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7.見えてる?

1日ぶりの更新です。よろしくお願いします。


「――つまり、リグナ市国となる都市が消失し記憶から消えた、と同時期にユウの取り巻く現象が周りに感知され始めた、ということか」


 場所は代わり、今は4人で小さな会議室を借りて話している。


「その説明を聞くだけでは、ユウに原因があるのではと勘繰ってしまうがな」


 ソウ元帥が腕を組んで唸る。すかさずルビアが噛みついた。


「わからないでしょ。リグナに原因があるかもしれないじゃない」


 ソウ元帥は考え込む。


「それはそうだな」


「まぁ、その前にユウを取り巻く現象について、教えて欲しいんだけどな」


 と、話を戻してくれるセイラン。


「……えっと」


 私は少しだけ躊躇する。これを話してもセイランとソウ元帥はまた忘れてしまうのではないか、と。


 そっと、ルビアが手を握ってくれる。


「変わりに話そうか?」


 かぶりをふる。


 ――私は私から逃げたくない。


「大丈夫だよ、ルビア」


 私は話した。


「……うまく言えないけど。私、いないことになるんです」


 ――たとえばルビアの家で、使用人からも家族からも、全く認識されずに過ごしていること。


「さっきまで話してた人が、急に私のことを忘れて……」


 ――たとえば担任の先生、毎日点呼を取っていても忘れてしまうこと。


 そこでルビアを見る。彼女もしっかりと見つめ返してくれた。


「……にわかには信じがたいが、しかし娘の報告と齟齬は無い」


 ソウ元帥は話を引き取ってくれた。


「まって、報告ってセイランにスパイじみた事させてるの?」


 ルビアが指摘すると、セイランが慌てて言う。


「違う違う。僕が学園であった事、お母さんに一方的に喋ってるだけだよ。もぅ、お母さんいちいち喋り方硬いんだよ」


「む……それはすまん」


 そこでルビアは、ハッと気づいたように質問する。


「じゃあ元帥が試験会場に来てたのって……」


「そうだ、ユウの特異性を確かめに来ていた」


「なるほどね、ただの授業参観なのかと思ったわ」


「それもある」


 表情を変えずに元帥が答える。


「……え」


 私とルビアの声が重なった。セイランが嬉しそうに身をくねらせる。


「もぅ、お母さんのお、や、ば、か」


 ルビアが呆れたような顔で、2人を眺めていた。


「あ、あはは。それで、どうしてお二人からは私の記憶が無くなっていないんでしょうか?」


 私が話を戻す。


「それは……ふむ、我が家系の秘密に関わっている可能性がある。申し訳ないが、おいそれと話す訳にはいかないな」


 元帥は考え込むように黙ってしまった。


 私はその隙に、疑問だったことをルビアに尋ねる。


「そういえば、さっきの魔物の襲撃なんだったのかな?」


「ユウが意識を失ってすぐ後の事よ。試験会場中の魔物が、空に向かって咆哮し始めたのは」


「それでね!北の方向から地響きが聞こえたと思ったら、魔物の群勢が試験会場に雪崩れ込んできたってわけ」


 と、セイランが話に入る。


「あとはユウも知っての通りよ。地上は試験教官と軍が、空は元帥たちが抑えたの」


 と、ルビア。


「うむ、軍としては恥ずかしい結果だ。スタンピードの予兆に気づいていたとはいえ、教官や生徒の助力を得て対処できたとは。まだまだ精進に励む必要があるな」


 考えに耽っていた元帥が、話を引き取った。


「予兆?」


 私とルビアの声が被る。


「そうだ、1週間ほど前から魔物の動きに不審な点があると報告があってな、軍全体で警戒を強めていたんだ」


「……1週間前」


「……きな臭くなってきたわね」


 ――コンコン。


 その時、会議室の扉がノックされた。扉の向こう側からツバキの声が聞こえる。


「――失礼します。こちらにレグナート家のお嬢様がいらっしゃると聞いて来ました」


「あら、ツバキじゃない。入って良いわよ」


 ルビアが返事をすると、ツバキとその後ろからルビアの母――エレノアが入って来た。


「お母様!?」


 ルビアが慌てて立ち上がる。


「ルビア!ああ……良かった!大丈夫なの?学園が魔物に襲われたって聞いて、私、私……」


 エレノアはルビアを抱きしめる。その手はルビアを失うことを恐れるかのように、震えていた。


「大丈夫よ、お母様。私が強いこと知ってるでしょ?」


 ルビアはエレノアを落ち着かせるように、彼女の背中を優しく叩く。


「……それは分かってるけど、どうしても心配なのよ。それに昔のこともあるから」


 ルビアとエレノアは、そこで視線が揺れた。

 まるで"思い出せないことを思い出すかのように"


 話が途切れたところで、エレノアの視線がルビアの背後に居た私たちを見た。


「お話中失礼する。私はソウ・コウレンだ。軍で元帥をしている」


「は、はじめまして。エレノア・レグナートです」


「あ、僕は娘のソウ・セイランって言います。よろしく!」


「え、ええ。よろしくね」


 ソウ親子とエレノアが話しているのを眺めていると。扉のそばに控えているツバキと目があった。


 ――あれ?


 ……見えてる?


「……それで」


 エレノアも――こちらを見た。


「こちらのお嬢さんは?」


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