そんな生き物に心を痛めた神の一人が、その生き物たちの争いを止めようと躍起になった。

その平和の神は力を使いその世界から争いを消した。

それから世界はしばらく平和になった。

しかし、争い好きの神がいた。

しかし争いが無くなってしまったので、面白くない。

よって、争い好きの神は争いを起こした。

それに激怒した平和の神は争いの神と戦った。

その戦いで二人の神は互いに力を失ったという。





そこで話は終わってしまう。

落ちなどはない。

しかし、アルフは思った………否、思ってしまったのだ。

平和の神を召喚しようと思ってしまった。




6歳のころから学校に入ったのだが、通常10年かかって卒業する学校をわずか3年で卒業してしまった。

しかしアルフの欲しい神の召喚に関する情報は得られない。

次にアルフは魔神族の帝王都の大図書館に行って必死にその召喚方法を探した。思いつく限りのすべての場所を探した。

しかし見つからない。

何処に行こうが見つからない………

知識だけが常に増えていった。



そして思った。


「作ってしまえばいいじゃないか!」



その日から今まで貯めた知識を使ってオリジナルの召喚魔法を作ろうとした。

しかしそれは困難を極めてた。

召喚魔法を使うには、魔方陣を作る必要がある。そして、魔方陣に魔力を通すことで召喚を行う、これが召喚魔法だ。しかし、召喚するものに比例して魔方陣は複雑になっていく。まして神を召喚するためのオリジナルの魔方陣だ。

それからひたすらにアルフは、魔方陣を書いた。

書いて、書いて、書いて……


そしてついに完成した。

年齢は12歳になり、そして13歳に変わろうとしていた。

それまでに書いた魔方陣の数は途方もなくなっていた。




そしてアルフはその魔方陣に魔力を通してしまった……


神の召喚は一様成功はしたらしい。

しかし、この世界には実態のないものは消滅してしまう。そのため、召喚魔法では普通,形をもったものを召喚する。

予想外にも、神には実態がなかったのだ……


このままだと神は消えてしまう、そう直感的に悟った。

そしてアルフは自らの魂に神を招いた。

魂の中でのみ、実態のないものは生きれる。

しかし、その代償としてアルフの魂は壊れてしまった。

さらに、神がどうなったのかアルフ本人も分からなくなってしまった。

まだ、願いさえ伝えていないのに……

魂が壊れたのは、魂の容量が神に対して見合っていなかったからだった。

数年かけてたどり着いた結果がこれであった。

絶望した、これまでの努力と何なのかと疑った。



その時になって、やっとその願いを諦めた………いや、諦められなかった!



これまでの自分を、自分の努力を、汚したくなかった!

きっかけは些細な願いだった。

その願いを叶えたいと躍起になった。

叶えられないとわかって挫折した。

でも、ここで折れたくなかった。

ただの我儘だけど、どうしてもあきらめられなかったのだ。

しかし、失敗の代償で魂が壊れてしまった。崩壊が進んでいる。止めることはできない。自分に残された時間は少ない。



だから、「自分の思いを誰かに受け継いでもらう」ことにした。


無責任だし、強要はしないつもりでいる。

生きている人では、断られることが目に見えていたから死んですぐの魂を見つけることにした。

通常生き物が死ぬと魂が体よりけていく。魂には実態がないためすぐに消えてしまう。そこで消える前に魂を召喚し、自分の体に自分ではない魂を憑依させることとした。


それから長いこと容量の大きい魂を探した。容量の大きい魂を探したのは、自分の魂の中にいるかもしれない神を受け継いでも魂を壊れないようにするためだ。





そうして見つけたそれが信也……君だった。







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