表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鉱石オタク浪漫譚  作者: GESHI
第一章
6/17

5話

エリオ君の回想はいつまで続くのか。それは作者にも分かりません(ゲス顔

「すごい・・・」



エミールの目の前で行われた攻防に、心奪われていた。

振り下ろされた斧を紙一重で避け、相手の両目を奪い、喉を一突き。


相手の動揺を見逃さず、人体の脆い部分を的確に切りつける。その動きは、並の経験では培うことが出来ない、歴戦の戦士のそれだった。


「で?どうすんの?諦めて帰ってくれは・・・しないよね」


ハァ、とため息を着くエリオ。


絶命し、倒れふした男を見た他の男たちは、エリオに対する認識を改める。

一人で立ち向かってどうにかなる相手ではない。そう考えた男たちは、一様に武器を構え直す。

先程まであった慢心や油断は、もう無い。代わりにあるのは"恐怖"。



「っ!怯むな!!同時にかかるんだ!!」



一人の男が叫ぶと、エリオの左と右前方にいる男が、同時に斬りかかる為に走り出す。

これがタダの兵士ならば、対処に迷い、あっさり斬られた事だろう。

たとえそれが騎士だろうと、焦りから何かしらのミスを犯してもおかしくない。


しかしエリオは冷静だ。

左側面から走ってくる男との間合いを一気につめ、相手の鎧の隙間を狙ってナイフを突き立てる。

痛みに怯んだ男の足をはらい、仰向けに倒す。

振り上げた足を男の顔に打ち下ろし、顔面を踏み砕く。



もう一方から襲いかかる男の突きを、振り向きながら躱し、ナイフの柄で顎をかち上げる。

その男を盾代わりに使い、別方向から迫る振り下ろしを防ぐ。

そのまま()を敵に突き飛ばし、相手のよろめかせながら、素早く地面に落ちている剣を拾い上げ、男二人を同時に突き刺す。


そんなエリオを、左右から同時に、大鉈と剣を持った男が迫る。

そんな中、エリオは目を閉じる。

戦いの最中に目をつむるなど、殺してくださいと言っているような物だ。

エリオの突然の行動に、勝利を確信した二人の男。


突如、眩い閃光が周囲を包む

光の発生源は、エリオの両手に握られた二つの()


光に目を焼かれた男二人は、訳も分からぬまま、共に喉を切り裂かれ、その場に倒れる。



男達とエミールの視力が戻った時には、悠然立ち尽くすエリオの姿が。



エミールは、その光景から目が離せない。

エリオの戦い方は、とても正々堂々などと言えるものではない。

が・・・。



「(綺麗・・・)」



そんな場違いな事を考えてしまう。


男たちの血が宙を舞う中、まるで川の流れの様に動くエリオ。

一体どんな修練を積めば、そんな動きが出来るのか。



自身の"姉"も、見る者を魅了する様な戦いをするが、エリオのモノとはまったく違う。



襲いかかる敵を真正面から受け止め、なぎ払う。

強力な力によって、瞬時に敵を殲滅するその強さは、自身の強さを誇示する装飾的な強さだ。


対してエリオは、あらゆる無駄を無くし、相手の命を刈り取るためのみの動き。それは、強烈なまでに生に執着する様な泥臭い強さ。

派手さも力強さも無い、機能美とも言える動き。


まさに「対」と言える戦い方だ。



「さ~て。いい加減、諦めて帰ってくれないかな?」



エリオの声に、男達は気圧される。

「ひっ!」

「う、うわああぁぁ!!」

「お、おい!まて!!」


一人、二人と、その場から逃げ始める。

先ほど命令をしていた男は、逃げる仲間を止められず、一人取り残された。



「で?あんたはどうする?」

エリオは取り残された男に問う。


大男があっさり殺された時点で、勝敗は決していた。

しかし、男達もむざむざ逃げ帰るわけにはいかない。

これは"命令"なのだ。

逃げてきたなどと報告すれば、どうなるか分からない。


「う、うわああああああ!」


後退が許されない以上、目の前の男を切る以外道はない。

自棄になった男は、エリオ目掛けて突っ込む。

そんな精神状態では、結果は言うまでも無いだろう。


「ぅがっ!?」


エリオが投擲した果物ナイフが、男の喉を貫く。

よろよろと後ずさった男は、そのまま後ろに倒れ、動かなくなった。



「・・・」

エミールは声も出ない。

何しろエリオはこの戦いを、ほぼ果物ナイフだけで乗り切ったのだ。

尋常ではない。



「おう、客は帰ったみたいだな」


小屋のドアが開き、老人が出てくる。


「ったく、ああいう客ばっかり俺に任せるんだから・・・」

「そうボヤくな。若い頃の苦労は買ってでもする方がいいんだよ」


先ほどの空気が夢か幻だったかの様な会話に、やっと思考がおいつくエミール。


「お、おい!貴様は・・・、貴様らは一体何者なんだ!?」


エリオと老人がエミールを見る。

「あぁ、そういえば爺ちゃんの紹介をしてなかったね。こちら、俺のじいちゃんで――」

「ガラドだ。よろしくな?嬢ちゃん」

腰に手お当てて、大仰に名乗るガラド。


「名前などどうでもいい!!貴様らは何者なのかと聞いているんだ!!」

「何者と言われても・・・。しがない鍛冶師だけど?」

「か、かじ・・・し?」

「そ!俺もじいちゃんも鍛冶師なんだ」

「お前は"半人前"だけどな!」

「ちょっ!?じいちゃんひでーよ!!」

「事実じゃねえか!」


エミールは頭を抱え俯いている。


次第にワナワナと震えだす。

表情は見えないが、もう間も無く爆発するだろう。そんな空気が漂う。






そして・・・。







「うそだあああああぁぁぁぁぁぁ!!!」




雲一つない青空に、エミールの絶叫が響く。


戦闘シーンを書くのって、本当に難しいですね。ド〇クエみたいに、~した!みたいな文の羅列になってしまいそうで怖いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ