タイトスカート
二人の距離が重なり、戻れない一歩を踏み出す瞬間の緊張感と愛おしさを描いた短編です。言葉と吐息の合間に揺れる彼らの繊細な心情を感じていただければ幸いです。
「一度だけよ」
春奈は念を押すように呟く
春奈は悪戯っ子のような挑戦的な目で玲央に合図を送っているようだった。春奈には覚悟というものがあった。それを与えようという……
しかし肝心の玲央の方にはまだ、確たる自信がないよう
「他のコとはしないって約束して」
環奈は少し口調を強くして、薄紅い唇を近づけて言った
身長は玲央よりも20cmは低いのだが、春奈の方がどこか大人びていて、堂々として見えた。玲音もそれは自覚していて、強くは彼女に出られないのだ
玲音の心の中では愛情と恐怖が交ぜになっているのかもしれなかった。春奈は、秋春ものの赤いタイトスカートを履いていて、その丈は短く、その裾は、太腿の丸みをほとんど隠しきれていない。
「一度だけ」
玲央が熱に魘されたかのように繰り返した。『待て!』をされて動けない仔犬のようだった。
言葉を飲み込み、差し出された手をとる。
スカートの裾が揺れ、微かな甘い香りが立つ
胸の奥で、鳴りやまない鐘の音を聞いていた
戻れない場所へ踏み出す、小さくて重い一歩。
彼女の瞳に映る自分が、ゆっくりと引き込まれていく。
誓いの言葉は、吐息とともに夜の中へ消えた。
熱く長い吐息を玲央は感じて、思わず目を開けた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
一瞬の戸惑いや高揚感、二人の言葉にできない距離感を感じていただけていれば嬉しいです。感想や評価なども励みになりますので、ぜひよろしくお願いいたします。




