ミーナ視点の閑話
うん、何かミーナの視点の小話です。
「っ…!な、何ですってぇぇぇぇぇ!!!」
「ひゃあっ!ミ、ミーナ……お、落ち着いて!」
「はあっ!?その話が本当なら、落ち着いてなんていられるわけ無いでしょうがっっっ!!!」
「いや、でもぉ……私の見間違いかも知れないし………」
「サーシャ!はっきり言ってちょうだい!私のグエンが、他の女にたぶらかされているのを見たんでしょ?」
「…………あうう……。たぶらかすっていうか……その……えっと……ううっ……。ミ、ミーナは別にグエンの彼女でも何でも無いからその台詞はお門違い………はぎゃっ!いえいえ、何でも無いです」
生意気な事を言うサーシャを、ひと睨みで黙らすと私は苛立ちながら爪をギリリと噛んだ。
私の愛しいグエンが、どこの馬の骨かも分からない女を抱き上げていた何て………。
信じられない気持ちで一杯だけど、サーシャが私にそんな嘘を付くはずがない。
それにサーシャは最初、私に言うつもりは無かったと思う。
ついポロリと溢してしまったって感じで、口を滑らせた感じだったからね。
グエンが~の件で、私がその話に飛び付いたんだよね。グエンの事は小さい頃から幼馴染みで知ってるし、他の娘よりは私が1番グエンと仲が良いから安心していた。
しかし思わぬ所から伏兵が現れたって感じね。一体どこの部族の娘なのかしら?
まぁでも誰が相手でも私は絶対に負けないんだからねっ!!
よし!そうと決まれば早速その女の情報を収集せねば。まずは目撃情報から集めて来ようかしら?
グエンは絶対に渡さないんだからっ!!
私は嫌がるサーシャを引きずりながら、村の中を駆けずり回ったのであった。
***
数日後、予想以上の目撃情報を手に入れた。
グエンが血だらけの少女を抱き上げて運んで居たのはどうやら事実らしい。
サーシャ以外も目撃していたのだが、何故誰も声を掛けなかったかも教えて貰った。
なんとその少女は他部族では無く他種族であり、長年大人達が恐れを抱いている『人間』という種族らしい。
どうやら私達子供には分からない事情が『人間』にはあるらしい。
あんまり『人間』についての話は聞けなかったのだが、それは一旦横に置いておく。
それよりも問題はその他種族の少女が、私のグエンをたぶらかした事である。
正々堂々、面と向かって宣戦布告してやるんだから!
絶対にグエンは渡さない…………渡してなるものですかっ!!!
私はまだ見ぬ『人間』の少女へ、闘志を燃やしたのであった。
そして前話のネネとミーナの邂逅に至る訳です。
サーシャは結構うっかりさんです。本人も気付かぬまま、色々な事をポロリします。