ばれた
お屋敷に着くとメイドの人が迎えてくれた。
「おかえりなさいませ」
メイド喫茶に来たみたいだ。少し照れる。
「ただいま」
「アルフレッド様、エリー様ご夕飯ができています。シリウス様とエリナ様がお待ちです。」
そう言うとメイドの人はそのまま案内してくれた。
メイドの人の後をついていくと、大きな扉の前で立ち止まった。
すると扉はそのまま開いて行く。
自動ドアかと驚いたが、中にいる人が開けてくれたようだ。
部屋に入ると、これでもかという程に長い机の端にアルフの両親、シリウスがいた。
シリウスは、森にいたおじいさんにも負けないくらいの体を持ち、アルフと同じく白髪で、ギラギラとした眼でこちらを見てきた。
「アルフ遅いぞ!エリーは今日もかわいいな!!」
開口一番にそんなことを言ってきた。
俺に遅いというのは分かるが、エリーにはなんなんだ?
エリーはいつものことかのように無視しているので、シリウスフォード家の家庭事情が少しわかった気がした。
「あら、あなたもさっき来たばかりではないですか?」
そう言ったのはアルフの母親、エリナだった。
エリーに似た顔立ちに、赤い瞳をもっていた。まるでエリーをそのまま大きくしたかのようだ。優しげな雰囲気が出ていて、見ていて和むの思っていたのだが……
その手に持っているのは鉄扇でそのままアルフの父を殴りつけた。アルフの父はしばらく地面にうずくまっていたが、しばらくすると、何もなかったのように席に着いた。
食事が始まる。
必死に頭でテーブルマナーを検索していると、エリナが尋ねてきた。
「アルフ、今日はどちらに行っていたの?」
「レブナントの森に行っていました。」
一瞬、悲しい顔をしたように見えたエリナは、次の瞬間には元の優しげな顔に戻っていた。
『ばれちゃったかもね』
頭の中に声が響く。
それはないだろ、自分でも思うほど知識の中のアルフ道理に動いたぞ?
そんなことを思っている中、エリーは明るく話をしていった。
「今日はお兄様と、おじさんに会って来たんですよ!それから……………」
食事が終わりエリーがお風呂に入りに行くと言い部屋を出て行くと、シリウスが何故かこっそり出て行った。
そうして、エリナと二人っきりになり俺も部屋から出て行こうとすると、エリナに話があると呼び止められた。
「で、あなたは誰なの?」
エリナは先ほどの優しい表情はなく、得物である鉄扇をいつのまにか首元に当ててきていた。
あまりのことに動揺していると……
「早く答えないと首が飛ぶわよ」
そう、冷たい声が聞こえた。
本当に殺すらしい、目が本気だった。
震える体を押さえながら、勇気を出して話した。
「お、俺の名前は神根 信也です。アルフに魂を召喚され、アルフの体に憑依させられたものです。」
ありのまま真実を伝えた。
が、こんな話普通に考えて信じるわけないだろう!
内心めちゃくちゃ焦っていた。数秒前の自分を殴り飛ばしたくなった。
「そう、本当のことらしいわね」
そう言いながら、部屋の天井を見ていた。
本当に注意してみなければわからないくらいに、小さな透明な水晶があった。
「あれはね『真実の水晶』っていて、本当のことを言わないと真っ黒に色が変わるのよ。もし本当のことを言わなかったら、今頃あなたの首はなくなっていたわよ?」
そう行ってアルフの母は、さっきの優しげな表情に戻っていた。
数秒前の自分を褒めてやりたい。てかもう、数秒前の自分と結婚したくなった。
『あはは。やっぱりばれちゃってたね!』
「ばれちゃってたね!」じゃねーーーーよ!もう少しで死ぬところだったんだぞ!!
全力のツッコミをアルフに叩き込んだ。
実際一度死んだって言うのに、なんだかさっきのは死ぬよりも怖いなにかを感じた気がした。
「それじゃあ話してくれるわね?」
エレナはニコニコしながら、そう話しかけてきた。
どうやら本当のことを話すしかないようだ………