アルフレッド
『まずは、そうだな……この空間について説明しようかな。』
「空間っていうのは真っ白なここのことでいいのか?」
『ああ、ここは君の心の中だ。魂の器でもある。普通の人ならもっと小さい空間なんだけどね。君はイレギュラーで星が一つ入るくらいの大きさがあるんだ!これはすごいことなんだよ!』
「はぁ」
心が広いということか|(物理)
『君の思ってる意味とは少し違うけれど、まぁそういうことかな。』
「ひとつ質問してもいいか?」
『なんだい?』
「えーと、アルフレッドは心が読めるのか?」
さっきから、考えてることが読まれている気がする。
『いや違うよ、ここは君の心の中だといったよね?だから君が頭で考えたことは、ここでは口に出しているのと同意義なんだ。心と頭はほとんどおなじだからね。』
「なるほど。つまり…」
頭で考えたことが分かると言うなら、今俺が考えていることを当てられるはずだ。
てか、さっきの子ほんと可愛かったなぁ。
『別にエリーのことを考えるのはいいけど、手は出さないでくれよ。』
「な、なぜわかったし!?」
『これで君も分かったでしょ?』
「ああ、少し信じられないが見せられたのだから、信じるしかないだろう。」
『それじゃ本題に移ろう。今、君は僕の体に憑依している状態なんだ。まぁ、ほとんど君の体となっているんだけどね。それで、いきなりなんだけど………僕からのお願いがあるんだ!』
「なんだ?」
『この世界を平和にして欲しい!!!』
「はぁ、?何言ってるんだ??」
こいつ頭大丈夫なのか?
『まぁ、聞いてくれ。まずは、この世界の状況から話すね。
今、この世界は魔族たちの帝国と、人間たちの国が集まった連合国との間の戦争が終結したばっかりなんだ。互いに疲弊し、多くの命が散った。
結果は帝国の皇帝である魔王アレクトロ・ゼルフィス死により、帝国側の敗北で終わったんだけど。その被害は双方に混乱をもたらしたんだ。まず人間たちは連合の崩壊や、勇者たちの半数が死亡、小国が下剋上を狙ったりと荒れている。また、魔族も魔王の死後、次の魔王を誰にするかとか四天王の死亡で、かつてのまとまりは失われて荒れているんだ。
幸い僕たちの領地は、両親の頑張りでほかの領地と比べて割と平和なんだけどね。』
「とりあえず、世界が荒れているのは分かった。」
どうやら、とんでもないところに来てしまったらしい。
死んだのだからここが前の世界とは異なる世界だということは、わかったが……
それにしても、異世界に来たのにあまり驚かない自分に少し感心した。
『この世界すべてを平和にしろなんては言わないさ。せめて、エリーのことだけでもいい。守ってあげてくれないか?』
「それくらい自分でやればいいんじゃないか?」
『出来れば苦労しないんだけどね………
12歳のころにね、ちょっと高望みしちゃって………
それのおかげで今、僕の心は崩壊を始めている。そこで君の魂を憑依させたんだ。後のことを任せるためにね。』
「ずいぶんと無責任な奴だな。」
てか、12歳の頃なにをしたんだよ!
『ああ、自分でもそう思うよ。でも、僕がここでいなくなるとさ、きっとエリーには、大変な思いをさせてしまう。』
聞こえているであろう、頭で思ったツッコミは無視された。
「でも、俺が悪党かもしれないんだぞ?そんな奴に後をまかせるとか、正気の沙汰じゃない!」
『その点は大丈夫さ。魂を召喚する時の条件に少し細工したからね。そのせいで枠が狭くなったんだけど………でも、君のことを見つけた!かなりの時間がかかったから、見つけた時は叫んじゃったよ!』
「大変だったのは、わかった。だが、その話だと俺は単なる生贄になるのだが………」
『ごめんね、それは否定のしようがない。ただ君にはメリットがあるよ!』
「メリット?」
『うん。一つ目は………君は魔法を使ったことがないだろ?
使ってみたくはないかい?』
悪魔がささやくように言う少年がいた。
魔法か………さすが異世界だな。
ちょっと、ちょっとだけなんだけど……
「………………ちょっと使ってみたい。」
『君は正直だね。』
「それりゃそうだろ!魔法だぞ!黒い炎とか出してみたいじゃないか!?」
厨二心をくすぐられる。
やっぱり黒い炎はあこがれるな!どこぞのダークフ○ームマスターまいたいに!
『お、おう。
えっと、メリット二つ目はエリーだ!!
僕が言うのもあれだが、彼女なかなかかわいいだろ??』
あれ?こいつって………
いやーまさかね?まぁ一様………
「なぁ………お前シスコンか?」
『ち、ち、違うし。別にエリーのことなんてなんとも思ってないし。』
うん、そうらしい!(確信)
ま、しょうがないね!あの子かわいいし!
『そうだろ?可愛いだろ?
あ、いや、そうじゃなくて………』
『ち、違うんだ!?』
信用ゼロだろ……
『ゴ、ゴホン
で………どうだい?協力してくれないかい?』
生贄にされるのは気に食わないが………
「まぁ、エリーを守るくらいはいいか。」
『協力してくれるんだね!僕も魂が完全に崩壊するまでは協力するから!これからよろしくね!!』
「あ、ああ。それで、アルフレッド、質問があるんだがいいか?」
『アルフでいいよ、仲のいい奴はそう呼ぶんだ。
で、なんだい?なんでもきいてくれよ!』
仲がいい?ま、いいか………
「それで、魔法はどうやったらつかえるんだ?」
『きっとそのやり方はきっともう知ってるはずだよ!
だって今、君とは僕の体に憑依しているだろ?だから知識自体は持っているはずなんだ!こうして会話も出来てるんだしね。だから、思いだせばいいのさ!』
少し無責任な気もするが、確かに理屈は通っている。だからきっと正しいのだろう。
「わかった。」
読んでくださり、ありがとうございます。