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鉱石オタク浪漫譚  作者: GESHI
第一章
1/17

プロローグ

誤字脱字等あれば報告ください。

王国歴527年

王都「ハインツベル」では、とある問題が浮上していた。

隣国「ガルザ」との外交問題である。


「ハインツベル」の国王「エルヴァルド・ヴァン・ハインツベル」は、会議室に集まる側近たちの意見を黙って聞いていた。


「陛下、もう一刻の猶予もありません」

「左様。このままでは、ガルザとの争いは避けられません。今すぐ戦の準備を」

「すぐに将軍を呼び戻し、隊の編成と軍議を行うべきです!」


側近たちの発言も虚しく、国王は首を左右に振るだけだった。


「陛下!もう外交で済ませるのは不可能でございます!」

「その通りでございます!ガルザは今頃、軍備を着々と済ませているのですぞ!」

「このままでは、ただ黙って首を差し出すようなもの!何卒、ご命令を!!」


しかし、国王の答えは変わらなかった。

「ならん。引き続き、ガルザとの和平交渉を続ける。会議は以上だ。」

そう言って、国王は席を立ち、会議室から出て行く。


「くそっ!、陛下は何を考えているんだ・・・」

「もう和平など不可能だというのに!」

「全くだ、国がどうなってもいいのか!?」

「落ち着かれよ。我々だけではどうにも出来ぬ。今は命令通りに動くしかあるまい」



会議室に残された側近達は無言になり、会議室をあとにする

各々が持ち場へ向かう中、二人の人物だけが、歩きながら話を続けていた。



一人は腹が出ており、豪華な装飾を施した衣服を押し上げるように、無駄な肉が所狭しと詰まっている

だらしない体型をしていた。


もう一人の男は対照的で、線が細く、やせた体躯は、如何にも不健康そうな印象を受ける。




「・・・我々の行動を起こす時が来たな」


だらしのない体躯の男性が、並んで歩く線の細い男性に告げる

告げられた男性は口端をいやらしくつり上げながら答える。


「えぇ、前国王も馬鹿なことをしたものです。あのような男を国王にするなど。」


下卑た笑みを浮かべた男は、それをすぐに崩し、厳しい表情を浮かべる


「しかし、問題はあの小娘ですな」

「あぁ。やつは鋭い。下手な真似をすればすぐに感づくだろう。」

「流石は『戦姫』と言ったところでしょうか・・・」


男は悔しそうな表情を浮かべながら返答するが、もうひとりの男は気にせず続ける


「ふっ、戦姫とは言っても、やつはたかが18の小娘だ。やり様は幾らでもある。」

まるで蛇の様な狡猾な笑みを浮かべ、気にするなと切って捨てる

「準備は整っているのだろうな?」

「はっ、全て滞り無く。」

「ならば問題ない。せいぜい気づかれぬようにしろよ?」

「承知しております。それでは」


線の細い男は踵を返し、去っていく。

だらしない体型の男は、彼が去っていくの感じながら一人、感慨にふける

「(ついにこの時が来たか・・・あの男には感謝せねばなんな)」


この国「ハインツベル」では、地方を治める貴族と

王都周辺の町を治める貴族などの2種類に分類される。


この男――ルイス・ボン・グラムスは、もとは地方を治める貴族だった。

しかし、地方を治める程度では満足出来なかったこの男は、生来の狡猾さを活かし、賄賂や謀略を駆使し続け、侯爵の位まで上り詰めた。

出世欲と金銭欲が尽きないこの男は、いつしか侯爵の地位では満足出来ずにいた。

そんな彼の前に先日、見慣れない男がやって来た。

フードで顔を隠していたが、異様な空気を纏っていることはすぐに分かった。



「(奴が何者かは分からんが・・・せいぜい利用させてもらうとしよう)」

グラムスは一人狡猾な笑みを浮かべ廊下を進んでいく。

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