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理科室の箒 後編

理科準備室は理科室のすぐ隣にある、さまざまな教材などが保管されている教室だ。

「たまにしか会えないのだが、中々のベッピンさんでな……」

「その塵取りも一緒に連れていけば良いの?」

「出来れば……仲も取り持ってくれると嬉しいのだが」

仲を取り持つ!?

まさか生涯に箒と塵取りの恋のキューピットになる事があるとは……考えたくなかった。

「波さん、これは重大な任務ですね!」

「頑張って波ー!」

「先輩ファイトです!」

しかも、他の三人は私に丸投げの態勢だ。

お前らいい加減にせーよ。

私はため息をつくと、理科室から理科準備室へ至る扉へと手をかけた。

「いやぁ、箒の身としてドアノブは開けづらくてな……忝い」

「ああ、そう……」

そんな会話を交わしながら、雑多に入り組んだ理科準備室の中にある掃除用具入れを見つけた。

その中にある塵取りを目にした時、箒がピンと姿勢を正した。

「塵取りさん――!」

「コレがアンタの好きな塵取り……?」

「ハイ、そうです! 起きてください、塵取りさん!」

「は、起きる?」

私がそう呟いた瞬間、塵取りがピクンと動いた。

「――アナタは……たまにお会いする、箒、さん?」

「ハイ! 箒です!!」

まさか塵取りまで動き出すとは思わなかった……

これはどういう事なのか、まぁ、私は考えるのをやめた。

「実はボク、一目見た時からアナタの事が好きでした! 結婚してください!」

結婚!? いきなりプロポーズ!!??

「でも、わたし……あなたの事全然知らないし」

そうモジモジしながら言う塵取り。

しかし、意外と満更でも無さそうだ。

これは意外とチョロいかもしれない。

(ってなんで私塵取りの表情なんて読み取れてるんだキモ……)

「ボクが絶対にアナタの事を幸せにして見せます! だから――」

「あー、塵取りさん? コイ――この箒さんはすっごい真面目で正義感にあふれてる良い箒よ。その、なんていうか、実直で熱い箒さんなのよ」

思いつく感じで適当なフォローを入れながら、二人の様子を見守る。

「だから――ボクの掃いたゴミを、ゴミ箱まで運んでください!」

キメ台詞キター! キメ台詞……ん? キメ台詞なのかコレ。

「箒さん……!」

でも嬉しそうだ。結果オーライなんだろうか。

「わたし、箒さんに一生ついていくわ!」

「塵取りさん――!」

なんだかんだで、二個の恋は成就したようだ。

私達は二個の箒と塵取りをユーレイの教室まで連れていったのだった。

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