初めての……
「……様、お兄様起きてください」
体が揺すられる。
「………ん」
目を開けると、エリーが顔を覗き込んできた。
前にも見た光景だ。
やはり可愛い。
「おはよう、エリー」
「はい、おはようございます。お兄様、それと………信也様?」
「え!?」
聞き間違えたのだろうか?
俺の名前まで呼ばれた気がした。
いや、呼ばれたのか?
「えっと、私間違えたでしょうか?」
キョトンとエリーが首をかしげた。
「い、いやあってるけど。何でおれのことを知っているんだ?」
「はぁ、やはりほんとうでしたか………
昨日の夜、お母様から聞きました。とても信じられないような話しでした。でも、信也様がここにいることで、その話が真実なのだと今納得しました。お兄様さまからそんな話聞いたこともないですし………かなりショックでした」
そう言うと、エリーは悲しげに俯いた。
お、おい、アルフ!
エリーが悲しんでるんだけど、どうすればいい?
『そんなの僕に聞かれても……エリーがこうなることってほとんどないし、わからないよ……』
弱気だな、責任とれよー
『ぐぬぬ……あ、そうだ!エリーのことは任せるって言ったよね。それで君は了承してよね?したよね?』
いや、したけど………まさかね?実の兄が妹のことをどうにかしないわけないよね?そうだよね?
『後は頼む!健闘を祈る!』
え?あれ?ちょっと聞いてます?アルフさん?おーい
反応が無くなった。
つまりはどうにかしろということか……
女の子を慰めるのなんて初めてなんだが……
「エ、エリー?アルフのことなんだけどね。彼も自分で思ってやったことでね、後悔はしてないんだ。それに俺がアルフの夢を引き継ぐから!アルフのように頭がいいわけじゃなから出来ないかもしれない……でも、それでも一生懸命にやるから!それに、アルフからエリーのこと頼まれたんだ。だからさ、俺がエリーのこと守るから!」
自分で言ってて思った。
あれ?俺、何言ってるんだ??これって告白じゃねぇぇか!?
顔が熱くなるのを感じる。
『君はそんな恥ずかしいことよく言えるね!僕は君を尊敬するよ!さすが信也だやる男だと思っていたよ………
「俺がエリーのこと守るから!」…………ブフッ』
うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
穴があったら入りたくなった。
てか、もう一回屋上からひもなしバンジーが今なら出来る気がした。
「………様?信也様!」
先まで俯いていたエリーは、少し顔を赤くしてこちらを見ていた。
「は、はい!?」
「えっとですね?信也さまのお気持ちよく理解しました……ですが……その……お兄様もいますし……その……告白の方は……それにまだお互いのことよく知らないですし……今はその……ごめんなさい」
『信也その……ごめん。僕が君に任せたばかりに、君は……』
うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
その日、俺は人生で初めての失恋?を味わった。
エリーと気まずい空気を何とか振り切り、朝ごはんを食べに行くことになった。昨日と同じ部屋に案内され部屋に入ると、エリナさんがいた。気のせいか、目元が赤くなっているように見えた。
「おはようございます、エリナさん」
「おはようございます、お母様」
「ええ、おはようございます。エリー、アルフ、信也」
昨日のことは今は口にすべきではないと思い、そそくさと席に着いた。
席に着くと、パンにベーコンエッグそれとサラダ、牛乳があった。
この世界にもパンはあるらしい。それに卵も。しかし、サラダは知らない野菜でされているし、牛乳のほんとに牛の乳かは分からない。
話がかなりゆっくり進んでいますが許してください。