天原高校七不思議 後編
「先輩――さっきの授業中は済みませんでした……」
放課後、ユーレイの教室。
申し訳なさそうに謝るユーレイちゃんに、私は別に良いと告げた。
しかし、あれから陽巫子がやや不服そうなのだが。
「てかさ、先輩って何」
それよりもやけに気になってたのがそこだった。
いやもう、なんか彼女に先輩とか言われるのに違和感だ。
「だって、誘先輩達は二年生ですよね?」
「そうね」
「わたしは一年じゃないですか」
「そうなの?」
「そうなんです」
なんかいまいち納得いかない。
私だけか? 納得できないのは…………
「ユーレイさんは平成何年生まれなんですか?」
刀子の不意な問いかけ。
「わたしですか? わたしは平成四年生まれですよ」
「生きてたらもう二十七歳じゃん!」
「ウチ達よりも十年上ですねぇ……」
私たちの世代は平成十四年生まれが多いから丁度十歳上になる。
刀子は早生まれなので平成十五年生まれなのだが。
とまぁ、そんな話ばっかりやってないで本題にいこう。
「しかし、驚きましたね……ユーレイさんがこの教室から出られるようになってたなんて」
刀子の言葉に一同が頷く。
当のユーレイちゃん本人も一様だ。
「これもあたし達が七不思議を集めてきたから、なのかなぁ?」
「きっとそうだと思います! 先輩たちのおかげですよっ」
陽巫子の呟きにユーレイちゃんが肯定する。
「まだ学校からは出られないんですけどね…………」
行く行くは学校から外に出る気なのかこの地縛霊は。
しかし、もし私たちが七不思議を調べたお蔭でユーレイちゃんが学内を自由に動けるようになったというのなら……
「これは先輩達と七不思議を体験してみろっていうお告げですね!」
幽霊にお告げがあるのか、ていうか、どっちかっていうと幽霊がお告げする方じゃないのか。
じゃなくて――――
「ああ、そういうフラグなんだ……」
私の言葉に何かの理解を示した陽巫子が急に涙目になる。
「肝試しは嫌だよぉぉおおおおおおおおお!!!!」
翌日の放課後、私たちはユーレイちゃんと一緒に肝試しをすることになったのだった。