天原高校七不思議 前編
私たちがこの天原高校の七不思議を調べた所、以下の七つが見つかった。
一つ、これは言うまでもなく「ユーレイの教室」。
夕日が差し込む三階の廊下で「ユーレイちゃん」と呼び掛けると謎の教室に迷い込む。
二つ、音楽室のベートーベン。
音楽室にあるベートーベンの肖像画。その目がたまに動くらしい。
三つ、理科室の箒。
理科室にある箒がひとりでに掃除をしている事があるらしい。
四つ、片腕を探す少女の像。
この学校の体育館前には片腕の無い少女の像がたてられており、その像が失くした片腕を探してさ迷い歩くという。
五つ、七不思議定番中の定番、トイレのハナコさん。
日が沈みきった後、グラウンドにある女子トイレの扉をノックして「ハナコさん遊びましょう」と言うと返事がするという。
六つ、職員室の幽霊。
夜遅く、誰もいないはずの真っ暗な職員室で仕事をする教師の霊が現れる。
七つ、グラウンドに現れる死神。
真夜中に学校のグラウンドに入ると鎌を持った死神に襲われる。
「――って、七つ出てきちゃったじゃん!」
私は思わず声を上げる。
いや、だってこういうのって普通は七つ目を知ったら死ぬとか呪われるとかそういうのが定番じゃん。
「ウチの学校ではそういう話は無いみたいですね」
刀子が静かにそう告げる。
他にも、隠された八つ目と言う話も出てこなかったと言う。
「これが私達が調べたこの学校の七不思議全部だね」
陽巫子の言葉に私達は頷いた。
「で、どう? なんか成仏出来そう?」
「よく分からないです……気持ち体が軽くなった? 気がします」
やっぱり、七不思議を集めただけではダメなようだ。
ユーレイちゃん自身も他に思い当たる事は無いと言う。
「あー、とりあえず今日は解散しましょ解散!」
私の言葉に他の三人も同意し、翌日に持ち越す事になった。