1話
文章書くのって難しいですね~・・・。
「探せ探せ!まだ遠くへは行ってないはずだ!!」
森の中に男たちの足音と声が響く。
反りの深い剣や鉈や斧などと武器はまばらだが、防具は一様に軽装だ。
男たちは周りの草を刈りながら、何かを探していた。
「(まったく、しつこいったらありゃしない・・・)」
彼らの目標らしき女性は、息を殺し身を隠していたが、予想以上にしつこい探索によって、徐々に追い詰められつつあった。
鎧や髪は土で汚れているが、そんなことは気にもとめず、周囲を探っていた。
「(王都から遠ざかっちゃうけど、仕方ないわね)」
女性は再度、息を殺し移動を始める。
男たちが居る位置から遠ざかるよう、足音を立てない様に慎重に、されど迅速に。
なんとか逃げ続けていた彼女だが、ここは森。
周囲は草に囲まれ、足元がおぼつかない。
枯れ木の枝などが幾らでも落ちていて、音がなればすぐにバレてしまう。
案の定、木の枝を踏んでしまい、枝が折れる乾いた音が鳴る。
「くっ!!」
運悪く、近くには3人の男がいた。
「そこにいやがったか!」
「居たぞー!」
「まちやがれ!!」
三者三様に言いながら、走る女性を追う。
女性は必死に走るが、足元がおぼつかないうえに体力が減ってきた今、捕まるのは時間の問題だ。
そんな彼女が何を思ったのか、クルリと男達に向き直り地面に剣を突き立て、何かを唱える。
『穿て!地の槍!』
女性が何かを唱えた瞬間、男たちの足元から土で出来た槍が飛び出す。
足元が見えにくい事もあり、男二人はあっさりと槍で貫かれる。
しかし、もう一人の男は転がりながらも、なんとか槍を避けた。
「こんの、アマ!!」
男は一気に距離を詰め、彼女に斬りかかる。
女性は慌てず、冷静にこれをさばく。
鍔迫り合いの状態に持ち込まれるも、女性は冷静なまま、さらに言葉を紡ぐ。
『集え!水の牢獄!』
次の瞬間、男の顔を包むように、水の玉が出来上がる。
男は必死に水から顔を出そうともがくが、顔の周りの水は一向に無くならない。
男の意識が朦朧とし、膝をついたところで彼女は森の斜面を降りていく。
敵を打ち倒したにも関わらず、彼女の顔色は優れない。
「(ちっ、流石に使いすぎたか・・・)」
微かに顔を歪めながら、彼女は転がる様に走る。
しかし危機は続く。
別方向からさらに追っ手がやってきていた。
今回は振り向くことはせず、ひたすらに逃げる。
「(限界が近い、もう乱発は出来ないわね)」
走りながらそんなことを考えていた彼女の目に、森の出口らしき光が見える。
「(出口!もしかしたら近くに町があるかも!)」
いかに男たちが武装していようと、街までは追って来ることは無いだろう。
そう考え、森の出口まで全力で走る。
しかし、そんな彼女を嘲笑うように、目に飛び込んできたのは一面の岩肌。逃走を阻むが如く絶壁がそびえ立っていた。
追い込まれた。
そう彼女が気づいた時には、後ろから4人の男が追いついていた。
「やっと追いついたぜ~」
「たくっ、手間取らせんなよ?お嬢ちゃん」
下卑た笑みを浮かべる男たちに、しずかに剣を向ける女性。
「ふんっ!貴様らの様な三下が、この私を切れるとでも?」
役者不足ね。と、強気に吐き捨てる。
「カッカッカ、おもしれえ。気のつええ女は嫌いじゃないぜ?」
「命乞いするんなら、飼ってやってもいいぞ?嬢ちゃ~ん?」
「冗談。汚い男は大嫌いなんだ」
にじり寄ってくる男たちを彼女は睨みながら、剣を握る手に力が入る。
「そうかいそうかい・・・。そんなら、あんたの血で綺麗にしなきゃなぁ!!」
男の一人が叫んだ瞬間、他の男達も一斉に武器を構える。
女性はゆったりと、叫んだ男に剣の切っ先をむけ、紡ぐ。
『集え!水の牢獄!』
切っ先を向けられた男の全身を包むように、水の牢獄が出来上がる。
しかし・・・。
「あめぇんだよ!」『集え!炎の鱗!』
男が言葉を紡いだ瞬間、男の身体を赤い鱗が覆うい、水の牢獄は蒸発するように、霧散する。
「ちっ!」
舌打ちをしながら、女性は後方の岩肌に向かい走り出す。
「おいおいっ!どこ行く気だ~?」
彼女の後を男たちが追う。
彼らを引きつけたところで剣を崖に突き刺し、振り返り、唱える。
『穿て!地の槍!』
剣を突き刺した崖から、4本の土の槍が飛び出す。
先ほどの数倍近い長さにまで伸びる。
急激なスピードで伸びる槍を交わしきれなかった男一人が、槍の餌食となる。
残った男3人はなんとか槍を躱し、女性に向かい再度走る。
「その2つがてめえの魔術か!種が割れた以上くらわねえぞ!!」
先頭を走る男が叫びながら斬りかかってくる。
女性の顔色は先ほどよりさらに悪く、額に汗をかき始めている。
「(やはり厳しい・・・しかし、やらねば殺られる!)」
目の前の男と何合か斬り結び、剣を弾き後退させる。
同時に右側からの切り落としをスレスレで躱し、胴体に剣を突きたてる。
「もらったー!!」
剣が深々と刺さっている隙を見逃さず、鉈を振りかぶった男が背後から斬りかかってくる。
受け流しをするには剣を引き抜かなければならないが、そんな余裕は無い。
とは言え、避けるために剣を手放せばどの道待っているのは死。
男二人が勝利を確信するも、呆気無く覆される。
『爆ぜろ!炎の開放』
女性が言葉を放った瞬間、剣で貫かれた男の胴が爆ぜ、爆発の勢いをそのままに、背後にいた男へ剣を叩きつけた。
背後から斬りかかった男は、驚愕に目を見開いたまま身体を上下に切り分けられる。
4対1という状況を切り抜け、遂にあと一人にまで追い込んだにも関わらず、女性の表情は優れなかった。
いや、むしろ悪化したと言ってもよかった。
「カッカッカ!魔力切れか~い?お嬢ちゃん」
「はぁ・・・はぁ・・・」
女性は答えない。
しかし、彼女に余力が無いことは誰の目にも明らかだった。
息は荒く足は震え、武器を持つ手にも力は感じられない。
「さっきのには驚かされたぜ。まさか3つもを持ってたとはな・・・だが、悪あがきもこれまでだな?」
男は剣を構え直す。
必殺の一撃を見舞うために。
「死ねやぁ!!!」
駆け出す。
その目に確信と言う光を灯しながら。
この状況になれば、誰もが彼と同じ光を灯すだろう。
慢心ではなく、必然。
もし、この状況が覆るとすれば・・・。
「んなっ!!!!」
運が悪かった。としか言えない。
「ハァッ!!!」
突如、男の前に地面から何かが飛び出す。
男はその"何か"につまずき、体勢を崩す。
気づいたときには遅く、目の前まで迫った女性によって、喉に剣を突き立てられていた。
剣を引き抜き、崩れ落ちた男を一瞥したあと、荒い息のまま、彼の足元に目を向ける。
そこには、地面から何かが"生えて"いた。
艶のない、黒く丸い物体。
女性が見たことのない形状のそれは、もぞもぞと動き出した。
「っ!!」
女性は震える手足をなんとか抑え、急いで剣を構える。
黒い物体は、徐々にその全貌をあらわにする。
人間の様な手足を生やし、衣服も着ていた。
その正体は・・・
「痛~~、帽子かぶってなかったらやばかったなぁ・・・」
どこからどう見ても
「人間・・・?」
誤字脱字、誤った表現等ありましたらご一報くださいませ!