表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

Episode1 ヘビーオブジェ

少し編集させていただきました。

今年の桜は散るのが早い。








桜吹雪の中、俺は新しく入学するこのバーナHO学園の校門を潜り抜ける。今日から俺も高校生だと思うと、ワクワクする。



「新高一は、靴を抜いで体育館に行きなさい」


醜い顔をした緑のジャージを着た人が誘導をしている。名札には松本と書いてある。



「おー、弓弦!お前もここか!」



俺の目の前に、ノリが軽そうな金髪がやってくる。こいつが呼んだ弓弦とは俺、神谷弓弦のことであり、こいつは俺の中学からの友達で、マクシミリアン・ブランで、通称マックスっつードイツ人だ。



「お前……入学式から金髪はヤバいんじゃないか?」



「気にすんなって!地毛っていえば誤魔化せる!」



こいつは相変わらずだ。ノリの軽さは正しく天下一品だ。



「よし、体育館行こうぜ」



「ああ」



体育館に入ろうと、前に歩いた途端、何かにぶつかる。前方不注意だったか。



ぶつかった相手を見ると、長い黒髪の女の子が倒れてた。



「ああ、ごめん。立てる?」



「ええ、大丈夫よ。でも気をつけなさいよね」



俺は手を差し出したが、彼女は俺の手を使わず自分で立ち上がって制服を払う。



「......君可愛いね!名前教えてくれよ!」



起き上がった女の子に向かって、マックスは得意のナンパを始めようとする。こいつは無類の女好きで、可愛い子を見つけるとすぐにナンパを始める。



まあ、結果は大抵玉砕で、今回も例外じゃない。



「ありがたく褒め言葉は貰っておくわ。でも私をナンパするのはまだ100年早い。出直してらっしゃい」



彼女はそう言うと、名前も名乗らずに体育館に向かって歩いて行った。



「はぁ〜、これで玉砕20947回目か......俺のどこがいけないんだろうな、弓弦?」



「お前のノリだと思うよ」



マックスはOTLのポーズで落ち込んでいたが、俺はそれを無視して体育館に入った。



「ちょ、待てよ!」













「え〜、皆さん。私は学園長の大須 静男です。これから3年間、皆さんは同じ学年の仲間として、楽しい学園生活を......」



学園長の話なんてもんは大抵右耳から入って左耳から抜けてくもんだ。たらたら長い。いや永い。



「以上で、祝辞とします」



結局、学園長は10分以上喋ってた。よくそんだけ話が出てくるな、と感心するほどだ。



そのあと、クラスの発表があった。俺は1年F組だった。マックスもF組だ。腐れ縁だな。



「へへへ、4年目宜しくな弓弦」



「ああ」










教室の中はざわついていた。知らない顔の人と挨拶してる奴や、いかにも親友そうな奴と話をしてる奴もいる。教壇で漫才をしてる奴らまでいる。



「しっかしー、俺らの担任誰だろうなー?」



「あと5分もすればわかるだろ......」



「可愛い女の先生だったらいいな!」



こいつは......。もうどうしようもないな。



暫くマックスと雑談をしていると、ドアがガラッと開く。入ってきた先生を見て、女子は嬌声を上げた。教壇に立ったのは凄いイケメンだった。



「俺の名前は茨刈 氷だ。一年間宜しくな!」



またもや女子から嬌声が上がる。しかし、この人のHOの腕前は確かそうだ。



「よし、まずお前達に自己紹介をしてもらう!男子の一番から順番に自己紹介してくれ!」



一番の男は、名前と趣味を言って座った。暫く待つと、俺の番になる。こういうのは久しぶりで、少し緊張するな。



「神谷 弓弦です......。弓道をやってました。宜しく」



適当な挨拶をする。座るとマックスが目でもっと面白いこと言えよと訴えてきたが、無視した。



「じゃあ次、37番マクシミリアン・ブラン君だね」



「はい!マクシミリアン・ブランだぜ!マックスって呼んでくれ!好きなものは可愛い女の子、特技はナンパ!宜しくぅー!」



マックスはハイテンションで自己紹介をする。初めての人ばっかなのに、このテンションは流石言わざるを得ない。



「ハハハ、面白いな君。よし、男子は全員終わったな。次は女子だ。頼むぞ」



女子か。まあどーでもいいな。



「まずは、女子の転校生がいるから紹介しておこう。盾無、前に出てくれ」



「一昨日引っ越して来た盾無 唯といいます。今年の目標はこのクラスを楽しく、真面目なクラスに変えることです。皆さん宜しくお願いします」



さっきの子だ。同じクラスだったのか。なんていうか、しっかりしてるな。



その後も自己紹介は暫く続いたが、殆ど聞き流した。興味ないからな。



「さて、自己紹介は終わったね。早速だが、委員長決めをやりたいと思う。立候補は誰でもしていい......と言いたい所だが、HOの専用機を持ってる生徒で、トーナメントを行う。優勝した生徒が委員長だ。専用機を持ってる生徒は全員起立!」



茨刈先生の命令で、俺を含めた6人が一斉に立つ。意外だったのは、盾無さんも専用機を持ってるって事だった。マックスも持ってるのは知ってるから驚かなかったが。



「じゃあ、第三ホールへ移動しよう。クラスの皆もついて来てくれ」



60人のクラスメイトは、全員先生について行く。










ドアを開けると、広い決闘場のような場所に出る。ここが第三ホールか。



「1Fの皆にHO訓練は、基本的には全てここでやる。いいな?」



はーいと、元気のない声が出る。先生は、ホールの真ん中に専用機を持った6人を立たせる。



「トーナメントは、今隣にいる人とだ。まず、1回戦は、唯と弓弦、マックスと田中、伊藤と二カルスだ。最初は唯と弓弦、頼む」



「「はい」」



俺と盾無さんはステージの上に立つ。



「容赦はしないわ。覚悟なさい」



「......お手やわらかに」



「ヘビーオブジェコード074・黒月バトル・オン」



「ヘビーオブジェコード125・ゴッドブレイカーバトル・オン」



俺と盾無さんはHOを起動する。大量の粒子に包まれ、俺は黒色の鎧を纏った姿になった。一方の盾無さんは、赤を中心とし、所々に黄色の線が引いてある姿に変身する。



「バトル、スタート!」



先生の声で、バトルは始まる。俺は右手の剣、3つのモードに姿を変える刀ーーーーーー黒刀を大剣、通称「夜」のモードに設定する。



「行くぞ、先手必勝だ!」



両手で巨大な大剣を構え、盾無さんの右側に渾身の力で切りかかる。



「甘い!」



盾無さんは一対の斧を持って、俺の斬撃を受け流す。続けさまに一回転し、黒月の胸の部分に重い一撃を入れようとした。



「させるか!」



盾無さんの反撃は読んでいた。敵の次の行動さえ分かれば、反撃することも避けることもたやすい。



もちろん、2本の斧を食らえば、ただでは済まされない。だが、これは一気に勝負を終わらせるチャンス。俺の黒月はエネルギーの消耗が激しく、長期戦には向かない。



あえて攻撃を受けてでも、ここで勝負を終わらせるべきだ。



黒刀をゴッドブレイカーに思い切り振り下ろす。危険を察知した盾無さんは、後ろへ下がろうとした。が、無理なステップを踏んだが為に、バランスを崩して倒れてしまう。



「きゃ!?」



「悪いな!俺の勝ちだ!」



その刹那、盾無さんの後ろ、つまり俺の前方の壁が、轟音と共に砕け散る。



そこに現れたのは、青色の機械。あれはHOだ。



「HOノソンザイヲカクニン。サクジョシマス」



機械的な声を出したHOは、4つの核粒子砲に、レーザーのチャージをした。そして1秒もたたずに、盾無さんに向けて極太レーザーを発射した。



「いや......!」



「間に合え!」







轟音が俺の両耳を突き抜け、黒月に重い衝撃が加わる。



間一髪、盾無さんに当たるはずのレーザーを、俺は身代わりになって受けた。



「大丈夫か......?」



「え、ええ......ありがとう......」



戸惑いながらも、盾無さんは俺にお礼を言ってくれた。が、そんな場合じゃない。



「早く下がれ!ロシア製の無人型HOだ!絶対防御がない代わりに攻撃特化がしてある!」



冷静そうなあの先生が、相当焦っている。絶対防御とは、HOが壊滅的な大ダメージを受けた時、操縦者へダメージを0にする機能。なるほど、だからこれだけの衝撃があるのか。



「大丈夫ですよ。任せてください」



その一言も終わらないうちに、俺はHOに剣を向けて切りかかる。



見た所、あいつは近距離装備をもたない遠距離型。近付きさえすれば必ず勝てる。



「食らえ!」



奴の頭目がけて、剣で斬る。余裕で勝ったはずだった。ロシア製のHOは、斬られる瞬間、俺の左側にレーザーを打った。



「やばい!」



レーザーの向かう先は、HO装着が解除された盾無さん。



俺は反射的に、黒月のスピードを限界まで加速させて盾無さんの前まで走り、彼女を庇う。



「ぐわああああ!」



「ジジジ......」



俺は大ダメージを受けて、その場に倒れこむ。それと同時に、青いHOは爆発した。



黒月が粒子化して消滅する。



俺の意識は、そこで途切れた。










保健室の中で、俺は目覚めた。



「お、起きたか」



茨刈先生が俺の顔を覗き込む。先生の隣には盾無さんもいた。



「あの......その、ごめんなさい。私を庇って......その......」



「気にすんなよ」



盾無さんは俺に謝ったが、別に気にするほどのことはない。ま、たまにはヒーロー気分になるのもいいはずだ。



「弓弦、無茶し過ぎだ。お前はまだ生徒の身。何かあったら俺にまで責任が来る」



「はい......すいません......」



流石に調子に乗り過ぎたな。怒られても仕方ない。



「でもまあ、仲間を救ったのは、素直に評価できる。しかし!次からは俺を頼れ。お前たちの安全を守るのも俺の仕事だしな」



「はい。ありがとうございます」



「よし。じゃあ今日はもう帰っていいぞ」



ふう。初日からこんなハプニングが起こるとはな。



「あ、先生」



「どうした唯?」



「私が弓弦くんを送って行きます。一人じゃ危ないでしょうから」



いや、大丈夫だよ。そういう前に先生が俺の代わりに真逆の答えを盾無さんに出してくれた。



「そうか。じゃあ頼むよ」



「はい」



マジですか。平気なんだけどな......。



「じゃあ行きましょう、弓弦くん」



「......はい」













「盾無さんだっけ?聞きたいことがあるけど」



「唯で構わないわよ。何?」



「そっか......。じゃあ、唯。委員長は結局誰になったんだ?」



しかし、女の子を名前で呼ぶって何か緊張するな......。



「ああ、マクシミリアンくんよ。トーナメントは中止になったけど、先生に一方的に委員長にしてくれって言って、なんとか認めてもらったの」



「へー。そっか。ありがと」



盾無さんーーーーーーーーーーー唯に微笑んで見せる。すると、唯は頬を赤く染めて横を向く。



「あれ?顔が赤いな?体調悪いのか?」



「な、何でもない!からかってるの!?」



「いや、別に......ごめん」



何だこいつ。変な奴だな。女はよくわからないぜ。



「っと着いたな。寄ってくか?」



「え、遠慮するわ。じゃあまた明日」



俺の返事も聞かないうちに、唯は足早に去って行った。



「何なんだあいつ......」










「もうっ!バカァ!」



部屋の隅に、ぬいぐるみが投げられた。

とりあえず、色々編集しました。変な所があれば教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ