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吸血鬼の花嫁へ  作者: かまぼっこ
はじまり
14/21

継承魔法

すでに日も傾いてきているので、そのまま屋敷に帰った。


「おかえりなさいませ、アルフレッド様、信也様。」


前に迎えてくれたメイドさんとは違う人だった。

でも、メイドさんに様付けで呼ばれるのは、なんだかこそばゆい。


『うちのメイドはみんな母上の眷属だからね。君のことを知っていても不思議じゃないよ』


そうらしいな。それにしてもみなさん若いな。


『いやそうでもないよ。吸血鬼の眷属は、みんな寿命がかなり伸びる。不老とはいかないまでも、人間のように早く老いることはないよ』


へぇー。じゃあ、あのメイドさんって何歳なんだ?


「信也様、女性に年齢の話はいけませんよ」


「え?」


何この人?ニュー○イプ?


『いや、きっと魔法を使ったんじゃないかな?心を読んだんだよ』


え?何それ、チートじゃん!


『確かに優秀な魔法だよね。まあ、この魔法を使える人は、そうそういないよ。そんなことより、謝ったら?』


「その……ごめんなさい」


「いえ、ですがこれからは気を付けてくださいね。私じゃなく奥様でしたら首がとんでいますよ」


「は、はい」


「それにしても、やはりアルフ様ではないのですね……

奥様の話でも少し信じ難いものでしたが、目の当たりにして納得できました。

そうなると信也様とは「はじめまして」ですね。私はメイド長のエルトと申します。奥様の第一の眷属です。これからよろしくお願いしますね」


「はい。此方こそよろしくお願いします」


「さっそくなのですが、シリウス様が信也様のことをお呼びになっております。どうぞこちらです」


「わかりました。あと、自分のことは様付けで呼ばなくていいですよ」


「いえ、それはなりません。アルフ様に招かれたお客様なのですから、アルフ様と同等に扱わさせていただきます」


まあ、間違ってはないのかな。


「わかりました」


「それでは、シリウス様のお部屋まで案内させていただきます」


「お願いします」





屋敷に入って階段を上り、屋敷の最上階に着いた。最上階には部屋が三つあった。その中の一番左の部屋に案内された。

エルトさんが、扉をノックする。


「信也様とアルフ様をお連れしました」


「わかった。入れ」


エルトさんに扉を開けてもらい部屋に入る。

この部屋はアルフの部屋よりか少し大きめだった。部屋の中にはシリウスさんのほかに、大きな剣を持ち鎧に身を包んだ人がいた。


「まあ、座ってくれ」


そう言われたので、シリウスさんの座っている向がけのソファーの反対側に座った。


「えっと、何の話でしょうか?アルフのことなら、もう気にしてませんよ」


「いや、そういう話ではないんだ。

単刀直入に聞くが、一週間後に契約の儀というながあるのだが知っているかい?」


「はい。アルフの知識がありますので」


「そうか。その儀式までに済ませる必要があることがあるのだが。それを君にやってもらいたい。別にむずかしいことではないんだ。聞いてくれるか?」


「はい」


「そうか、それはよかった。

それで、君にやってもらいたいことは、魔法の継承のことなんだが」


「継承魔法ですか?」


「そうだ。そもそも吸血鬼の貴族と継承魔法の関係はしっているかい?」


「いえ」


アルフの知識なら分かるだろうが、教えてもらえるのなら聞いておこう。


「そうか。それでは説明しよう。

継承魔法とは言わば、吸血鬼の貴族における身分証だ。そしてこの魔法は言葉の通り、継承される魔法だ。

継承魔法は吸血鬼の王である、レンジス・フェリオン様がさまざま魔法を作った内の一つだと言われている。

私の父がその中の一つの継承魔法を賜ったことで、シリウスフォード家は貴族となった。なんでもレンジス様を人間の勇者より守ったことで、受け取ったらしいのだが、詳しいことは父が先の戦争で戦死してしまったのでわからないのだが……

それで君にはこの魔法を継承してもらいたいのだ。これから先きっと役に立つと思うのだがどうかな?」


「それくらいなら、いいですよ」


「本当にいいのか?これを受け取るということは、貴族としての義務を背負うということだが……」


そう言うと、シリウスさんは怪訝そうな顔をする。

そうか……貴族の義務を負うのか……


『ねぇ信也。継承してもらえないかな?貴族の義務も本来は僕が背負うものだったんだ。それに背負わなければ、エリーがこれを背負うこととなる。僕とすると、それは避けたい』


まあ、アルフの責任を受け入れると言ったしな。わかった。


「構いません。アルフの責任は俺が負うと決心しています」


「おお、そうか!ありがとう」


そう言うと、シリウスさんは笑顔になった。


「それでは、腕を出してくれないか?」


「わかりました」


そう言い袖をまくって腕を出した。

アルフの腕は男とすれば細いのではないだろうか?と、思っていると、その腕をシリウスさんは両手で包みこんだ。シリウスさんの手はかなり大きかった。

そのまま少しの時間が経つと、徐々に包まれた腕が熱くなった。


「少し熱くなるが、我慢してくれ」


その声とともに温度はかなり熱くなっていった。


「熱っ!」


「すまんが、もう少し耐えてくれ」


それから数秒後にシリウスさんは腕を離してくれた。

そしてそ腕の痛みはすでになく。離された腕は真っ赤になっており、その中に特に真っ赤な漫画で見るような魔法陣が刻まれていた。


「ありがとう、これで継承は終わりだ。」


「はぁ、お疲れ様です」


痛いのなら前もって言って欲しかった。


『まあ、僕の父は割とガサツな奴だから許してやってよ』


そうなのか?


「あの、そう言えば聞いてなかったのですが、この魔法はどういった魔法なのですか?」


「あ、そう言えば役に立つとしか言っていなかったか。すまんな」


うん、確かにガサツだな。


「それでこの魔法なのだが…………実はどう言う魔法なのかわからない」


「え?分からないんですか!?」


「私の父がその使い方を知っていたのだが、死んでしまっているしな。

継承してもらった時聞こうと思ったのだが、すっかり忘れてしまってな……。

確か身体強化とか、言っていた気がしないこともないのだが……

ま、まあ役に立つのは本当だ。その証があれば貴族だとすぐにわかるからな!」


「は、はあ。そうですか……」


突然コンコンと扉がノックされた。


「シリウス様、アルフ様、信也様、夕食の準備ができました。エリナ様とエリー様がお待ちです」


ノックしたのはメイドさんのようだ。

「そうか、分かった」とシリウスさんが言うと、そのまま二人で食堂に向かった。





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